自害
「そうか 村の存亡が君にかかってるんだね」
「はい」
「そうか・・・ 分ったよ」
「有難う これで皆は助かるわ」
私はホッとすると同時に 体の力が抜けて
その場に 倒れたのでした
「大丈夫かい?おい 大丈夫かい?」
その声で目を覚ますと 青年が心配そうに
私の顔を 覗き込んでいた
「あ ゴメンナサイ もう大丈夫だから」
頭を手で押さえながら 軽く横に振り
立ち上がろうとすると
「無理しない方がいいよ」
青年が手で制して 私は再び座った
「君が魔女だと立証出来る物はあるかな?」
「そこの押入れに 杖と箒があるわ」
青年は立ち上がり 杖と箒を持って来ると
「君は これを使えるんだよね?」
その問いに 私は言葉に詰まった
魔力が低い為 まだ使いこなせないからだ
「どうしたの?使えないの?」
「ゴメンナサイ 私にはまだ使えないの」
「そうなんだ」
困った顔で青年は 考えこんだ
「あ! ねぇ 私が倒れてた近くにさ 短い杖
が落ちて無かった?」
「いやあ 見かけなかったな〜」
「そぅ あれがあれば・・・」
「村長が持たせてくれた薬はある?」
私はポッケから薬瓶を取り出した
「これだけど」
「これを分析すれば 何か分かるかも」
「そ そうかしら?」
私がそう言うと同時に 蓋を開けると薬を一粒
掌に 取り出して私の方を見ながら
「これは 一粒で 効くの?」
その言葉を聞いて 嫌な予感がした
だけど まさか そんな事は ないだろう
そう思いながら 私は答えた
「ええ 一粒で死に至らしめる事が出来るわ」
私が そう言った瞬間だった
青年がその薬をゴクリと一飲みにしたのは
私は 突然の出来事に 一瞬固まり そして
「な 何してるのよ!早く吐き出して〜!」
すると青年が笑顔で答えた
「俺には 君を処刑に出来ないから
これしか方法が見つからないんだ」
「何をバカな事言ってるのよ!一国の王子が
こんな事で命を落として・・・」
それ以上は言葉にならなかった
何故ならもう青年には 届いてなかったから
青年の肩を掴んだ手は小刻みに震えて
私の目からは涙が ボロボロと零れ落ちた
もう目を覚ます事のない 青年の顔に・・・
「どうして どうして こんな事に」
私は俯き青年の胸に手を当てて泣き崩れた
青年の体は冷たく心臓の鼓動も 止まっている
それは分っていた それなのに・・・
私は電話帳を捲り 診療所に電話をして
ここの住所と部屋番を伝え 急患が居るから
今直ぐ来て欲しい そう言うと電話を切った
そして壁にもたれたまま 私はズルズルと
その場に 座り込んだのでした・・・




