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雷哭シンフォニー!-チート級スキルで帯電の巫女を守りつつ、最強ハーレムで異世界を轟かす高校生の大冒険-  作者: NOVENG MUSiQ
第2章|蒼海門の呼び声と雷哭の花嫁候補──新天地へ拡がる波動──

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22/24

◆第22話 月虹婚約儀──杯と鍵の口移し

 翠樹海(すいじゅかい)を抜けると、雲を貫く石柱群(せきちゅうぐん)が白昼の月虹(げっこう)を抱いていた。ここ――**月虹石柱宮げっこうせきちゅうきゅう**こそ、「(さかずき)の巫女」と「雷哭(らいこく)(ひめ)」が(えにし)を結ぶ聖域(せいいき)

 石肌を撫でる風は冷えた薄荷(はっか)花蜜(かみつ)の匂いを運び、足元の大理石は微細な魔導脈(まどうみゃく)を走らせて紫白(しはく)の光を散らした。


 堂内。ラジアは儀礼用(ぎれいよう)の**秘跡衣(ひせきい)**に身を包む。薄布(うすふ)のレース越しに浮かぶ(おか)雪灯(ゆきあか)りのように透け、星飾りの鎖骨(さこつ)を淡く照らした。

 対する深音(みかね)は紫紋を織り込んだ半透明(はんとうめい)法衣(ほうい)。肩から(すそ)雷紋(らいもん)が流れ、動くたび霧散(むさん)する静電火花(せいでんひばな)が野生の稲妻(いなずま)を思わせた。

 「御主(おぬし)……視線が熱いぞ」

 「す、すまん。見惚(みと)れてた」


 **誓印(せいいん)**は「互いの飲み物を口移(くちうつ)しで分かち合う」こと。

 ラジアが月虹酒(げっこうしゅ)をほのかに含み、深音の唇にそっと重ねた。瓶越しの炭酸が舌先で弾け、紫電がまるで花火のように唇間で(きら)めく。

 心臓(しんぞう)が跳ねる音が石柱を共鳴(きょうめい)させ、俺の胸奥で雷禦(らいぎょ)皇器(こうき)(すさ)ぶ。肩越しの銀髪――シャルトリューの視線が一瞬泳ぎ、逢月(みづき)はマストで鍛えた腕を組みつつも耳朶(じだ)を赤く染める。焔豹(もえ)は「溶鉱の火より熱いな」と鼻柱(はなばしら)で笑い、鈴寂は拳を握りつつ視線を宙へ逃した。


 口移しの儀は一瞬。だが余韻は長い。深音の(ほお)に淡い紅が差し、ラジアは祈り手らしい静謐(せいひつ)微笑(ほほえ)みを浮かべる。

 「杯は雷哭の鍵と共鳴し、蒼海門(そうかいもん)を完全開花へ導くでしょう」

 月虹杯が虹光を噴き、石柱群の魔導脈が一斉に点灯。天井の裂け目から昼月(ひるづき)の光が差し、その下で深音がラムネ瓶を掲げた。

 「これより神域(しんいき)への道を(ひら)く!」


 一同が喝采(かっさい)を上げた――その刹那(せつな)、石柱外縁(がいえん)を裂く(あお)い衝撃波。杯を照らす虹光が震え、警鐘(けいしょう)大太鼓(おおだいこ)が堂内に木霊(こだま)する。

 「“神殺(かみごろ)し”の本隊が動いたか」

 シャルトリューの銀矢が弦上で震え、深音の雷紋が苛立つように(ひらめ)いた。

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