episode.25
東堂さんの久々の外出、久々の休暇。
力になれるならと、軽自動車を飛ばしてやってきたのは京都!! 海老名を出たあたりから、すっごい不安だったけど…私と私の愛車よくぞ頑張った!
車を駐車場に入れると、そこからタクシーを拾い目的地を目指す。とはいえ、私が目的地を知らされることはなく、車窓からは古都の街並みが傾きかけた夕陽に照らされていた。
「結衣さん、運転お疲れ様。目的地についたら声かけるから、ゆっくり休んで」
「いえ…でも…」
そう言ったかも分からないうちに、私は深い眠りに落ちていた。
「…さん、結衣さん、起きて」
「…ん? …ここは?」
松葉杖の東堂さんが手を差し出す。私はその手を取ると車外に出る。見覚えのある坂道をゆっくりと登っていく。松葉杖なんて大変なはずなのに、普段から訓練で鍛えてる体力やバランス感覚は桁違いだった。
「東堂さん…もうちょっとゆっくり行きませんか?」
「あぁ、すみません。先を急いでいたら…ほら、もうすぐです」
何故だか東堂さんが少しだけ子どもっぽく見えてしまう。少し石の階段を登った先にはライトアップされた清水の舞台が現れた。昼間は来たことがあったけど…夜は少しだけ壮大さが増したように感じた。手すりまでは少しだけ傾斜になっていて、その先の景色と相まって足がすくみそうになる。
東堂さんはそんな私の手を取り舞台の端まで連れてきてくれた。
「わぁ! きれい! 東堂さん、見てくださ…」
はしゃいだことに少し恥ずかしくなり、東堂さんの反応を確認するもただ笑顔で私のことを見ているだけだった。
「今日はありがとう。こんな遠くまで」
「いえ、私も素敵な景色見たら、疲れも吹っ飛びました! 東堂さんのお役に立てたなら、高宮さんからのミッションもちゃんとクリアです」
カランと背後から松葉杖が倒れる音が聞こえ、振り向いた瞬間、東堂さんが倒れ込んできた。
「だ、大丈夫ですか!? どこかつまづきましたか?」
「今は…律の話は無しだよ」
「…え?」
きつく抱きしめられたかと思うと、ちゅっとこめかみにキスをされた。東堂さんの柔らかい唇の感覚がやけに生々しく感じた。
「と…東堂さん?」
東堂さんと目が合った。いつもは優しい瞳の奥がやけに真剣さを感じさせ身動きが取れない。次に柔らかな感覚が唇に重なり、離れる間際ぺろっと唇を絡めとられた。
「律のいないときにこんなことするつもり無かったんだけど…もう、待ってるだけじゃ、結衣さんは手に入らない気がして。強引にでも俺の気持ち伝えるしかないかなって…俺、結衣さんと結婚したい」
「結婚…?」
今、私東堂さんにキスされた? しかも、さらっとなんかすごいこと言われた。




