⑮ テライオスの伝説
ルナとアストはすぐさま図書室へと向かった。
「こんにちは」
カウンターに座っていた司書が二人に挨拶をした。
ルナとアストは軽く会釈をし、本棚の方へと進む。
2人は一冊一冊丁寧に表紙を確認しながら見ていると、ルナがテライオスの伝説が書かれた本を見つけた。
「兄さん、あったわ」
ルナがアストに声をかけ、近くの椅子に座る。
どの地方の文献にも載っていない、門外不出のテライオスの本当の歴史の書かれたこの本。
人伝に聞いたものだったが、本当だったのかと今更ながら怪しいものを信じたものだとルナたちは小さく苦笑する。
ページを開き、目的のものが書かれている場所までパラパラとめくり続け、止める。
この島、テライオスと呼ばれているのには理由がある。
初代勇者と魔王が最期にその一生を終えた場所だからだ。そこからこの2種族間での争いが始まった。
ある意味、この地は始まりの場所であり終わりを待っていた場所であった。
そこは今は置いておく。このことは誰もが知っている常識だ。
この本だけに書かれている挿絵こそが重要なのだ。
黒い角の生えた怪物と銀色に光る剣を持った人間が共に倒れ、4枚の黒い羽、3枚の白い羽、全部で7枚の羽を持った後光の指している人型のモノが彼らを照らしている絵。
「『勇ましき人、魔の主を打ち倒したとき、天より4枚の漆黒の羽と3枚の純白の羽を持ったかの者は神の如き力をふるい、彼に終わりをもたらした。故に我らは名付ける。この地が彼らの最後の祈りの地であるように。暁の大地と、そして終わりを告げた者の名は神魔』ここから先は劣化が激しいから読めない。この本ではここまでみたいだ」
アストが誰も読めないはずの隠された神話を読む。
魔術で隠されていたわけではなく、絵の中に隠されていたのだ。一見するとただの絵だ。ルナにもそうとしか見えないし、誰に聞いても同じことを言う、しかし、人それぞれ見える世界が違う、それはたとえ、血の繋がりのある双子でさえも。
アストもルナの写しているものを全て見えているわけではないだが、それを否定することはしない。同じでルナはアストを気にすることはない、アストが絵の文字を読めた。その事実だけで十分だった。
そのことは今はいい、ルナは絵のことに集中する。
これだけでは、何を指しているのか何を言いたいのかわからない。そもそも、初代勇者と魔王の話は地域ごとによって誇張されていたり、全く違う結末が書かれていたりするため、実際に起きた童話のようなものという認識が大半だ。
ルナたちは神魔の特徴が書かれている、それだけでも進歩はあったと思い、アストが読み上げたことをノートに記した。
小設定
最後の勇者は黎明の勇者と呼ばれています。
本名は本人が出すのを拒否しました。
現在その名前を知っているとすれば、革命時代の仲間たちくらいです。
次の話から一気に日が飛びます。




