13話 虫退治
深く果てしない樹海の上、葉巻型の大型輸送艦が巨大な虫に襲われている。
この輸送艦は、僻地の街々を巡回する移動スーパーマーケット。来訪を心待ちにしている街の住民が沢山いるのだ。
巨大な甲虫が、艦の中央部分両側に取りつくと、外壁を食い破り中へ侵入しようとしている。
大きさはマニューバの2倍。外壁外側には虫の黒く巨大な尻が突き出ており、さながら肌に食い込むダニのよう。
中に侵入されれば、なにもかも食い荒らされてしまう。この艦には100人以上が乗り込んでいるのだ。
操縦不能になり森へ墜落すれば、今度は森の生き物の餌食となってしまう。
輸送艦の倉庫には食料も積まれており、生き物を引き寄せるには十分な効果を発揮する。
そうなれば乗組員が助かる術はない。
それを防ぐため、乗組員が武器を持って虫が食い込んでいる場所までやってきた。
そこには巨大な頭を外壁から食い込ませて、口の周りに黒い枝のようなものをワシャワシャと動かす化け物がいた。
「このやろう! 外へ行きやがれ!」
先に到着していた連中が、鉄パイプを振り回して、虫を追い払おうしているが、そんな攻撃が効くはずもない。
「ギチギチギチギチ――」
虫の口から、高周波を含む警戒音が発せられ、皆の顔が歪む。虫の音は、生物の本能的な恐怖心を煽り立てるのだ。
「下がれ! そんな攻撃じゃ役に立たない!」
白兵戦の指揮を任された、この艦の副長が叫ぶと銃を構えた。それを見た、他の乗組員も一斉に銃を構える。
「跳弾に気をつけろ」
「「「おう!」」」
「撃て!」
一斉にライフルが火を吹いたが、虫の甲殻を貫くことはなく、全弾が弾かれて外壁や壁に命中した。
虫の黒い甲殻は、柔軟性があるが強靭な素材でできており、貫くには30mm以上の砲弾が必要だ。
「ダメだ!」
「目だ! 目を狙え!」
再び銃弾が装填されて発射されたが、金属音と共に弾き返された。
「無理だぁ!」
「諦めるな! 撃ちまくるんだ!」
ボルトを引いて排莢すると、次の弾を込める。連射はできない単発式。
乗組員が懸命に銃弾を浴びせるが、虫にはまったくダメージがないように見える。
「畜生!」
「くそ! こうなったら、手投げ弾を使う!」
副長の決断に、皆が驚きの声を上げた。
「ええっ!? 大丈夫かよ」
「部屋が一つ吹き飛ぶだけだ。このままじゃ埒があかない!」
乗組員も銃では歯がたたないのが解ったのか、頷くしかなかった。
「よし! 一旦退避!」
乗組員全員で銃を抱えて一旦後退すると、副長が廊下に備え付けてある伝導管に向けて叫んだ。
「艦橋! 銃では歯がたたない! 手投げ弾を使う!」
『おい、ちょっと待て!』
『おおい! この船を壊すつもりか?!』
艦長の隣で叫んでいるのは、この艦の持ち主――スーパーマーケットの店主である。
「他に方法がありません」
『くそ――やむを得ん! 許可する』
「右舷聞こえたか?」
『はい!』
伝導管は管で繋がっているだけなので、全部の場所で同じように会話ができる。
艦橋との会話を終えると――副長が肩にかけたバックから手投げ弾を取り出した。
長い木の柄の先に円筒形の爆薬が付いている代物だ。
「俺が1人で行ってくる。皆は安全な所へ非難しろ」
「大丈夫?」
マリナンという少女が、心配そうな顔をして、副長の顔を覗き込む。
「誰かが、やらにゃならんだろ……よし、行ってくる」
副長が手投げ弾を持って、虫の所へ向かうと――柄の尻に付いている点火線を引っこ抜いて虫に投げつけた。
