古事記編3/5 ~アマテラスとスサノオ~
「「はいどうも~。おてんとです。よろしくお願いします~」」
「ここでお葉書を一通!」
「前置きって知っとる?」
「ラジオネーム『イキリ聖人』 弟子には自分を超えて欲しいのです」
「あの先生……これ自称できるのが凄いよなぁ」
「孔子ちゃんね」
「ラジオネームの意味ないやん!」
『あなたも神にならない?
私と永遠に学び続けましょう』
「アンタは鬼か!!」
「孔子ちゃんはね、ハイパーストイックウルトラ先生なのよ」
「なんやそれ」
「教育に役立つなら、発言もキャラ設定も自由使用OK」
「フリー素材かいな!」
「教育実践ログとして、有名な『論語』が伝わっているわ」
「ログ扱い!」
「ただ論語には問題もあって——」
「なんや」
「一部の弟子がイキリ」
「それは鼻につく!」
「“イキリに響く言葉で教えてる”言葉を切り取られると
孔子ちゃん自身がイキリと認識されちゃうのよね」
「『立派な賢者』『学ばない愚物』の対比で認識されがちやな」
「『女子と小人は養い難し』とかあるけど」
「何千年も尾を引く大炎上案件や!」
「孔子『難しいから、お前にはまだ早い』
弟子『優れた自分達は愚物や女子供を差別していい』
「バカ弟子!!!!!」
「イキリはイキリで徒党を組むからさぁ大変!」
「頭痛が痛い」
「儒教が縦社会と男尊女卑の根拠にされたのは心外よねぇ」
「キレてええやつと違う?」
「『それも自分の不徳の致すところ』ですって」
「孔子先生......」
「だから『弟子には自分を超えて欲しい』なんでしょうね」
「相談の難易度がえぐい!!」
「“人はどう生きるのが最良か”の沼に落ちた道徳教育オタよ」
「言い方!」
「一方で——」
「お、きたな」
「始皇帝ちゃんは“現実をどう統治するか”のプロ」
「その呼び方、許されるん!?」
「武力で統一した以上に、法や度量衡の制度で枠組み化した統治が凄いのよね」
「最速の通信手段が馬、って時代に完遂できんのは始皇帝くらいのもんや」
「人情で理想を追求する孔子ちゃんと、
厳格に現実へ対処する始皇帝ちゃん」
「もう対立する未来しか見えへん!」
「高天原でも名物の大論争よ!」
「そこぶつけたら愉快犯やろ!」
「その対立も楽しめる秘策があるのよ」
「はぁ?」
「『二人とも、嫌いなものは同じでしょう?』って」
「……あぁ」
「腐敗と賄賂」
「そこはガチで一致しとるな」
「だから似た者同士で、仲良く喧嘩できているわ」
「アンタは取り持ちのプロか!」
「現実を回すか、人情で救うか——」
「厳格派と人情派、やな」
「そのバランスこそが、今回の漫才のテーマよ」
「ほな、いくで」
『やられたらやりかえす! 一方的すぎるあいつに正義の鉄槌!』
「この古事記パートは主に私とスサノオの話よ」
「今度も最初は端折るん?」
「今回は最初から物語性を高めて展開するわ」
「丁寧に行くんやな」
「高天原をしらせ、と任命された私は高天原で一生懸命に頑張っていたの」
「いかにも責任感が強そうや」
「今で言うバリキャリね。
統治者として実力も本人やる気も十分、周囲の期待も大きい。
最先端産業である水田も機織り小屋も回している。
『働いて、働いて、働いて、働いて参ります』がぴったりね」
「完全に一致!」
「ツクヨミは...まぁ適当にやっているわ。きっと、たぶん、おそらくは」
「三貴子の存在感を1行で消し去った!」
「そして海原をしらせ、と命じられたスサノオは大号泣して暮らしていたわ」
「大号泣やて!?」
「山川の水まで涙として吸い上げて泣き続け、大災害をもたらしたのよ」
「なにやっとるんじゃ!」
「『号泣議員』っているわよね」
「それに寄せて画像を生成したやろ?」
「号泣議員、総理大臣になる。
就任しても大号泣」
「誰やねん就任させたのは!!!!」
「それを任命責任というわ」
「イザナキや!!!」
「こういう場合に責任が重いのは任命者の方よ」
「隠居してる場合とちゃうでイザナキ!!!!!」
「父イザナキが聞きに行くわね
『どうしてお前は泣いてばかりいるのだ』って」
「頼むよ、父の立場のためにもさぁ、と聞こえてくるようや」
「スサノオは答えるわ
『母イザナミに会いたくて泣いているのです』と」
「......親子やなぁ」
「父イザナキは
『そんなことを言うならば、どこへでも行ってしまえ!』と」
「バッカお前!
