第九話
C-2輸送機やIl-76に分乗した第一空挺団隊員達は静かにDZ(着地予定地点)の上空に到着するまで待機していた。
「降下6分前です!」
パイロットは叫んだ。
「降下用意、立て!」の号令がかかりこの輸送機に乗っている空挺団員全員が一斉に起立し自動索をいつでもワイヤーに掛けられるようにした。
「環を掛け!」という号令が機内に響き渡り環を全員がワイヤーに引っ掛けた。そして、外れないように掛け金にピンを差し込んだ。
「自動索環、安全ピンよし!」
「装具点検!」
自動索、肩部離脱機、胸帯・・・とチェックをしていった。
「報告!」
「準備よし!」
一番前にいる隊員が尻を叩かれ報告した。
「バーナード一番機、コースよし!コースよし!用意!用意!用意!降下!降下!降下!」
「青!」
「降下!」
9機の輸送機から約330人の隊員と6輌の装甲車輌が投下された。
「お世話になりました!」
最後の隊員も降下し、輸送機隊は基地に向けて引き返した。
BMD-3や16式機動戦闘車はパラシュートに支えられながら着地した。
16式機動戦闘車は着地すると先に降下した隊員によって異常の有無を確認された。異常はなかった。
装甲車輌部隊は無傷で降下に成功し、直ちに全車両が前進を開始した。
市内の各所に89式小銃やAK-74の銃声が響き渡った。
空挺団は11個小隊に別れ、市内に展開した。
第一小隊はヘリのLZ(着陸地点)の確保の為に広場に向かっていた。
広場に皇国軍の残存部隊が陣取っていた。
小隊長はハンドサインで部下に手榴弾の投擲を命令した。ピンを抜き、数秒後それを投げた。
手榴弾は爆発と共に無数の破片で敵を切り裂いた。
一瞬で広場に居た全員が戦闘不能になった。
「生存者は射殺しろ!」
隊員達は一人ずつ確認し、生存者の頭に5.56mm弾や5.45mm弾を撃ち込み射殺していった。
ドスッと言う音が聞こえ後ろを振り向くと隊員が倒れていた。背中に矢が刺さっていた。
後ろの建物の窓が少し開いていた。
また、顔を出し此方に矢を発射しようとしていた。
誰かが小銃てき弾を発砲し壁を貫通し内部で爆発し、建物ごと吹き飛んだ。
先ほど、矢が突き刺さった隊員は衛生兵によって止血されモルヒネを打たれていた。
ヘリの羽音が聞こえ始めた。五分後ヘリ部隊が広場上空でホバリングし、大量の隊員を下ろして、負傷者を運んで行った。
16式機動戦闘車が歩兵の随伴なしで市内を走っていた。無線で援護要請を受けたからだ。
現場に着くと、小隊長が待っていた。相手は杖から火の玉を出し攻撃をして来るらしく隊員の一人がそれを食らい炎上し死亡したらしい。
16式は完全にハッチを閉め、敵陣に突入した。確かに火の玉が飛んできて炎上した。が、焦げが少し付いただけだった。
主砲がキャニスター弾を発射し、歩兵は一気に薙ぎ倒されたがまだまだ残っていた。
RWSのM2が魔法使いをなぎ倒した。だが、一人残っていた。透明の青い幕が守っていた。105mm多目的榴弾を躊躇なく発砲した。青い幕を貫通し、多目的榴弾を食らった相手は体内で多目的榴弾が爆発した。