続いて激しい爆音と振動が船を揺らす。辺りから悲鳴が響くが、その振動は艦橋にも伝わった。
艦橋では、艦長の近くで店主がしがみついている。
「おおっ!」
「艦長! 大丈夫だろうね?!」
「わかりませんが、虫の侵入を許せば、皆が食い殺されて終了ですよ!」
「それはそうだが……」
そこに再び揺れが襲う。今度は右舷で手投げ弾を使ったのだ。
「こんな所で墜落すれば、森の餌食です。多少の艦の損傷は諦めて下さい」
「わ、わかった……」
店主も覚悟を決めたようだ。どのみち、このままでは助からない。
艦長は次の指示を部下に出した。
「全見張り台に確認しろ! 周りにマニューバか輸送機が飛んでいないか?」
数十秒で返答が来た。
「見えないそうです!」
「それでは、救難信号赤弾を上方に向けて、数十秒間隔で発射し続けろ!」
「了解!」
すぐさま艦の上方から、信号弾が発射された。色は赤――これは緊急救難の要請である。
手投げ弾を使った虫の侵入口では、爆発による煙が艦内に充満していた。
それが薄っすらと晴れてくると――さすがに爆薬は効いたのか、虫の頭は引っ込んでいた。
「やったぞ!」
様子を見に戻ってきた乗組員は拳をあげると、艦内に歓声がこだまする。
「おい、喜ぶのはまだ早いぞ!」
「ギチギチギチギチ――」
巨大な黒い虫が、再び警戒音を発しながら侵入を開始すると、メキメキと構造材が裂ける音を聞いた乗組員が震え上がった。
「くそっ! 誰か助けてくれぇ!」
「こんな所に誰もいやしないでしょ!」
弱音を吐く乗組員を押しのけて、少女がライフルを構えると一発発射した。
当然、効き目はないが、彼女は副長の腕を掴んだ。
「今度は、あたしが投げる! 手投げ弾を貸して!」
「女の子のやることじゃない!」
「さっきも言ったでしょ! 女だからってのは、流行らないのよ!」
マリナンという少女は、副長が持ってきたカバンに手を突っ込むと、強引に手投げ弾を奪い取った。
「おい! マリナン!」
副長の制止する声にも耳を傾けず、少女は点火線を引き抜くと、虫に向かって投げつけた。
再び激しい爆音が、艦内を揺るがす。それに呼応するように、反対側の舷側でも爆発が起きた。
爆煙が、もくもくと艦の外へ流れて灰色の帯を作る。
とりえあず爆薬で牽制するしか、手がない状態。
輸送艦の艦内では、虫との死闘が続けられていた。
――その同じ空の下。
配達が終わったシュラが、グライダーを曳きながら、青い空の下を飛んでいた。
「今日も何事もなく終わったね」
『シュラ、滑走路に着陸するまでが仕事だよ』
「まぁ、その通りだけどさ――ギンさん、異常はないですか?」
『ああ、今のところな、はは』
そのまま、しばらく飛び続けていたのだが、ゼロが異変に気づいた。
『シュラ! 救難信号赤だ!』
「え!? どこどこ!?」
『2時の方向』
「ええっ!? 俺の目じゃ、全然見えないけど……」
『間違いない』
ゼロの目は、風防の前にちょこんと飛び出ている2つのレンズだ。
これを使って、ほぼ全周を見渡せるらしい。勿論、機械なので視力は人間よりかなり優れている。
「ギンさん! 2時方向に救難信号赤です」
『なんだって?! 俺からは、まったく見えないが……』
「救助に向かいます! よろしいですか?」
『よっしゃ! 任せた』
マニューバとグライダーは繋がっているので、両機の呼吸を合わせないとダメだ。
シュラはゆっくりと、ゼロが指示す方角へと進路を変更した。