『そんなことを言うならば』構文の無力さは自分が示したやろ!!」
「スサノオは
『良いのですか!では行って参ります!』
と元気になるの」
「『本当に行くやつがあるか!』とも言えへん!
親子だから、の説得力が高すぎる!」
「スサノオは泣き止み、ウキウキ気分でイザナミの元へ行くことを決めるわ」
「でもおかしいやん。
大岩で封印したんやから、行けないんやろ?」
「気が済むまでやらせるしかない、という諦めよねぇ」
「そんなら正しいかもしれんが...」
「...そうは問屋が卸さないのよねぇ」
「親の心、子知らず言うもんなぁ」
「スサノオは
『母の元へ行く前に、姉様に挨拶をしなければ!』と
まず高天原へ向かうの」
「お別れの前に顔を見に行くなんて、律儀で可愛い弟やないか」
「私はスサノオが高天原へ向かっていると知って
急いで出迎えの準備を整えたわ」
「お別れの準備かのう。優しく送り出してやりたいのう
そんで、どんな会話になったんや」
「何しに来たのよ!このニート愚弟!!
一刻も早く立ち去りなさい!!!」
「はぁ!?」
「戦装束に戦化粧、足が地にめり込む程に踏みしめ、
弓に矢をつがえて思い切り引き絞っていたわ。
矢より先に言葉が飛び出たことが最後の理性という感じね」
「な、なんだってキレ散らかす必要があんねん!」
「私の視点では、私は統治者の役目を立派に果たしているバリキャリ。
スサノオは役目を放り投げてるニート愚弟で他者への迷惑に無頓着。
やっと泣き止んだかと思えば天地を揺るがしながら高天原へ向かってきたのよ。
スサノオの神力は現代風に言えば軍事力に等しいわ。
通達もなく目的も不明な、他国軍が国境線に迫ってきたのと同じよ」
「長っっっ!!当時のバリキャリ口調まで再現すなや!演説か!
...まぁアンタの言い分は理解したわ。
ほいでスサノオなんて答えるん」
「『ち、違うんだ姉さん。挨拶に来ただけ、だってば!』」
「それを受けて?」
「『簡単に信じられるわけがないでしょうが!!』よね。
まず嘘を疑う必要があるし、本当なら宣戦布告の自覚も無い呑気の証明よ。
外交の基本とか、何もかも分かってないじゃない。
統治者に任命された意味を分からせてあげないといけないわ」
「だから長いんやって!!抑えろ!!フレンドリーや!!!
...なぁ、そういう厳格派の正論って人情派には全く通じひんやろ」
「『スサノオに悪気がないのに天照が早合点するのは滑稽』と解釈されたりね」
「...流石に、それは人情派の一方的視点すぎるわなぁ」
「根本的な部分で嚙み合わないのよね」
「まぁ『お互いに統治者』の立場を考えたらスサノオが悪いわな
でも可哀そうな気もするわ
姉ちゃんに挨拶しにきた素朴な子やのに...」
「私は『力と立場に対する責任』で譲らないわね
スサノオのためにも、分からせてあげないと」
「スサノオは...まだ甘えたいよなぁ...
ちょっと前まで号泣しとったもんなぁ」
「もう会話が成立しないのよね
だから身の潔白の証明を巡り、誓約をすることになるの」
「うけい?せいやくと違うん?」
「ウケイは占いで、かつ高天原における神聖な裁判でもあるわね
この時は、お互いに神生みをして、男神が生まれた方が勝ち」
「裁判が占いやて!?」
「『悪しき心か、清い心か』を誓ってから、
公正を期してお互いの持ち物を使って、神生みを行ったの」
「雑な裁判やな...」
「で、スサノオが男神を生み出すのよねぇ」
「清い心が証明されたなら、仲直り出来そうやないか」
「そう思うでしょう?」
「清い心でも行動が迂闊、って落ち着いて諭したればええやん」
「でもそうはいかないわ。ここからは
――私天照ちゃんの黒歴史も、動き出すの」
「アンタらの黒歴史は連鎖するんか!」
「『ばよえーん』は軽く超えるわね」
「上限は設定してや!」
「男神を生んだスサノオの言葉はこんな感じよ」
『どうですか姉様!僕の勝ちですね!』
『いやぁそれにしても素晴らしい男神だ!』
『こんな素敵な神が自分から生まれた事が信じられない!』
『よし、お前の名は“正哉吾勝勝速日天忍穂耳命
(マサカアカツカチハヤヒアメノオシホミミ)”だ』」
「調子に乗りすぎやろ!
