③ 学園について-1 『マジックリング』
「アスト、今日は許すが次は自分の足で来なさい」
「はーい」
アレクは寝起きのアストに対して言う。
アストはそれに対して、渋々ながらも同意する。
あとでこっそり、毎朝起こしに来て欲しいとアストに頼まれ、ルナは深いため息をついて了承した。
「今日は、”マジックリング“などの支給品と学校行事などの説明をして、その後、学園内を案内する」
アレクは一人一人の机に銀色の腕輪を置いていく。よく見ると液晶や魔石がきらめき、特殊な魔術が組み込まれている。
「”マジックリング“って…そんな高価なもの支給して良いんですか?!」
パトリックは思わず声を荒げて聞いてしまう。
このマジックリングには“アイテムボックス”という特別な陣が組み込まれている。亜空間に収納、取り出しをすることができる。ごく一部の魔術師のみしか扱えないものを魔導具としている最近話題となったばかりのものだ。ただし、技術が高度な分とても値段が高く、王や裕福ない貴族の当主くらいしか持っていないだろう。
支給すると簡単に言ってしまっていい代物ではない。
「開発者が、寄贈するんだ」
さすが、最先端。カティアが豪語するだけはある。
ルナはフォルトゥーナ学園の人脈の広さを痛感した。
その中で、常に疑問符を浮かべている者がいた。
異世界から来たツバサが、表情筋豊かに顔をしかめていた。
「この”マジックリング”は通信、メールの送受信、ニュースなどのネットワークに加え、別の空間に物を収納することができる。入る容量も決まっているがな」
「聞くよりも見せる方がいいだろう。『収納』」
アレクが一つ銀色の腕輪をつけ、手にペンを持つ。一言言っただけで、手にあったペンが何かに吸われたように消えた。
おお〜と歓声が上がる。
「入れた物を見るときは『インベントリ』と言葉にするか、アイコンを押せばいい。取り出す時も映し出された物を押せば現れる。時間は少しかかるがな」
アレクは出てきたスクリーンの文字を押し、約0.5秒後に手元にペンが戻ってくると、マジックリングを腕から外す。
「アイテムボックスには生物だけは、入れるなよ、絶対に」
ウィリデが真剣な声をして警告した。
そういえば、本物のアイテムボックスには生物を入れられるが、これはまだ試作段階であり、別の設定された場所に転送するというもののため時が止まっているわけではないとニュースでやっていたことをルナは思い出した。
「これは、兎月が日々ネットワーク上から管理している。下手なことは考えるなよ。では、一人ずつ充魔力器を渡していく。補充を怠るといざという時に死ぬぞ」
アレクは一人一人に充魔力器を置いていった。
便利すぎて現実味がなかったが、魔導具が何の動力も無しに動くわけがないことがわかりルナは少し安心した。
魔力の充電大事。じゃないと、死ぬ。
アレクの当たり前のようにさらりといった言葉を心の中で復唱した。
充魔力器
充電器は電気ですがこっちは魔力を貯めるということで、つくった造語です。
マジックリング
フォルトゥーナ学園の生徒一人一人に支給される便利な常備アイテム。盗難防止と私用防止ようにそれぞれの寮の管理者が監視をしている。0組の場合は兎月である。
機能としては、通話、メール、アイテムボックス、インターネットなどなど幅広い。
ただし、計画的に使わなければすぐに魔力が切れる。
個人の魔力を貯めて使うことはできるが大量に必要なため気絶したり最悪死ぬ。




