⑥クラス分けは0組
新入生の晴れの日に生徒会、つまり在校生代表が集団入院という波乱の入学式が開かれ、なんとか最後にカティアが学園の規則を説明する。それでも、始まって30分も経っていない。
「まず初めに、生徒が不慮の事故、“波”にのまれたなど、死亡してしまった場合、学園側は一切責任を負いません。
これは、きちんと一人一人合格通知と共に契約書にサインしていただいたと思います」
一見、無慈悲にも思える。
しかし、これがこの学園の最大の特徴であり、難関とも言われる理由だ。
学園は孤島に建てられている、そのため『死の監獄』とも呼ばれることもある。
毎年“波”と呼ばれる、人に牙を向く狂魔と狂魔の瘴気にあてられた魔獣が群れをなして、ランダムな場所に押し寄せる。それを3日以上かけて殲滅させることを学園の生徒は一年生のうちから行う。
そのために、入試は難しく設定されており、クラスも個々の能力に合った者たちで固められている。
そのことを十分理解している者は必死で己の技術を磨く。
死なないために、死なせないために。
「他の細かい校則は、生徒手帳に書いてあるけど、私が守って欲しいことがあるの。
種族、魔力、出自などに関わらず。君たちはこのフォルトーナ学園に在籍しています。この学園の生活を思う存分楽しんでください」
カティアが真剣な顔をして、このようなことを言うのは道半ばで死んでしまう人もいるから。
生きているうちに叶えられることは、したいことはて欲しい。
そのための最先端、そのためのテライオスなのだから。
一気に会場の空気が重くなる。
「あっ、もちろん法は守ってね。以上、学園長からの連絡でした!」
わざと明るい声と身体の年齢(見た目のみ)相応のほがらかな笑顔で場を和ませる。
「それじゃあ、クラスを見ていこう!!」
カティアが指を鳴らすと、胸元につけていたコサージュの色が変化する。
白のままの人もいた。しかし、赤や青、黒そして、ガラスのような透明。大半がこれらに変わった。
ルナとアスト、隣の席のラヴィも透明だった。
「コサージュと同じ色の看板を持っている人のところへ行ってね」
四人の教員が赤、白、青、黒の四色のプラカードを持ち生徒を呼ぶ。
しばらく経つと、この式場から退場していった。
あれだけいた新入生はb減り、残ったのはルナとアストを含めた8名。
「今年は多いね」
「そうだな」
カティアが壇上から降り、不在の生徒会の代わりに司会をしていた男に語りかける。
学園長の言葉に素っ気なく返す無表情の男、しかし、いつも仏頂面だが、その口角が上がっている…気がする。とカティアの長年の勘が告げる。もし、ここに彼とは正反対の常に人を寄せ付ける彼の相棒がいれば、確実にわかっただろうが、あいにく遅刻である。
毎年毎年、よくやるよ〜。
カティアは怒りを通り越して、呆れる。
「透明だった者は、俺についてこい」
男は、カティアにマイクを返し出口へと足を進める。
8人は戸惑いながらも、男についていくことを決めた。
外に出て、校舎内へと入る。
学園は組ごとに校舎がある。その中でも古い旧校舎と呼ばれるところへ入った。旧校舎と言っているが、中は綺麗で、床が抜けるなどの心配などはない。ただ雰囲気が“風情がある”と感じさせるだけだ。
「ここだ」
男の足が止まり、続けてルナたちも止まる。
慣れた手つきで標識に“0”と描かれた教室の鍵を開ける。廊下の先には壁しかなく、ここがルナたちの教室だと理解した。
2026/02/23 加筆修正