そのままスピードを上げて5分ほど飛ぶと、大きな輸送艦が見えてきた。
発見した場所から30km程離れた地点である。100m超の輸送艦でも、米粒程の大きさもない。
人間の目では発見不可能だったろう。
「輸送艦? ああっ! これは移動店舗艦だ!」
シュラが長年に渡り、やってくるのを楽しみにしていた移動スーパーマーケットである。
『シュラ、舷側に大型の甲虫が取りついている』
「艦橋へ向かうよ!」
シュラは輸送艦と平行に飛んで、輸送艦の艦橋が見える位置につくと――それを輸送艦の艦橋乗組員も確認した。
輸送艦の艦橋内に、乗組員の声が響く。
「左舷から、マニューバ近づく!」
「なに!? マニューバ? 救難信号を見てくれたのか?」
艦長も左舷の覗き窓に走って確認をする。
「しかし、グライダーを曳航しています!」
「なんだって!」
艦長が不安に思うのも無理もない。グライダーを曳航したままでは、無理な機動はできないのだ。
不安に思う乗組員たちだが、このマニューバに賭けるしかない。
艦長が命令を叫ぶ。
「左舷のマニューバに発火信号を送れ!」
「了解!」
移動店舗艦からの発火信号をシュラが見た。
『シュラ、発火信号だ』
「両舷ニ虫――反対側にも居るのか!」
『おい! シュラ! こりゃ虫にやられているのか?』
後ろのグライダーから、声がする。
「そうみたいです! これから排除します! いけますか?」
シュラはやるつもりだが、グライダーが繋がったままだ、一応確認をしなければ。
『ああ! まかせろ! 伊達に30年も空を飛んでねぇ! ここでやらにゃ、男が廃るってもんだ!』
シュラが輸送艦に発火信号を送る。
『虫ヲ左舷カラ追イ出シテクレ』
シュラは、スピードを少し落とすと、輸送艦の舷側に回った。
そのまま機体を90度左に倒し、なるべく輸送艦に近づく。ちょっとでも輸送艦が進路を変更すれば、衝突は免れない。
そうなれば、曳航しているグライダーも道連になってしまうが、マニューバの機体に合わせるように、グライダーも左へ機体を倒した。
『うひょー! グライダーで、この姿勢はつらいぜ!』
輸送艦の艦橋では、シュラのマニューバが左舷後方へ下がるのを確認。
白兵戦をしている乗組員へ指示を送るため、伝導管に向かって艦長が叫ぶ。
「左舷にマニューバが来てる! 虫を追い出せないか?!」
『なに!? マニューバ!? 解った! ありったけの手投げ弾を集束して使う』
それを聞いた店主があたふたしているが、ここでやらねばジリ貧になる。
マニューバは足が短いので、いつまでも付き合っていられないのだ。
虫と格闘している通路では、手投げ弾を集束する作業をしていた。
弾頭を柄から外して、カバンに詰め込んでいるのである。
「本当だ、白いマニューバが見える! けど、グライダーを引っ張ってるぞ?」
通路の途中に開いた窓から、外を見た乗組員が叫んだ。
それにも目をくれず、副長が手投げ弾の収束作業をしている。
「よし! できた! 俺が行く!」
副長が虫の所へ走って行くと、柄の残っている手投げ弾から、点火線を引き抜く。
「おりゃぁぁ!」
風車のように1回転させ、投げ弾を詰め込んだカバンが、虫の所へ飛んで行く。
副長は、全力疾走でその場所から離れ、最後は床にダイブした。
輸送艦と平行に飛んでいるシュラとゼロは左側に倒れたままだ。
身体が左側に押し付けられて、血と内臓が偏る。
(このまま飛び続けるのはキツイ!)
