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第17.5話:『ifの彼方で——それぞれの対話』小野ミナトの空間:整然とした日常

静かに分岐空間へ導かれたタロットたちは、それぞれの“if”——選ばなかった選択肢と対面していた。その空間は一人ひとり異なり、まるで心の奥底を可視化したかのようだった。空も地面も、記憶と後悔と願いで構成された幻影。だが、そこに映っていたのは紛れもなく、彼ら自身の“もうひとつの可能性”だった。

陽光が差し込む整然とした部屋。机の上にはお気に入りの紅茶と読みかけの小説が置かれ、時計の針は一分の狂いもなく進んでいる。


窓の外には、小鳥のさえずりと、平和な町並み。通勤する人々、決まった時間に咲く庭のスプリンクラー、何もかもが予測どおりで、滞りなく動いていた。


それは、“運命の輪”が静止した世界。


そこにいた小野ミナトは、ソファに寝そべって本を読みながら、たまに紅茶を啜る。


「何も起きない……事故もない、サプライズもない……予定通りすぎて眠くなってきた〜」


ミナトは本を伏せ、空を見上げた。雲の流れすら計算されたかのようで、どこまでも規則正しい。


「毎日これだったらさ、安心だけど……なんかこう、ワクワクしないよね〜。運命ってのは、もっとこう……ぐるんぐるんしてなきゃ!」


彼女は懐から取り出したスロット型の魔道具をくるりと回す。カチリという音とともに、絵柄がランダムに回転していく。


「お? 当たり? ハズレ? それとも……大爆発?」


けたたましく回るスロットの音に、部屋の空気がわずかに乱れる。紅茶の表面が揺れ、机の上の花が一輪だけ傾いた。


「ふふっ、やっぱこれだよね〜。人生はルーレットだもん!」


スロットが止まり、“???”の表示が現れる。


ミナトはにやりと笑った。


「正解も、不正解も、確定しない——それが一番燃える!」


そして彼女は立ち上がり、整然とした部屋のドアを勢いよく開けた。


その向こうには、何が待っているのかわからない“未知”が広がっていた。

そして——

すべてのifが過ぎ去ったあと。

全員は一つの場所に集い、互いの選ばなかった未来を見送り、それでも“今”の自分を、もう一度見つめ直していた。

そこには、選ばなかったことの意味を携え、今を選んだ“彼ら”がいた。

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