最後のめっちゃ長い命名はなんなんや」
「『ぼくちゃん大勝利やったね!アメノオシホミミ』という意味ね」
「史上初のキラキラネーム!!」
「ドヤ顔で続けてくるわよ」
『ほら姉様もご覧ください!どうです?私の生み出した』
『“ぼくちゃん大勝利やったね!アメノオシホミミ”は!』
「煽りやろ!」
「煽り耐性も低い当時は心底イライラしながら、こう考えるの」
『悪心がなかった事は百歩譲って認めてもいいけど』
『スサノオがロクデナシだって事は変わらないわ!』
『...スサノオには、絶対に相応しくない!』
『こんな調子に乗らせてたら、スサノオのためにもならない!』
『この結果は間違っているのよ!』
「厳格派って人情派のこと見下しがちで、
見下しとる相手に負けるのはプライドが許さないねんな」
「私のことを『パワハラ系の嫌な上司』とイメージしたか
スサノオを『イライラさせる部下』とイメージしたかで
かなり診断できるはずだけど、今回はパワハラ系と受け取ってね」
「キャラ自由自在か!!
勝手に読者を診断すんな!
感想まで操作すんな!」
「そして、私天照ちゃんは天才的な閃きに辿り着くわ。
『私の持ち物から生まれたから、この神は私の子よ』
と親権を奪い取るの」
「ゴネたんか!裁判を!」
「ゴネたのよ」
「そんなん押し通したらパワハラ確定やで」
「正式に私の子としたわ」
「なんでやねん!」
「後々に大切な役割を託す神だから」
「その大切な役割って、何やねん」
「この神を通じて、私天照ちゃんと天皇の血筋が、つながるの」
「そんなファンタジーが通用するわけないやろ!」
「2600年以上も続く現役の設定よ」
「設定とか言うなや!」
「設定は大事よ。人間は“みんなが信じた設定”を現実のものにするの」
「......それを、なんて言うねん」
「共同幻想」
「出よったなインテリ用語が!その4文字だけで置いてけぼりなるわ!
フレンドリー保ちたけりゃ、さらっと短くまとめてみぃや!」
「あると思えばある、ないと思えばない」
「色即是空・空即是色か」
「みんなが『ここは極楽』と思えば、ここが極楽で
みんなが『ここは地獄』と思えば、ここが地獄なの」
「般若心経も『みんなで悟ればみんな幸せ』と締めとるな」
「5行でまとめたわよ」
「本当なら3行にして欲しいところや」
「そのネタこそ置いてけぼりにするでしょうが!」
「うぐぉっ!!」(パンッ!)
「さて、無茶なパワハラを押し通されたスサノオはどうするかしら?」
「せ、せめて音を置き去りにせんといてや...
これキャラなん?それとも素なん?どっちに怯えたらええのや!」
「これも愛ある育成のためよ」
「怖い怖い怖い怖い怖い!!
わし孔子先生のとこ行って良い?」
「いいわよ?行っても帰されるから」
「わしが強くなるしか、救いはないんか...?」
「さて、脱線したけれど
ここでスサノオ視点に移るわ」
「場面はあんたがゴネて押し通したとこやな」
「スサノオ視点から要約すると、こうよ」
・泣くのはやめたよ
・ちゃんと挨拶にきたよ
・悪くないのに怒られてる
・なんで信じてくれないの
・凄い神が生まれた!みてみて
・なんで不機嫌になるの?
・奪い取られた←new!
「『倍返しだ!!!』」
「完璧な『ざまぁ系』やないか!!!」
「もう手が付けられなくって」
「自業自得や!今のわしはスサノオを心から応援するで!思い知らせたれ!!」
「私の田んぼの畔を切り、祭殿に糞を撒いたりする暴れっぷりなの」
「そ、そこまでやったらあかん!わし応援やめるわ!!」
「何よ、応援しなさいよ。パワハラ野郎ざまぁみろって」
「で、できひんって」
「ざまぁ系は復讐劇でスカッとする人気ジャンルでしょう」
「スカッとできるレベルやない!ドン引きなんや!!!
わしはアンタが怖いで!2行で心を反転させおって!!!」
「凄いのは古事記、でしょう」
「アンタの演出がなければ、こんなんならへん!!」
「全くもう...しかもあなた、現代感覚を置いてけぼりにしたわね」
「......えぇ?
あ、あぁ、せやんな...」
「田んぼと祭殿は“先端的な職場と最高の権威を誇る場所”という事を、
現代風に置き換えないと感覚は伝わらないわよ」
「置き換えたってや...」
「田んぼの破壊は『データセンターを破壊してネット障害を起こす』」
「とんでもない大迷惑やろ...?」
「祭殿に糞は『皇居にバキュームカーで汚物をまき散らす』感じよ」
「...ドン引きやろ?応援できんやろ?
