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灰色の対極 ~魔法使いの幼馴染を交通事故から助けたら僕も魔法使いになったみたいなんですが~  作者:
第二章 天使時間の歯車

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2-20 反省点


「今から反省点を挙げていきなさい」


『空間』の床に正座をさせられる僕を見ながら、先生はそう確実に怒りを孕ませた言葉を吐いた。


「……ええと、立ち向かったことですかね」


「他は?」


「……夜中に出歩いたことですかね」


「他は?」


「……ええと、もう思いつきません」


 僕がそう返すと、立花先生はあからさまにため息を吐いた。


「環くんさぁ。本当に反省しているのならば、いろいろともっと言葉を出すべきだと思うよ。じゃないと改善しようもないし、気持ちも伝わらないだろうに」


 先生がそう言うけれど、僕はこれ以上にどんな反省点があるのかはわからない。


 夜中に出かけてしまったのは、まあ、悪いミスの一つだろう。昼間まで寝ていた方眠気がなく、家で過ごすのが退屈だったとしても家で過ごすべきだったとは思える。


 そして、図書館に行き、時が止まったところで、葵と出会い、そうして少年の魔法使いと出会って、そうして応戦した。


 あの時はそうしなければならない、そんな感情だけが心を占有していたから、思考力が足りなかったのだ。


 ……でも、これ以上に何を言えばいい……?


「わからないようだから、僕から君の反省点を挙げるけれど、それでいいかい。嫌かもしれないけれど、きちんと聞いてくれるよね?」


「……はい」


 いいえ、という言葉を吐けるような雰囲気ではない。だから、そのままの空気に返事をする。


「君が反省するべき点……、それは──」


 そうして、先生は言葉を紡ぐ。




「──葵ちゃんのおっぱいを触ったことだ!」




 あ、そっちなんだ。





「いやあ、ずっと葵ちゃんについてきてよかったよ。もともと環くんを尾行するはずだったけれど、発信器が家から動きはないし、適当に寝ているのかなぁって思ってさ。そしたら、葵ちゃんの前にいきなり環くんが現れて、そしておっぱい触っているんだもん。流石に先生もびっくりしちゃったね。魔法でも使ったのかと思ったけれど、言い訳を聞いていてなるほどなぁって納得したよね。うん


 確かに男子高校生が時間を止まった世界に生きていたのなら、そりゃあおっぱいさわるよね。うん男子高校生の夢みたいなもんだもんね。だから君の言い分は間違っていないようにも聞こえる。


 けれどもあれだよね。君たちは輸血関係にあって、婚姻関係に近いものはあるとは思うけれど、実際に付き合っているわけじゃないんでしょう?普段の振る舞いから見ていてもなんとなくわかるけれども、そんな付き合いの女の子のおっぱいを触るなんて大罪でしかないよ。痴漢でしかないよ。もう性欲の権化だね。それ以上ないね。素晴らしいいよ環くん。


 明楽くんは認識阻害の魔法を使って、確かにそれらしいことをしようとしていたけれど、環くんは魔法が使えるようになったら、すぐにそんなことをするんだね。いやあ、実行力が素晴らしいというかなんというか。でも明楽くんでもまだやっていないことをやるのは流石にどうかと思うね。少しばかり人を疑うよ。そんなにおっぱいの魅力に引きずられたのかい?男子高校生は若いね。うん、あれはすごく面白くて仕方が──、じゃなくて、本当に犯罪でしかないよね。


 葵ちゃんも怖かったと思うなぁ。正直あの場面を見たとき、葵ちゃんが環くんを殺すんじゃないかなぁって思わずにはいられなかったけれど、それでも怖かったと思うよ。だって、健全な女の子がいきなり目の前に現れた信用していた男の子におっぱいを触られるなんてさ。流石におっぱいは大罪だよ環くん。


 ちなみに言い訳をするときに雪冬くんの名前を出していたけれど、彼はうぶだから絶対にやらないからね。彼、倫理観を問いまくって絶対にやらないタイプだから。だから葵ちゃんに殺されても文句は言えないよなぁ。環くん、ほんとおっぱいは──」


「──いい加減にしてくださいね、先生?」


「──ぇ」


「──さっきから、……ええと、おっぱぃ……って、そんな言葉を繰り返さないでください」


 ……やべぇ、今までに見たことがないくらいに怒っている視線を送っている。


 先生にだけではなく、僕に対しても。


 ……えっ、僕もう謝ったよね。きちんと許してもらえたんだよね。


 ──違う、あれだ。あれは許してもらえたのではない。あの時は状況が状況だったから、一旦さておいただけで、許してもらえたわけでは、ない。


「さあて!お話を始めますかね。先生、環さん?」


 ──あっ、これ死んだわ。


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