はじまりの風が吹く方へ
掲載日:2026/04/13
別れの余白に落ちた
まだ靴紐みたいに心を縛るけど
置き忘れた昨日のメロディーを
そっと拾えば
ほら懐かしさはどこにでも残ってる
君と過ごした季節は
まだ脈を打っていて
古いフィルムの光漏れみたいに
不意に景色をあたためてくれる
春の風がページをめくるたび
僕と君の物語は形を変えていく
交差点で別れた者同士が
またどこかで重なるように
未来はきっと気まぐれで優しい
だから立ち止まらないよ
涙は心のインク
滲んだ分だけ
新しい線が描けるはず
出会いはいつも予告なしで
ポケットの中で勝手に鳴る
知らない番号の着信みたいに
突然でびっくりするもの
春の匂いが街を染めるころ
新しい靴音がどこかで響いて
まだ見ぬ誰かの笑顔が
僕をノックする
そんな気がしているんだ
夢はいつだって
“いま” と “これから” の間で揺れていて
触れようとすると逃げる風船
ふわりと遠ざかるけど
追いかければ
すんなりと手に収まる
さよならの季節を越えた先で
必ず誰かと出会えるのなら
その瞬間を信じて歩いて行こ
別れの涙が乾いたら
はじまりの風が吹く方へ
僕は行くよ
君と過ごした日々を背中にしまって
新しい光を迎えに




