3-44 “キバ“と“伽藍“
キバの腕が降ろされた瞬間、わたしとあーちゃんは天輪によって突き飛ばされていた。
ーー突き飛ばした天輪は。
ーー跳ね飛ばされたように宙を舞う。
「きゃ……! ……て、天輪さん!」
「天輪!」
「……。」
天輪は答えない。……体力表示もゼロ。
「かぁー! 美男は行動も美男だねぇ!」
「ゴミ! コワシタ!」
「おぅ、伽藍。気持ちの良いスイングっぷりだったな。」
「キバ! タノシイ!」
「だろうな。伽藍、あと2匹ゴミが残ってるけどちょっと我慢してろよ。」
「クカカッ! ワカッタ!」
「偉いぞ伽藍。帰ったら骨を磨いてやるからな。」
「ウレシイ! キバ! スキ!」
……天輪が居ない以上、逃げ場は少ない。どうしよう。
「さて、ケモ耳とガキンチョ。美男は死んじまった。お前ら2人はどうする? 素直にさっきの質問に答えるか……まあ、伽藍の玩具にされるかだな。選びな。俺も伽藍も気は短ぇぞ?」
「……答えても、殺すつもり。」
「あん? 俺もコイツもそんなことはしねぇよ。時間の無駄だ。雑魚に構うよか陣取りに行きてえ。」
「ほ、ほんとうに殺さないんですか?」
「ああ、まずはテメェらの正体と能力を教えろ。そしたら伽藍は下がらせてやるよ。んで次はチームのヤツらの正体と今まで会ったヤツらの正体だ。それだけ聞いたらこのままどっかいってやるよ。」
……ホントに約束を守るのかな? でもここは相手の言うことに従うしかない。逆らっても逃げられない。
「あーちゃん、いい?」
「……はい。」
「ありがと。キバ、こたえる。」
「話のわかるケモ耳とガキンチョで助かるぜ。んじゃさっさと話しな。伽藍がカラカラ鳴らし始めて我慢できなくなってきてやがるからな。」
「わたしは“紅狐“。『妖狐』の妖怪。炎を操る。この子は“あーちゃん“。『雨女』の妖怪。水を操る。」
「……オーケーだ。……おい伽藍! コイツらは潰すのは無しだ! 待て待て!」
「キバ……ダメ?」
「ああ、ダメだ。そのかわり他のやつ探しに行ってきていいぞ! 見つけたら殺さないくらいに遊んでやれ!」
「ワカッタ! アリガトウ!」
正体と能力を伝えたら、伽藍とかいう大きい骸骨は本当に下げてくれた。意外と義理堅い。
「約束、破ると思った。」
「んなことするかよ、めんどくせぇ。そんなことするくらいなら最初っからボコって聞いた方が早え。」
「……なんでやらなかったの?」
「あ? 一々教えてやる必要があんのか?」
「……3回戦のため?」
「ケモ耳……紅狐って言ったか? ……あんまり余計な口利くと死ぬことになるぜ?」
キバからの雰囲気が変わる。殺気? よくわからないけど敵意が強くなった。多分正解だった。これ以上機嫌は損ねない方が良さげ。
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