11 ……あの、どなた、ですか?
……あの、どなた、ですか?
その人物は手にランプのような小さな明かりを持っていた。その小さな明かりが、まるで蛍の明かりのように、ふわふわと、真っ暗な暗闇の中を動いて、ちょっとずつ、暗闇の中にいる、その闇の中でその両目だけをぎらっと光らせているまめまきのいる場所まで、だんだんと近づいてきた。
現在、まめまきがいる場所。
まめまきが突然、頭の中に聞こえてきた不思議な声に導かれてたどり着いた場所は、幽霊ホロウの街の地下にある、様々な機械のガラクタが積み上がった巨大な『瓦礫の山』だった。
真っ暗な穴にぐるりと周囲を囲まれている、その暗い穴の中心にある幽霊ホロウの街を支えている下部構造の部分に当たる場所には、ところどころを鋼鉄で補強されている剥き出しの岩の台座のような街を支える柱があったのだけど、その柱の中に、つまり幽霊ホロウの街の地下部分にこの場所はあった。
ここは、きっと、ひまわりにとっての、(今までまめまきが見てきたこの世界にいつくかある)巨大なごみ捨て場のような場所(の一つ)なのだろう。いたるところにもう使用することのない、あるいは使用済みの鉄鋼や機械の瓦礫が、まるで大きな山脈のようにいくつも連なって、数え切れないほど、積み上がっていた。(……その中には人形の手や足や、それから頭や体や、そのほかいろいろな人体の一部分のようなものもあった)
それは先ほどまめまきが幽霊の街の壁からロープを使って飛び降りた先にあった、巨大な穴のそこで見た、地獄のような人形たちの体が浮かんでいる黒い海の風景とはまた違った意味で、この場所もきっとこの真っ暗で閉じた世界の神様に(この世界で神様といえば、それはつまり浮雲ひまわりのことだった)見捨てられた、あるいは忘れられた場所だった。
瓦礫の山への入り口は、幽霊ホロウの街を支えている巨大な鋼鉄で補強された壁の一部にあった。そこにはぽっかりと一つ、わかりにくいけど、確かに小さな動物が掘ったような抜け穴が空いているところがあった。
……その穴が、この瓦礫の山に侵入するための入り口だった。




