27
「傷の手当てをするの、上手だね、ひかりちゃん」
とひかりを見ながらまめまきは言った。その言葉は嘘ではなかった。ひかりの手当てはかなり的確なものだった。それがまめまきには自分の怪我だらけの体の様子をみればみるほどきちんと理解できた。もし自分で手当てをしたとしても、だいたいひかりと同じ処置になっただろうと思った。(包帯の巻きかたとかはもっと乱暴だったと思うけど)
「よく、怪我をする友達がいたんです」
と、悲しそうな顔をしながら(木製の机の上に置いてある古い薬箱を見つめて)ひかりは言った。
……よく怪我をする友達がいたんです、か。
(まめまきは自分に襲い掛かってきたたくさんのロストチャイルドたちのことを思い出した)
「私はまめまき。胡桃まめまき。よろしくね。ひかりちゃん」
とその包帯で巻かれている白い手をひかりに向けて差し出しながらまめまきは言った。
「……えっと、はい。よろしくお願いします。……まめまきさん」
と照れているのか、とても恥ずかしそうにもじもじと体を動かしながら、その可愛らしい顔を赤くしたひかりは小さな声でそう言いながら、遠慮がちに(白い指の先のあたりを握るようにして)まめまきの手を握った。ひかりの手はまるで氷のように冷たかった。(それは幽霊ホロウの特徴であるようだった)
これが幽霊ホロウ。……そんなことまめまきは思う。
まめまきはひかりを顔を見た。(星の浮かんでいる瞳が、宇宙みたいでとても綺麗だった)
目と目があうとひかりは恥ずかしそうに顔を(下に)そむけた。
そんなひかりの行動を見て、あまりにも無防備すぎるな、とまめまきは思った。(普通の子供と同じだ。きっと戦闘訓練などの特殊な教育はうけていないのだろう)
「突然お邪魔して申し訳ないんだけどさ、もう少しだけ、この怪我が治るまでの間でいいから、このままここで眠らせてもらってもいいかな? ひかりちゃん」とまめまきは言った。
「はい。まめまきさん。もちろんです。ゆっくり眠ってください」とひかりは笑って言った。
「どうもありがとう、ひかりちゃん」とにっこりと笑ってまめまきは言った。
それからひかりに話を聞くと、ここはひかりの家で、まめまきが眠っているのは、いつもはひかりの使っているベットのようだった。
つまりまめまきが眠っているとひかりはベットで眠れないことになってしまう。
なのでまめまきは「ひかりちゃん。一緒に寝よう」と言って、ひかりと一緒に眠ることにした。ひかりは恥ずかしいですといって、手を大きく振って遠慮したのだけど、まめまきは無理やりひかりをベットの中につれこんだ。
ひかりはつばさと同じようなフードのある大きめの袖のところがぶかぶかの(手がかくれるくらいの、そのまま幽霊遊びができるような) 白い厚手のコートを着ていた。その白いコートを脱がすと、その下にひかりは白い薄手のワンピースを着ていた。
すると観念したのか、少ししてひかりはとてもおとなしくなった。幽霊ホロウのひかりの白い肌をした体はあいかわらず氷のように冷たかった。
「まめまきさん。あったかいです」と甘えるような声でひかりはいった。
まめまきは自分の体温で氷のような体温をしているひかりの体が雪のように溶けてしまうのではないかとちょっとだけそんなことが心配になった。