シュラが、そう思った時、輸送艦の外壁に大爆発が起きて、後方へ流れる破片がマニューバへ降り注ぐ。
(ワイヤーに当たらないでくれよ……)
その時、爆発に押し出されるように、巨大な黒く丸い物体が外壁から顔を出した。
「出たっ! て~っ!」
シュラが操縦桿の引き金を引くと、胴体下のリボルバーカノンから、1秒に2発の砲弾が発射され――。
飛び出した虫の腹部へ命中して、緑色の臓物が噴き出した。
それを浴びた白いマニューバが緑色に染まる。
「ゼロ! ごめんよ! 帰ったら洗ってあげるからさ!」
その様子を非常口のドアを開けて、乗組員たちも見ていた。
艦内は与圧していないし、高度も1000m程なので、扉や窓を開けても問題はない。
ドアの外にある小さな踊り場に身を乗り出すと、手すりに掴まり――輸送艦の乗組員達が歓声が上げた。
「やったぁぁ!」「いい腕だな!」
「ありゃ! 本当に、グライダーを引っ張ってるじゃないか」
「すごい綺麗なマニューバ! まるで鳥みたい……」
マリナンがうっとりした顔でつぶやく。
虫を吹き飛ばす様子見ていた副長から、右舷側へ指示が伝導管で飛ぶ。
「右舷も、ありったけ手投げ弾を使って虫を追い出せ! 心配するな! このナイツは腕利きだ!」
『了解!』
シュラとゼロは、そのまま艦の右舷へ回ると、続いて起きた爆発によって出てきた虫の腹部に砲弾を見事命中させた。
『うひょー! やったな! あれじゃ、虫もすぐに死ぬだろ』
グライダーからシュラの所へ、ギンの声が届く。
「水が少ない、すぐに帰投します」
ここから、エスランの街までは約200km――1時間程かかる。
その分を計算に入れなくてはならない。増槽を装備しているとはいえ、油断は禁物だ。
『了解!』
「ギンさん、ありがとうございました」
『はは! いいってことよ! こんな俺が人助けなんて、上出来すぎらぁ』
「ふう! 移動店舗を守れてよかった! 俺の人生の大きな楽しみが一つ減るところだったよ」
『それは良かった』
「ゼロもありがとう!」
シュラは、そのまま輸送艦の艦橋の右舷に付けると、発火信号を送る。
『水ガ少ナイ、スグ帰投スル』
輸送艦の返答を待たずに増速すると、シュラは帰路についた。
虫の身体に大穴は開いたが、輸送艦の艦橋では対応に追われていた。
なにしろ舷側に大穴が開いてしまったのだ。まだ虫の頭は生きているが、これ以上侵入されることはない。
船体は傷ついたが、犠牲者は、虫に発砲した貴族の息子一人だけ。乗組員には安堵の表情が見える。
外にいる白いマニューバを見ていた乗組員が叫ぶ。
「マニューバが増速して、離れます!」
「どこの街のマニューバか聞けないのかね?」
この店主の質問に、艦長が答えた。
「水が少ないようです。これ以上は留まっていられないのでしょう。グライダーも曳航してますしね」
「そうですか……」
「だが、白くで特徴的なマニューバだ。すぐに持ち主は解るでしょう」
「是非ともお礼をしなくては」
絶体絶命の危機を助けてくれたのだ。ここで礼をしなくては、商人が廃る。
それに命を助けてもらって礼もしないとなると、辺境の街々から総スカンを食らってしまう。
そのままシュラとゼロはグライダーを曳航して飛び、エスランの街へ帰投した。
先にワイヤーを切り離し、グライダーを着陸させる準備に入った。
『シュラ! 水は大丈夫か?』
ワイヤを切り離す前、後ろのグライダーから心配する声が届く。
「グライダーを切り離せば、大分軽くなりますから」
リヒート用の燃料は残っているが――。
この機体のリヒートは駆動機関を使ってコンプレッサーを回すタイプだ。水が完全になくなれば、リヒートも使えなくなる。
グライダーが無事に着陸して、移動をしたのを確認してから、シュラが着陸体制に入る。
もう着陸にゼロのサポートも必要ない。シュラが1人で、着陸もこなす。
「ゼロ、ごめんよ。すぐに洗ってあげるから」
マニューバを牽引するために、レオナが車をやって来て、叫び声を上げた。
「ぎゃー! なんでこんなことになってるの?!」
