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とらぶる❤  作者: 彩月莉音
第9章 魔法なんて大っ嫌いだぁー
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第410話

 推薦を貰えたカレンとライゼが、『バトル』に向けての稽古を二人だけで重ねている。

 『バトル』の予選会が近づくと、より一層、稽古が激しくなっていたのだ。

 回復要員として、隣のクラスであるアニスが、ここにも顔を出していた。

 稽古を見つめているアニスは、カレンたちには、ダンたちに付き合って、稽古を見ていることは告げていない。

 真摯に取り組んでいる二人に、告げる必要性を感じていなかった。

 勿論、ダンたちにも、カレンとライゼに付き合っていることを教えていなかったのだった。


 ひたすら、熱を帯びている二人の稽古を眺めながら、適切に戦闘中に回復を掛けていたのだ。

 ライゼの双子の弟、アーベンも、時折、稽古に借り出され、無理やりに手伝わされていたのである。

「ボロボロじゃん」

 稽古を覗きに来たアーベンが、思わず漏らしていた。

 日に日に、疲れている様子のライゼが気になり、稽古を頼まれていないのに覗きに来ていたのだ。

「このところ、激しくなっていますね」

 最近、二人の稽古について、アニスがアーベンに教えていたのだった。

 血走っている二人の稽古。

 呆れた顔を、アーベンが滲ませている。

「そんなに、熱くならなくっても……」


 アーベンとアニスの双眸には、ほぼ、本気になって、戦闘を繰り返している二人が映っていたのだった。

 アーベンも推薦を貰えていたが、断った側だ。

 単純に、興味がなかったからだった。

 剥きになっている二人に、冷めた眼光を注いでいる。

「どのくらい、戦いっているの?」

 素直な疑問を、口に出していたのだ。

 大粒の汗の掻き具合から、かなりの時間、戦っていることが、容易に推測されていたのである。

「二時間近く……かな」

 首を傾げて、アニスが答えていた。


 聞いた瞬間、ますます、呆れてしまったアーベン。

 元々、双子の姉ライゼも、大して興味を持っていなかった。

 やる気になっているカレンの姿に触発され、推薦を受け、日夜、稽古に励んでいたのだった。

「本気モードで、二時間なんて、バカじゃないの?」

「それほど、集中しているってことだよ」

「二時間の間に、何回、回復させたの?」

 冷静な眼差しを、アーベンがアニスに傾けていた。

 熱くなっている姉ライゼの姿を見て、逆に、アーベンは冷静に物事を見ることができたのだ。

「最初の頃に、二回かな。後は、いいって」

「呆れた」

「自身を、追い込みたいんだって」

 二人から言われたことを伝えていた。


「追い込みすぎでしょ? あれは」

「う……、そうだよね」

 少し困った顔を、アニスがしている。

 アニスとしても、回復をした方がいいと抱いているが、掛けないで、見ていてと言われている以上、手を出す真似ができなかったのだった。

 だから、先程から、どうしたものかと考えあぐねいでいたのである。

「予選会に、響くよ、あれは」

「やっぱり、そう思う?」

「思うよ」

 はっきりと、アーベンが断言していたのだ。

 回復魔法をかけようとしているアニスに、声をかけている。

「後で、後悔するのは、二人だから、ほっといていいよ?」

「でも……」

 傷だらけの二人に、アニスの双眸を巡らせていた。

「予選会に合わせられない、二人が悪いだけだよ」

 吐き捨てていたアーベンの言葉に、アニスの眉が下がっていたのだ。


「ところで、カーチスは、ここに、顔を出しているの?」

 何度か、稽古に付き合っていたが、その際に、カーチスの姿を見たことがなかったのである。

「私は、一度も見かけていないよ」

「そう。だったら、向こうも、それなりにやっているってことかな」

「顔を出していないの?」

 やや目を丸くしているアニス。

 稽古に付き合っているものかと、思い込んでいたのだ。

「出してみなよ? 無理やり、稽古に付き合わされる。そんなのは、ライゼだけでいいよ」

 アーベンの言い分に、苦笑を浮かべているだけだった。


「アニスも、大変だね。回復役として、あっちこっち行って」

 気遣う視線を傾けているアーベンである。

「知っているの?」

「剣術科にも、顔を出しているんでしょう?」

「うん」

「リュートに頼まれて」

「うん」

「リュートだって、できるのに。何でもできるリュートが、やればいいのに」

「稽古が、忙しいみたいだから」

「あれ以上、強くなって、どうしようと思っているんだろう」

「ただ、剣術が上手くなりたいって、思っているみたいだよ?」

「そうだろうけど……。一応、リュートって、魔法の天才だよ? その魔法の天才が、剣術を極めようって……」

「いいんじゃないの?」

「いいのかな……」

 眉間にしわを寄せ、考え込むアーベン。


「いいのよ」

「……その分、周りが大変そう……」

「面白いかもよ?」

「そう思うのは、アニスやトリスたち辺りだろうね。俺は……いいや……。巻き込まれたくないかな、のんびりしたいから」

「そうなの?」

「そう」

「でも、きっと、巻き込まれると、思うけど、リュートに」

 アニスの言葉に、アーベンが顔を顰めている。

 随分に、ありそうな未来予想図だったからだ。


読んでいただき、ありがとうございます。

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