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“大事”の意味。

「で?結局どうだったのよ?」

のりがニヤニヤしている。

週明け、講義をサボってファミレスで過ごす奈々と、のり。

土曜日、急にお泊まりになったので、のりの家に泊まることにしてもらった。もちろん、報告が条件で。

「キ、キスした。」

「それだけ?」

「ずっと抱きしめてくれてた。そしたら朝になってた。」

「もー、何で?信じられない!泊まるって、そういうコトでしょ?どうしてソレだけなワケ?」

「お泊まりってそういうコトしないといけないの?」

「いけないってゆーか!しないでいられる方が不健康だと思う。」

奈々も守もファーストキスは済んでいたが、その先は…少なくとも、奈々には知らない世界だ。

「不健康って…。」

奈々だって、お泊まりするのなら、“喜んで”とまではいかなくても、もしかしたら、という程度の覚悟はしていた。しかし、守は言った。

「大事だから、簡単にそういうことをしたくないから。」

実際、二人とも一緒にいるというだけで充分だった。


…この部分は、話さないでおこうかな。


報告はしても、守とのこれまでも、これからも、入られたくない領域がある。二人だけの領域には、二人だけの思いがあればいい。全てを“閲覧可能”にする必要は無い。


「…まあ、お似合いかもね。ペースが同じ相手なんて、そうそういないと思う。」

のりの言葉に、奈々が微笑む。と、そこでのりが悪戯っぽく言う。

「アイス奢って。お泊まりの手数料と、“御断り”の手数料。」

「“御断り”って?」

「実は、奈々を紹介してくださいっていう話が何件か来ていてね。ホントに紹介しようと思っていたけど、そういうことだから、断ってあげる。」

一見、図々しいようで、相手に気を遣わせない、のりのこういうところも、奈々は好きだと思う。


“大事”の意味について考えても、うまく説明できないが、それも良いのかもしれない。それは、守との、これからの時間の中で見つけることだと、奈々は思った。


鈍行列車のような二人の時間は始まったばかり。答えが出るのは、いつになるやら。

そして守の強引な告白により、奈々からまだ伝えそびれていること。それは…


「ずっとあなたが好きでした。」


…いつか私からも伝えよう。


週末の予定を相談しながら思う奈々だった。


              《完》





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