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ひっそりと生きたい最強女子の転生譚  作者: 双月 仁介
第2.5章 閑話集
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094 ある土産物店店主の回想⑤

「さて、敗者は勝者に従う…ってことで良いんだよね」

 女の子がリーダーに話しかけた。

「もちろんだ。しかもお前、最初から最後まで手加減してやがっただろ?俺の推測だが、もっと致命的な魔法を持っているはずだ。それを使われなくて本当に良かったぜ」

「へぇー、なかなか勘が良いね。その通りだよ。マイさんの治癒魔法でも回復不可能な攻撃もあるんだけど、それを使うほどの相手じゃなかったからね」

「まじで怖い魔女だよ。てか、お前らってまさに天使と悪魔のコンビだな」

「褒めても罰が軽くなることはないよ」

「褒めてねぇよ!」

 二人の会話を聞いていた美人さんが楽しそうに笑っていた。


「それじゃまずはそこの金髪野郎、輪姦(まわ)すだの裸に()くだの言ってたよね。うーん、とりあえずは全裸で街中を歩き回ってもらおうかな。猥褻物陳列罪で警察に捕まることになるだろうけどね」

 金髪ヤンキーが絶望の表情でリーダーに助けを求めていた。

「あ、兄貴。そんなことしたら二度とこの街を歩けなくなっちまう」

「この街だけじゃないよ。SNSで動画が拡散されたら、世界中で有名人だよ。良かったね」

 いきなり金髪ヤンキーが女の子に土下座した。

「ごめんなさい。許してください。ど、どうか…」

 ここでリーダーが口を挟んできた。

「こいつは口だけの奴で、今まで実際に女性に酷いことをしたことはねぇ。それは俺が保証する。なんとか許してやっちゃくれねぇか?」

「それじゃお兄さんがこいつの代わりに全裸徘徊(はいかい)する?」

「いや、それは断る」

 あっさりと手下を見捨てたリーダー。まぁそりゃそうだよな。

 金髪ヤンキーはさらに絶望の表情になっていた。痛快な気持ちになった半面、少し同情する気持ちも生まれてきたよ。


「そこにいる人、ちょっと出てきてよ。地元の人だよね?」

 …って、私?隠れていたつもりだったんだが、見つかっていたのか…。

 私は仕方なく姿を現して、この異様な集団に近づいていった。

「お前は土産物屋の店主か?見たことのある顔だな」

「はい、その通りです。何かあったら警察に通報するつもりで、隠れて見ていました」

 ここは正直に真実を述べておくべきだろう。

 すると女の子が私に話しかけてきた。

「おじさん、ありがとう。ついでに教えてもらいたいんだけど良いかな?こいつらのこれまでの悪行をね」

「はい、実は…」

 私は『みかじめ料』の一件を包み隠さず女の子に話した。ただ、決定的な法律違反はしていないことも。

 少し気の毒に思った金髪ヤンキーのことも弁護してあげたら、本人から感謝の眼差(まなざ)しで見つめられたよ。


「うーん、そっかぁ。それじゃ判決を下します。不良グループは『みかじめ料』の徴収をやめること。今まで得たお金は働いて返すこと。あ、店側が良ければ労働で返すことも認めるよ。てか本当に『自警団』になれば良いじゃん。『自警団費用分担金』って名目だったんだよね。これからは無償奉仕(ボランティア)で『自警団』活動をしたら良いと思う。あ、格好もヤンキー風を改めて、真面目な格好をすること。金髪野郎は坊主にしてピアスも禁止ね。それで全裸徘徊は許してやるよ」

 私にとっては夢かと思うような内容だった。はたしてリーダーがこれを認めるだろうか?

「…仕方ねぇ。敗者は勝者に従う。そんなに無理な要求でもねぇし、受け入れるぜ。ただ、返金に関してはちょっと待ってくれ。すぐに金を用意することができねぇんだわ」

「うん、そこはお店側と話し合ってもらえれば良いよ。でも僕は定期的に見に来るからね。もしも改善されていなかったときは分かってるよね」

 女の子から殺気があふれ出した。気の弱い不良なんか、首をすくめて顔を(うつむ)かせてるよ。私も少しブルってしまった。

「まじで怖い魔女さんだよ。ああ、ここに誓うよ。お前の言う通りにすることをな」

 女の子は美人さんと目を合わせて笑顔になっていた。私もつられて自然と笑顔になったよ。


 なお後日談だけど、不良グループの構成員は全員真面目に働き始めた。仕事の時間外や休日には無償奉仕(ボランティア)の『自警団』としてパトロールを行ってくれているし、酔っぱらって暴れる観光客への対処なんかを行ってくれている。

 消防署と連携している消防団と同じように、今では警察署とも連携する自警団にまで発展しているのだ。街の人たちからも認められていて、地元の小学生たちも『大人になったら自警団で活躍するんだ』って言っているくらいなんだよな。

 なお、あの金髪ヤンキーはすっかり真面目になって、今ではうちの店で販売員をしている。真面目な働きぶりは、元ヤンキーだったとは思えないほど。あと、なぜか私のことを慕ってくれているのも嬉しい。

 美人さん(マイさん)と女の子(ツバサちゃん)には本当に感謝の念しかない。まさに我が街の救世主と言っても過言ではない。本当にありがとう。

 そうそう、最後に不良グループの元リーダーだけど、『自警団』の道筋をつけたあとは団長を辞めて、修行の旅に出たらしい。なんでも自分を鍛えなおしたいそうだ。やはり一角(ひとかど)の人物ではある。


 友人たちの中でマイさんだけは、ツバサちゃんが自分同様、魔女であることを知っています。というか、ツバサちゃんが以前の旅行中(マイさんとの二人旅のとき)に自ら暴露しました。

 なので、大勢の敵に囲まれても全く心配していなかったわけですね。


 あと、ツバサちゃんが使った魔法は重力範囲(グラビティエリア)重力軽減グラビティリダクションです。さすがに重力子攻撃(グラビトンアタック)は使いませんでした。

 重力軽減グラビティリダクションの使い方ですが、移動時には重力を軽減することで高速機動を実現し、拳が当たるインパクトの瞬間に重力を増大させることで重量級の打撃を叩き込みます。魔法名に『軽減』と付いていますが、『増大』させることもできる使い勝手の良い魔法なのです。


 なお、次の話からはいよいよ第3章に入ります。予定では最終章となりますが、もしかしたらまだまだ続くかもしれません。Pt(ポイント)次第ですね(笑)


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