表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
94/160

Episode 44:前編

Episode 44:前編


「名探偵の身体検査(V-E-T)――バーバラのノートと、秘密のカルテ」

ヤードの裏口、そして「初めての二人旅」


「ホームズ様、今日はハナコ姉様がヤードの会議で一日中お留守だべ。だから……私と二人だけで、年に一回の王立総合健診(VET)に行くべ!」


いつもはホネホネビルで笑顔を振りまいているバーバラが、今朝は小さな革のトートバッグと、イギリスのペット健康管理ガイドがぎっしり詰まったデータノートを抱え、少し緊張した面持ちでホームズの前に立っていた。


イギリスでは、動物愛護の観点から犬の定期的な健康診断チェックアップが非常に強く推奨されている。

かかりつけの獣医師(Vet)による年に1回の総合健診が一般的で、費用はおよそ50ポンドから200ポンド(約1万円〜3万7千円)が目安だ。


(……ふむ。ハート君が不在なのをいいことに、バーバラ君は私の『生体データ』を完全に測定する算段だな。世界一知的なポケット・ビーグルであるこの私に、身体検査など本来は不要なのだが……。まあ、英国の法律と愛護精神ルールに従うのも、名探偵の義務エレガンスか)


「クゥーン」と小さくため息をつきながらも、ホームズはバーバラが差し出したお出かけ用のクラシックなレザーリードに、大人しく首を通した。初めての「バーバラとホームズだけ」の静かな道中が始まった。


ホームズのブロック配列と、バーバラの「素直な予防医療解読」

コヴェント・ガーデン近くにある、レンガ造りの趣ある高評価な獣医クリニック(Vet)。

待合室のヴィンテージな木製ベンチに座りながら、バーバラはノートを広げて今日の健診内容を素直におさらいしていた。


「ええっと、イギリスの健康診断の主な内容は……まず身体検査だべ。体重測定、聴診器での心臓と肺の音、関節のチェック、お目々と耳と、お口の中の視診だべ。

それからノミやマダニ、腸内寄生虫のチェックと駆虫薬の処方、最後に必要に応じた血液検査だべ!」


ホームズはベンチの上で、待合室のキッズスペースにあった木製のアルファベットブロックを3つ、前足で几帳面に並べ替えた。


[ V - E - T ](ベット / 獣医師)


「あっ、ホームズ様! ブロックが『VET』になってるべ!」

バーバラが目を輝かせ、ノートの余白にその3文字をプロットする。


「この『V-E-T』の3文字は、ただの病院の意味じゃないべ! イギリスの動物愛護精神が詰まった『3つの防壁』の頭文字だべ! 『V=ワクチン(Vaccine)』

『E=検査(Examination)』

『T=治療・予防(Treatment)』。

白猫はいつもロンドンの電脳ネットワークを狙うけど、この健康診断は、ホームズ様の『生体セキュリティ(免疫)』をノーリミッツに最新状態へアップデートするための、一番大切なパズル(タイムライン)なんだべ!」


(素晴らしいぞ、バーバラ君! 君の言う通りだ。どれほど知的な脳細胞を持っていようとも、肉体の健康インフラが脅かされては1手先を読むチェスなど打てん。白猫がもし私の生体データを盗もうとハッキングを仕掛けてきても、このクリニックの厳重な医療サーバーと私の健康な血液が、最高のジャミング(防壁)になる!)


診察室のドアが開く(後編へ)

「ホームズちゃん、バーバラさん、お次どうぞ」


奥の診察室から、優しそうなベテランの獣医師が顔を出した。

バーバラは「はいべ!」と元気に返事をすると、ホームズをそっと抱き上げて診察室のステンレスの台の上へと案内した。


ハート刑事の出番は今回もゼロ。だが、バーバラの素直で完璧な健康管理ノートと、名探偵の冷徹な論理が、今まさに「100%完璧な健康証明書チェックメイト」を勝ち取るための、静かで平和な身体検査の幕を開けるのだった!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