第63話:不穏な同級生
妖精の里でのイーヴィル大戦から1ヶ月経ち、グリフォン王国は夏の暑さと秋の涼しさが入り混じる9月へと突入していた。
ジュネッス魔法剣術学園での授業を終え、シェアハウスへ帰宅しようとするトムの前に、ユリアが満面の笑みをしながら掛け、迎えに来た。
ユリア「トム様〜! お迎えに来ました〜!」
トム「ユリア、学園では僕への大好きアピールは我慢してよ…。屋敷でたっぷりしていいからさぁ…」
ユリア「いえ、我慢できません! だから迎えに来たのです!」
トム「他の生徒や町の人達に見られるのはちょっとな〜…」
最近ユリアからの大好きアピールには慣れてきたのの、やはりまだ少し引いているトムであった。
???「やいやい、トム!」
トム「この声はまさか!」
そこへ現れたのは、かつてトムを落ちこぼれと見下した挙げ句、マジックバトルコロシアムで潜在能力を解放した彼にボロ負けしたタール・ジャブズマンであった。
ついでその両サイドには取り巻きのイカンとゴップもいる。
トムは呆れた顔で彼らを見つめていた。
トム「またお前か…懲りないなぁ」
タール「相変わらず落ちこぼれの分際でユリア王女とイチャイチャしているみたいだなぁ!
だがそれも今のうちだ! 今日こそ君を」
トム「スカイラージボルト」
タール「ぎょえ〜〜〜〜〜!!」
タールが怒っている最中にも関わらず、トムはやる気がなさそうに、スカイラージボルトを発動、空から緑色の閃光を彼目掛け撃ち落とした。
タールは黒焦げになり、気絶した。
イカン「大丈夫かタール!?」
ゴップ「だからこれ以上トムに逆らうのはやめろって言ったんだよ〜!」
イカンとゴップの2人は倒れたタールを引きずりながら、そそくさとその場から立ち去って行った。
トム「まったく、面倒なヤツだ…」
ユリア「トム様お見事です!」
???「あのー…」
するとトムとユリアの前に、エルフの少女がそわそわとしながら現れた。
トム「やぁ、マイリー!」
彼女はマイリー・ユーズ。
トムと同じジュネッスの魔法科の1年生である。
マイリー「遅くなってしまいましたが、マジックバトルコロシアムでのトムくん、かっこよかったです! よ、良かったら握手、お願いします!」
マイリーは恥ずかしそうにしつつも、勇気を振り絞り、トムに握手を申し込み、手を差し出した。
その直後、トムは思った。
自分は今、ユリアという婚約者がいながら、大して面識もない女の子と握手などしてもいいのか?
ユリアが嫉妬し、後で怒られたりするのではないかと?
ユリア「トム様? マイリーさんと握手、しないのですか?」
トムはユリアの優しい感じの質問で我に返った。
トム「えっ、いいのかい? 嫉妬…とかしない?」
ユリア「まさか! トムはもっと称えらるべきお方です! 握手くらいで嫉妬なんかしませんよ!」
ユリアのその言葉にトムは安心した。
トムはなんの迷いもなくマイリーと握手をしようとした、そのときだった。
ハンナ「マイリー、何をしている!?」
そこへ現れたのは、ハンナの双子の姉で、同じ魔法科の1年であるハンナ・ユーズであった。
マイリー「お姉ちゃん!」
ハンナ「さぁ、帰るぞ!」
マイリー「でもトムくんと握手…」
ハンナ「いいから!」
ハンナはマイリーの腕をひっぱり、数秒ほど振り向き様にトムを睨みつけ、その場から去っていった。
ユリア「あの人はどうしてトム様を睨んでいたのでしょうか?」
トム「さぁ?」
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