1 わたしはTS小説を語るぞぉぉ!
わたし、幼女作家ですけど、実をいうと歴史に詳しいんです。
だから、今回TS小説の歴史なるものを書いてみようかなーなんて思います。
まず、みんな知ってるかもしれないけれど大前提として、
TS小説とは何って言うところから述べます。
これはタイトル釣りされたみなさんなら既にご存知ですよね?
TSとはトランスセクシャルの頭文字のことを指し、日本語に訳せば『性転換』のことを言います。
でも、このTS小説って実をいうと今もですけど、けっこう曖昧な概念なんですよね。
たとえば異性装=TVとの境が曖昧だったりします。
したがって、古くは『とりかえばや物語』とか手塚治虫の『リボンの騎士』など、少女が男装をしたり、少年が女装をしたりするのも、TS小説に含まれるという見解もあるんですよ。
実際に、現代においても5chの文芸板では『女装』と『性転換』が並列して語られており、両者の親和性は高いと思います。
それに、現代ではわりとよく聞くようになったLGBTという、なんというか『リアル』な方々も含めていた節があるんですよね。で、実際に性転換手術を受けた方が書いてたりするものもあって、こういう言い方はよくないのかもしれませんが、読んで『重い』小説も分離されていなかったんです。
つまり、カオスだったのです。
世界には黄金の海がたゆたっており、さまざまな概念が浮遊していました。
転機となったのは『少年少女文庫』http://ts.novels.jp/library.htmlです。
このサイトはネットにおけるTS小説のあり方を決めた草分け的存在で、その功績は大きくいえばたった一つに絞られます。
『TS小説の中のライト層を抽出した』
これです。
これが、少年少女文庫の最大の功績です。
よくわからない?
おじちゃんたちならわかるよね?
こほん。
そもそも――です。
少年少女文庫が設立される前は、現実はどのような状態だったでしょうか。
そうです。
ダイヤル接続でぴーぷるるるるな時代です。
ヤフーのトップページを出すだけで、30秒くらいかかる時代です。
つなぎ放題なサービスも出始めていましたけれども時間制限があったり、時間ごとに有料な接続のほうがまだ大半を占めていた時代です。
当然動画なんか見れるわけありません。
そんな中、娯楽といえば、ブログのような文字媒体で情報を伝えるサイトか、
――ネット小説
だったわけですね。
ホームページがたくさんたくさん生まれました。
星のようにたくさん。雨後の竹の子のようにたくさんです。
それらの星々が寄り集まってクラスターをかたちづくりました。
TSサイトどうしのリンクです。
リンクという概念は現代ではかなり廃れてますよね。SNSの発展がウェブページではなくコンテンツへのダイレクトな接続を可能にしているからです。でも当時は、それしか方法がないわけです。コンテンツではなくウェブページというひとかたまりのパッケージどうしのリンクだったわけですね。
その当時は、リンクを辿っていって、自分の好みのネット小説を読むというスタイルが一般的でした。
しかし、それは膨大な量のネット小説の中から『自分の好み』を探すという作業が必要になることも意味しています。
そして、この個人のページたちは個人のページであるがゆえに、ニッチ街道を邁進してました。
TSというのは、それ自体が性にまつわるフェチズム溢れる属性です。
いまでもTS少女が男と恋愛すべきか否かを議論すれば戦争になります。
一人ひとりの趣味嗜好の分布にかなりの広がりがあるんですよね。
ですから――、
TSサイトだからといって、好みの小説が得られるとは限らなかった。
いわゆるポータルサイトがなかったんです。
※なかったとは言いすぎかもしれない。作者にお願いして投稿してもらう数が多かった結果、たくさんの多人数作家で構成されるということはあった。
少年少女文庫は、TS小説を集める『投稿型』のサイトとして最初から機能していました。
そして、少年少女を設立者である八重洲さんは、少年少女文庫を設立する際にこのようなことを書いています。
『 このホームページの主題は「ロマン(幻想)としてのトランスセクシュアリズム」である。』
http://www14.big.or.jp/~yays/intro.html
ここでいうロマンとは『リアル』と対置させた言葉のことです。
言ってみれば、ファンタジーなんですけど、ドラゴンが空を飛び、魔法が飛び交うようなファンタジーではなく、リアルLGBTとはかけ離れたTS小説を集めようという趣旨だったんですね。
一番近い概念としては『萌え』なのかな。そんな感じ。
そして、少年少女文庫はレンタルサーバーだったと思うんですが(管理人さんがたびたびお金払うの忘れて落ちたことが何回かある)、そのサーバーの特性上『18禁』がダメで、あるいはそもそも18禁をはじくことでフェチズムとしての純化をこころみたのかもしれませんが、非18禁を募集したのです。
この二つ『ロマンとしてのTS小説』と『非18禁』という二つの要素が、『ライトTS小説』とも呼べるようなライト層に響く、あまり重くないTS小説というものを生み出す要因になりました。
次項ではこの『重さ』について語ります。




