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エリィの幼少期

エリィとレジンの幼少期

まだ前世の記憶がない時

「なぜ、このくらいの事も

出来ないのです!

やはり、低俗の子であるからか!」






バシィッ






あぁ、ほっぺが痛い…。

泣きそうになるのを必死にこらえる。


私の祖母、大奥様がお怒りになる。

でも、このくらいの事と、言われても

この家の令嬢にあたる私が使用人の様に扱われているなんて誰も分からないだろう。


当時、私には平民出身である母がいたが、

大奥様の刺客により、

私は攫われ、母は殺された…というのを

使用人の話を盗み聞きして、

分かった事だ。




私が私でいられる自由な時間は

夜、皆が眠りに着いた時だけであった。


そして、私は屋敷という名の牢から

夜が明けるまで、そうっと抜け出し、

ある男の子に会う…

それだけの日課を送っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


屋敷を抜け出し、

私は全力疾走で暗闇を走る。


ハァハァハァハァッ





「今日は、遅くなっちゃった!!

レジンがもう帰っちゃっていたら

どうしよう!」





レジンとは、ある日屋敷を気まぐれに

抜け出した時に出会った

黒髪の美少年である。


少年は、彼女が目の前に現れた時、

とても驚いていたが、

気さくに笑ってくれた。

誰かに笑顔を向けられた事は

ここ最近滅多に無かった為、

エリィは泣いてしまった。


少年…レジンはまた大層驚いていたが、

もう一度綺麗な笑顔を見せてくれた。

そして次の日もまた会う約束をした。





『エリィ、また明日ね。』


『レジン、約束よ。』




2人が会う時間は、お互いに花かんむりを作るまでの短い時間。

しかし、エリィには十分幸せであった。


エリィは少年がいる森の花畑の所へと

毎日行くようになった。




暗闇をまとう森の道を走るエリィは、

今日は少しうたた寝をしてしまい、

レジンと会う時間に起きてしまったのだ。





どうしよう…!

レジンが帰っていたらどうしよう!





たった1人の幼いエリィには、

レジンに強い執着を抱いても

もはや仕方が無かった。




全力疾走状態でヘトヘトなエリィが

森の花畑へと、やっとの思いで

たどり着いた。



「ハァハァ…ッ!レジン!レジーーンッ!」



エリィはもう汗やら葉やら泥やらで

めちゃくちゃだが、

そんな事はお構い無しにレジンを探す。





「ぐすっ!レジン…

帰っちゃったのかな…」



いくら目を凝らしても

レジンの姿が見えない。


エリィは、肩を落とし、

元来た道を帰ろうとした。




「エリィ!待って!!帰らないで!」




エリィは、少年の声を聞き、

花畑をもう一度振り向くと、

エリィと同じく身格好がめちゃくちゃな

レジンがいた。



「レジン!どうしたの?

もしかして、

レジンもお寝ぼうしちゃったの?」





こてん?と首を傾ける愛しいエリィに、

レジンは、心臓に矢が刺さるが、

足を踏ん張る。



「いや、今日はエリィにプレゼントを

渡そうとお店で選んでたら

遅れちゃった!ごめんね。」



そう言うと、レジンは、片手に十字架に綺麗な宝石が着いたネックレスを掲げた。



エリィは、レジンのネックレスの美しさに

目を奪われた。


「レ、レジン…私がこんなにも

素敵なネックレス似合わないわ…。」


レジンがなぜ

プレゼントを持ってきたのか…

嫌な予感を感じたエリィは、後ずさった。



だが、レジンは、真剣な表情になり、

こう残酷に告げた。


「もう、僕はこの国を出るから

エリィに会う事が出来なくなるんだ。

だから、最後に…」




エリィは、目から涙が溢れた。

その涙を拭っても止まらない。




「嫌よ…レジン。私を置いていかないでぇ」



涙を零しながら目の前の少年に訴えるが、

だが、少年は首を振る。


「エリィ、聞いて。

僕は、必ずエリィを助け出すから…。

僕はエリィを守る為に、

強くならなきゃいけないんだ。」



エリィは、その言葉を聞くと、

呆然と少年を眺める。




「エリィ、僕が一人前になったら、

絶対にエリィをこの檻から

出してあげる。」





ぶわぁぁぁぁとエリィの目からは先ほどよりも大粒の涙を溢れさせる。そして、首を一生懸命縦に振った。


「本当?」



「うん。だから、迎えに来た時は、

僕と結婚してください。」










「うっ、うえぇぇん!!

わがづだ!待つ!ずっど待っでる!

レジン…誓いを立てて。おねがい。」


エリィは、レジンに手を差し出す。

レジンは大層嬉しそうに笑い、

エリィと指切りげんまんをし、

誓いを立てる。




「貴方を守りたい。

喜びを分かち合いたい。

どんなに遠くへ離れていても、

貴方のことを想う。

貴方の痛みを背負う。

素敵な人生を貴方に捧げる。




エリィに、××を 」





「レジンには×××を」









最後に、レジンに

私が母以外誰にも話していない

絶対の秘密を耳元で話す。

ねぇ、レジン…

実は私はね…











そうして、レジンと別れ、

1人屋敷へ戻ると大奥様は縄で縛られ、

私は屋敷にいつ来たのか、

初めて会うお父様にきつく抱きしめられた。





そして、お父様によって、

辛い思い出は、忘れた方が良いと言われたのを最後に、私は記憶を…レジン、レジンと約束の記憶を失った。







レジンにエリィが話した秘密が

今後を左右します。

エリィが突然人魚の姿に

なったのはなぜか。

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