105話
明日は勤労感謝の日ですね
サービス業の稼ぎ時ですね
…勤労感謝とは?
…っ!シアン危ない!
鉄化!
ガギンッと金属がぶつかるような鈍い音がして、襲撃者の爪はシアンの手前で俺に食い止められた。
さっと体勢を整えたそいつは、グルルと唸って俺を恨めしそうに見ている。
こちらも相手を警戒しながら、冷静に相手を観察する。
襲撃者の正体、それは…
さっきまで巨大な鎖に繋がれていたあの白いライオンの魔獣だった。
いきなり暴れだした魔獣に生徒たちはパニック、慌ててその場から逃げる生徒、使用人の元まで行き身を守らせる生徒、こちらに向かって魔法を放つ生徒など、授業は混沌を極めていた。
…って、ちょっと待て!
魔法はシアンが巻き込まれるぞ!?
そう思ったのも束の間、ライオンに向かって放たれた色とりどりの魔法の幾つかがやはりこちらにも飛んできた。
くそ!アースウォール!
足元の土を操作し、簡易的な壁を作るが…
やはり慣れていない魔法では上手く操作が出来ず、いくつかの魔法が壁を壊してこちらに迫っていた。
…っ!どうすれば!?
そう思ったとき、土壁の更に内側に水で出来た壁が現れ、残った魔法を全て防いだ。
これは…?
不思議に思って後ろを向くと、そこには何かの覚悟を決めた表情をしたシアンがいた。
「ミーくん大丈夫?」
う、うん…。
それよりも、シアンも早くエイラさんのところに…
「ミーくん、まだ戦える?」
え?まあうん。
この間にも魔獣には絶えず魔法が注がれているし、俺も魔法を撃っているけど、魔獣は魔法を身を翻したり、爪で切り裂くことでほとんどダメージを受けていない。
「じゃあ、しばらくの間私とミーくんであの魔獣を足止めするよ。」
…なぁ!?
何言ってんの!?
ここは先生とか使用人さん達に任せて…
と思ったけど、落ち着いて周りを見回してみると、
ワタワタしているだけで何も出来てない先生
いきなり暴れだした魔獣に恐怖する生徒
雇い主を守るだけの使用人たち
…誰にも頼れねえ!?
あ、エイラさんとノエルは魔法でちゃんと攻撃してくれているけど、こちらまでは少し距離があるし、間に魔獣がいる。
確かに、ここは俺たちでやるしかないのか…。
「じゃあミーくん、私はみんなに指示も出すから、ちょっとの間だけお願い出来る?」
…分かった!任せろ!




