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episode.24

今にも降り出しそうな曇天の中、東堂とうどうさんの退院の日がやってきた。東堂さんからは、「一人でも大丈夫だから」と散々言われていたが、先日の一件もあったため、念のため自宅まで送迎する約束を取り付けていた。


病室に顔を出すと、東堂さんは私服に着替え身の回りの片付けを終えようとしているところだった。



「東堂さん、退院おめでとうございます」


「あぁ、結衣ゆいさん、わざわざありがとう」



まだ、手足のギプスが痛々しいが本人は至って元気そのもので、軽快にベッドのシーツを直している。



「ちょっと、入り口でつったってると邪魔なんだけど!」



私の左脇をすり抜け、彩葉さんが東堂さんのところへ駆け寄った。もしかして、今日東堂さんが「大丈夫」、と言っていた理由は彩葉さんが来ることがわかっていたから…? だいたい東堂さんはいつもちゃんと話してくれない。でも、そしたら本当に私は邪魔をしに来てしまったのではないか…。恐る恐る東堂さんと彩葉いろはさんの様子を伺った。



「結衣さん、こっちに来て俺のこと手伝って下さい」



東堂さんが声をかけてくれるが、婚約者としてはこの状況はおもしろくないはず…案の定、彩葉さんが東堂さんに抗議しているのが目に入る。



「あの、でも、やっぱり私が部外者なので…」


「そーよ、あなたは部外者。私の圭介けいすけにちょっかい出すのはやめてくれる?」


「結衣さんはケガした俺のこと放っておけるんですか?」



飄々と言ってのける東堂さんにいてもたってもいられず、思わず私は抗議した。



「と、東堂さんは彩葉さんってゆう婚約者さんがいるのに、私のことからかって遊ぶのやめてもらっていいですか!?」



反応がかえってこないことに不審に思い顔をあげると、今にも噴き出しそうに笑いをこらえる東堂さんと、口をぽかんと開けている彩葉さんが目に入ってきた。どうゆう…



「こ、婚約者だって。彩葉、俺と結婚するか…(笑)?」



話終えると東堂さんはいよいよ我慢ができず腹を抱えて吹き出した。



「東堂さん? 私、何か間違ったこと…」


「全部よ! 全部! 誰がこんな自分勝手で薄情で好き嫌い多くて格好つけな男を婚約者にするわけないでしょ! 第一、婚約者いるなら、貴女っていう彼女は作るような馬鹿じゃないわ。面倒事が一番嫌いな人だから…」


「じゃ、彩葉さんは?」


「俺の可愛い義妹いもうとです」



東堂さんが彩葉さんの頭をポンポンとする。彩葉さんは東堂さんの手を蝿を追い払うかのように鬱陶しそうにしている。私はその様子を見ると、一気に脱力してその場にしゃがみ込んだ。



「どうかされましたか?」



ちょうど病室の入り口から狗丸いぬまるさんが入ってきた。東堂さんが私を抱えあげながら、狗丸さんに説明をしている。「それはそれは」と穏やかに微笑んでいる。穴があったら入りたい。



「じゃ、狗丸、あとは結衣さんに付き添うてもらうけぇ。彩葉もありがとの」


「待ってるからね! 私の誕生日くらい家に帰ってきなさいよ」



私も2人に挨拶をして、東堂さんを駐車場まで案内する。荷物をトランクに入れると、助手席の扉を開けて東堂さんの松葉杖を受け取る。運転席に乗り込むと、軽自動車の車内は思いの外狭く感じた。



「車、出しますね」


「…結衣さん、久々の外出なので、ちょっと行きたいところがあるんですが…」


「わかりました! 道案内お願い出来ますか?」

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