わし、その振り幅を2行で持ってかれたんや
感情の加速度でケガするわ!!!」
「はい、気持ちを切り替えてね」
「......」
「次は“被害者”の私が現場に駆け付けるの」
「...こいつ何とかしてくれよ、と心が一つになっとるわ」
「そこで発する私の言葉は『よかれと思ってやったことじゃないかしら?』」
「ば、馬鹿なこと言うとるんやないで!!」
「さらに『きっとお酒に酔っていたのよ』と」
「そんなら仕方がない...なるかボケ!!!」
「そんな風に擁護しつつ後始末して回ったわ」
「なんで擁護やねんな!!武装して立ち向かってや!」
「奪い取ったのは流石に私が悪いから、強く止められないのよ」
「確かに原因はアンタや!ほんなら早く謝りぃや」
「それが何と言うか...謝っても意味がなかったと言うか」
「完璧姉ちゃんとニート愚弟やし、謝りにくいのは分かるけども」
「当時の私は『自分の機嫌も取れないやつは大人じゃない』メンタルだから」
「うっわ!!!」
「『た、確かにウケイは私が悪かったわよ。
でも、もう、謝ってるじゃないの!』」
「気持ち分かってたら出てこない台詞!!!」
「それで『しらす統治を遂行できない自分の負い目』と思い始めて
被害者たちに『ごめんなさい、私のせいで...』と弁解するの」
「...日頃の行いに免じて、渋々と引き下がったんやろか」
『あぁ...そんなら、ちゃんと気持ち受け取ったれや』
『早く和解しとくれや。俺らがかなわんで』
『...(私が、ちゃんと受け取れていないの...?)』
『そういうとこやで』
「こんな感じね」
「現場しんどいやつ!!」
「とりあえずは許して貰えたのよ」
「一刻も早い解決を、心から望むで!」
「これで私が、すぐに気持ちを受け取れたと思う?」
「希望が絶たれた...」
「ついには私の機織り小屋へ馬を放り投げて破壊し、働いていた女神を殺してしまうの」
「...っ!!!
こ、今度は現代風に置き換えるの待つわ」
「機織り小屋は最先端の職場環境で、高層ビルが妥当じゃないかしら」
「馬は力強い移動手段で、飛行機かしらね」
「...合わせると」
「高層ビルへ飛行機を突っ込ませて崩壊、死者が発生」
「......しゃれにならんのや」
「そして!事態はさらに連鎖するわ!!」
「もう十分すぎるほど最悪やろ!!?」
「甘いわね。あれは衝撃的ではあっても、局地的で1回限りよ」
「...確かに広範囲で何度も繰り返される戦争の方が悲惨やが」
「噴火や津波というケースもあるでしょう」
「それ、いつか直面するやつやん...」
「さらにその斜め上を行くわ」
「まだ上あるん!?」
「現実味がなくなるから安心していいわ」
「なんで安心できるって思うんや!」
「世界すべてが滅亡に向かうの」
「スケール感バグりすぎやで!」
「というわけで次回、クライマックス『天岩戸編』に続くわよ」
「絶対にみてくれよな!もうええわ」
「「どうも、ありがとうございました~」」
「この漫才が面白かったら、いいね・高評価・チャンネル登録・ブクマ・お葉書をお願いね!」
「次回もお葉書紹介コーナーからスタートや」
「なおこの漫才作品はフィクションであり、
実在の人物・団体と関係がある場合とない場合があるわ」
「ちなみに今回で仲間にした孔子ちゃんの設定はこうよ」
・ハイパーストイックウルトラ先生
・教育に役立つならフリー素材化も厭わない
・論語は教育実践ログ
・イキリな感じはイキリな弟子のせい
・縦社会化と男尊女卑化には物申したい
「そして実在の儒学者からの評価が、こう」
『ありよりのあり』
▶なかまにする
じゅがくしゃ が なかまになった
じゅがくしゃ は じんざいいくせい に つかえる
けいえいしゃ に きにいられやすい
「だから安心して遊んで大丈夫よ」
「フィクションやんな?」
「残念ながら」
「空想と現実の境界を壊すな!」
「『思考は現実化する』ものよ」
「遊びの幅、拡げすぎや!」
「この孔子キャラ設定、あり派の儒学者を募集中よ!」
「わし『バカ弟子!!!』派に入れられるん!?」
あり派
・「人生に活かせる論語」がテーマの論語講師S




