38
「私を見て」ひまわりは言う。
ひまわりは真っ白な華奢な両方の肩の出ている、腰のあたりに大きな水色の花のようなリボンのある上品な上着と、美しい足がふとももまで見えるとても短い白色のハーフパンツを着ている。
その上着には特徴があって両手の指が隠れるくらい長くてぶかぶかの大きな袖のデザインになっていた。ちょうど両手を隠して胸の前に持ってくれば、おばけの真似ができるようなデザインだった。
その服はまめまきが出会った幽霊ホロウの女の子、小枝つばさと、水玉ひかりが着ていた大きな袖のコートと同じようなデザインだった。(幽霊のコートということなのかもしれない)
少しだけ出ている指先にはひまわりは白い手袋をしているようだった。
白い手袋の上から獅子の模様のある黄金の指輪をつけている。足元は白い靴下と白い真珠のような色をした靴。
美しくて長い白金色の髪はまっすぐに腰の辺りまで伸びている。その白金の髪には白い百合と白い羽根の形をした造形のあるカチューシャ(機械的なデザインだったので、デバイスなのかもしれない)のようなものをつけていて、右耳には太陽の形をした金色のイヤリングをしている。
ひまわりはその顔にいつも(普段から生活をするときに)仮面をつけていた。
仮面か、あるいは薄い布のようなものをつけて、自分の顔をつねに隠していた。
だから当然、まめまきはひまわりが仮面をつけているものだと思っていた。
……でも、今、まめまきの目の前にいるひまわりは素顔だった。(最初に驚いたことには、ひまわりが素顔だったという理由もあった)
深い青色の海のような美しくて大きな潤んだ瞳と、真っ白な小さな顔。(でも、その小さな頭の中には宇宙がつまっている)生まれたてのような可愛らしい耳。白い歯に赤みを帯びている小さな唇。
そのどれもがまめまきの知っているひまわりの顔だった。
ひまわりは小柄な体格をしていて、肌は雪のように白く、胸は小さい。すらっとした長くて細い足はぴったりと閉じている。両手は丁寧に重ねられてひざのうえに置いてあった。
美しい(……本当に美しかった。浮雲ひまわりという名前の芸術品みたいだった)ひまわりの素顔や形を見て、「とても綺麗」と思わずまめまきはいった。
そのまめまきの素直な言葉を聞いて、ひまわりは「ありがとう」と飾り気のない声で言って、にっこりと(年相応の十五歳の少女らしく)嬉しそうに微笑んだ。(びっくりするくらいに魅力的な笑顔だった)
「久しぶりですね、……今の名前はまめまきでしたね」
まめまきの記憶の中にある優しいひまわりの声で、ひまわりは言う。
「……うん。本当に久しぶりだね。ひまわり。ずっとあなたに会いたかった」
と(なるべく冷静を装って)まめまきは言った。(その言葉は嘘ではなかった)
「かわいそうに。その片目はどうしたの?」とまめまきの左目を指さしながら、ひまわりは(表情を曇らせて)言った。
「少し痛めただけだよ。もう痛くはないし、怪我が治れば、すぐにまた見えるようになる」と自分の左目を隠している白い眼帯を触りながらまめまきは言った。(本当はまだ眼帯のガーゼの奥で左目はずきずきと痛んでいたけど……)