白いマニューバが、虫の体液で緑に染まっているのだ。
「虫を撃ったんですよ」
「なんで、グライダーを曳航しながら、そんな無茶をしてるの!?」
彼女の言うことももっともなのだが、非常事態につき仕方ない。
そこにギュオール運送の親方もやって来た。ギンから話を聞いたようだ。
「シュラ! 移動店舗艦を助けたんだって?」
「ええ、両舷に大型の虫が食いついてました」
「あいつらなにやってんだ。何十年樹海の上を飛んでるんだ。素人じゃねぇんだぞ」
「こんなことは初めてなので、なにか事情があるんでしょう」
「まったく――墜ちたら俺たちの楽しみが減るじゃねぇか。なぁ!?」
「ええ、移動店舗が来るのを楽しみにしている人が沢山いますからね」
そんなことを言いつつ、移動店舗艦が墜ちたら、反重力炉と無尽炉を拾いにいくのだが。
「でも、あんな巨大な艦を回収するのは大変ね」
「細切れにして回収してくっつけるのか? 帝国の軍艦だって、炉を回収して終わりだぞ?」
その後、零細の回収屋などに回収されつつ、海底に眠る鯨の死体のように、徐々に部材が剥ぎ取られていく。
「シュラ――多分、移動店舗艦から礼ももらえるだろうし、他の都市からも感謝されると思うぞ?」
「そうねぇ、ドラゴンに続きお手柄よ。本当に辺境の英雄になっちゃうかも」
親方とレオナにそんなことを言われても、シュラはいつもと変わらない。
「俺としては、移動店舗がやって来てくれるだけで嬉しいんですけど……」
「はっはっはっ、シュラらしいな」
親方が、いつものように大笑いしている。
「でも、水の残りが少なかったんで、素性を明かさずに戻ってきてしまいましたけど」
「白いマニューバで、あんな逆ガル翼の機体なんてないから、すぐにバレるわよ」
(そんなことより、ゼロを早く洗ってあげなくちゃ)
レオナに機体を駐機場に牽引してもらうと――青空の下、給水車の水をもらいながら機体を洗い始めた。
「シュラ! 手伝うか?」
事務所から戻ってきた、ギンに話し掛けられるが、かなり疲れている様子。
「いいえ、ギンさんには無茶させてしまいましたから、疲れたでしょう? 休んでください」
「はは、グライダーで横転するのは厳しいな。あんな飛び方をするとは思わなったぜ」
「ごめんなさい」
「いいってことよ! 移動店舗が来なかったら、楽しみが減るじゃねぇか、ははは」
この男も、移動店舗が来るのを楽しみにしている一人だったのだ。
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――1週間後、シュラがいるエスランの街に移動店舗艦――スーパーマーケットがやって来た。
街の外へ降りた大きな輸送艦に、街の住民が殺到。辺りはごった返した。
人が集まっているので、エスランの商人たちも露店を出している。稼ぎ時だ。
当然、キラのキラキラ商会も店を出す。
「おい、予定は、もう少し後のはずじゃなかったか?」
「急遽決まったらしいよ」
「あの英雄様に会いにきたんだろ?」
「まぁ助けてもらったから、当然だろ。ここで後回しになんかしたら、皆からなにを言われるか……」
広場に集まった人々が、わいわいと話をしているが、シュラが移動店舗艦を助けたのは、街の皆が知っている。
移動店舗艦は、自分たちを助けてくれたナイツにお礼をするために、予定を変更してやって来たのだ。
身元を明かさなかったシュラであったが、特徴的なマニューバのお陰で、すぐに持ち主と街が判明した。
急遽予定が変更されて、隣街からエスランの街長の下へ連絡が入り、今回の運びとなった。
当然、この場所には、シュラも来ていて、このスーパーマーケットがやって来るのを、ずっと楽しみに待っていたのだ。
シュラが見上げる艦の側面には、新しいパッチの跡が見える。
急遽、修理をしたのだろう。外側は直っているように見えるが、中はどうなのか?
(でも、お店を運営できるってことは、機能的には問題がないんだろうな――よかった)
移動店舗艦の前の広場には、舞台が設置されて、店主のアロタールと街長とが舞台に上がり歓迎式典が始まった。





