0004 ダンジョンと侵入者
「このダンジョンの情報はない。気引き締めていくぞ」
「わかってるって」
ダンジョンに入ってきたプレイヤー2人は、周りを警戒しながら進んでいく。
道はジメジメと湿っていて歩きにくく、人がギリギリ一人通れるぐらいの広さしかない。慎重に一歩ずつ歩みを進めていくと、6畳ほどの小さな部屋に出た。
「なんだ、スライムしかいねえぞ。このダンジョン、スライムダンジョンか」
「油断するな。だんだん強くなる可能性もあるだろ」
「そんな前例はないじゃねえか」
スライムダンジョンというのは、スライムが出てくるダンジョンのことで、スライムが出る序盤のダンジョンはスライムしか出ないように設定されているため、そう呼ばれていた。
「またスライムだ。やっぱりこのダンジョンスライムダンジョンだぜ。さっさと強化石回収して出ようぜ」
「ああ、そうだな。この感じなら長居する必要もないな」
2人は素早くスライムを全滅させ、奥の部屋へと進んだ。
もちろん、そこにゴーレムと人がいるなんてことも知らずに。
「どうせスライム……って、なんでゴーレムがいるんだよ!」
「ゴゴゴォォォォオ!!」
◻︎ ◻︎ ◻︎
「待ちに待った侵入者だ…DPをたくさん稼がないとな!」
「ゴゴゴゴ!」
「ゴーレムもやる気だな!」
紬はダンジョンに入ってきた侵入者、プレイヤーをウィンドウを通じて見ていた。
紬が見ていると、侵入者の2人はスライムを次々と倒していき、2分も経たないうちに10体ほどいたはずのスライムは全滅していた。
「うわっ、思っていたより強いな。これゴーレム大丈夫?」
「ゴゴッ!」
紬の言葉に対してゴーレムは手でグッドを作り、大丈夫と伝える。
一見、ゴーレムはただの岩の塊にしか見えないが、手と顔があることで器用に感情表現ができていた。
「よし、そしたら僕たちはここで待とうか!」
「ゴゴッ!」
紬とゴーレムが話しているうちにも、紬がいる部屋の一つ前の魔晶の部屋のスライムもすでに全滅しようとしていた。
「うわっ、もう来るよ。ゴーレム準備はいい?」
「ゴゴッ!」
紬はプレイヤーがダンジョンを経営しているということがバレないように、ゴーレムの背中に乗り、部屋の入り口から自分の姿が見えないようにした。
ゴーレムの背中に乗ってすぐに、プレイヤーの2人が部屋に入ってきた。
「どうせスライム……って、なんでゴーレムがいるんだよ!」
「スライムダンジョンのゴーレムだ、弱いかもしれない。やるぞ!」
「お、おう!」
プレイヤーの2人がゴーレム目掛けて一直線に突っ込んでくるのを見て、紬はゴーレムに指示を出す。
「やっちゃえ、ゴーレム!」
「ゴゴゴゴ!」
ゴーレムの拳はプレイヤーの2人に直撃し、勢いよく壁まで吹き飛ばした。
ゴーレムの攻撃をまともに喰らった2人は動くこともできなく、息を荒くしてゴーレムを見上げていた。
「いいぞ!もっとやっちゃえ!」
「ゴゴゴゴ!」
紬の無情な声に応じて、ゴーレムは腕を振り上げた。
そして、逃げる猶予も与えず、プレイヤーの2人めがけて、凄まじい勢いで拳を振り下ろした。
「なんで……スライムダンジョンに…ゴーレムと人型のモンスターが……いるんだよ……」
最後にそう言い残し、2人は光となって消えていった。
紬は気づいていないが、2人に紬の存在はバレていた。その当の本人は隠れられていたと思っているが。
「やった!僕たちの勝利だ!」
そう言って紬はゴーレムとハイタッチをする。
その時だった。
『レベルが上がりました』
紬の頭の中にそうアナウンスが鳴り響いた。




