18
そうやってまめまきが真っ暗闇の中を走っていると、不意に、『こっちです。こっちに来てください』と言うあの不思議な声がまたまめまきの頭の中に聞こえた。
まめまきはその声を聞いて、「誰!? つばさ? あなたは、小枝つばさちゃんなの!?」と周囲に広がっている真っ暗闇の空間に向かってそう大声で叫んだ。(その声はやっぱり、つばさの声と同じだった。いや、間違いなく、その可愛らしい女の子の声は、先ほど出会った『幽霊ホロウの女の子、小枝つばさの声』だった)
しかしその不思議な声はまめまきの言葉には答えずに『こっちです。こっちに来てください』と言う言葉を繰り返すだけだった。
『こっちに来てください。私を信じてください。……まめまきさん』しかし次の瞬間、不思議な声は繰り返していた言葉を変化させて、そして、まめまきの名前を言った。
その不思議な声は先ほど、まめまきを瓦礫の山の中にいる、つばさのところまで誘導してくれたときと同じように、その不思議な声が聞こえてくる方向から、『不思議なまめまきを引っ張るような方向性のような力』を持って、迷子の笹枝まめまきを真っ暗な闇の中で誘導した。
不思議な声の言う、『こっちです』の『こっち』というのが、『どちらの方向を示しているのかわかるような、なんとなく引っ張られるような力のようなものを、まめまきは感じ取ることができた』のだ。
それは先ほどまでは、ずっと目に見えない、ただの不思議な引力のような力だったのだけど、今回はさっきまでとはまた少し違って、『もっとはっきりとした目に見える不思議な現象』が起こった。
駆け足をしているまめまきの少し前の闇の中に、『ぼんやりと白く光る一人の女の子』のまめまきを自分の目的の場所まで先導するようにして駆け足をしている姿がその目で見てわかるくらいはっきりとあらわれたのだった。
その白く光る女の子の姿は、先ほど出会った幽霊ホロウの女の子、小枝つばさと同じ姿であるようにまめまきには思えた。
……あなたがつばさなのか、それとも違う幽霊ホロウの女の子なのか、私にはわからない。でも、あなたの走っている先に、つばさちゃんがきっといるのね。そういうことなんだよね。……わかった。いいよ。あなたについていく。だから私を『小枝つばさ』のところまで連れて行って。お願い。
まめまきは全力で走りながら、そんなことを思う。(不思議なことにまめまきが全速力で走っても、全然その白く光る女の子との距離は縮むことがなかった。二人の間はつねに一定の距離を保っていた)
すると、そんなまめまきの心の声に反応するようにして、白く光る女の子は、後ろを振り返って、にっこりと自分を追いかけてくるまめまきに向かって、楽しそうな顔をして笑いかけた。(思わず、まめまきはどきっとした)
ぴかっと空が光って、また、激しい轟音とともに青白い光の放電が走った。




