3-43 闖入者
ヴィナスの猛攻を避け、お札は発動前に奪い取ることに成功していたが、状況はかなり悪い。私とヴィナスの距離が近すぎる所為で、あーちゃんも紅狐さんも攻撃することができないのだ。
「絶対……! 絶対殺してやるにゃ!!」
「こちらもそう簡単に……やられるわけにはいかない!!」
右から左から、時には頭部を狙うヴィナスの攻撃を避ける。距離を取ってもヴィナスがついて回り、回避以外の選択肢がない。そんな時、不意に横の建物からガチンと大きな異音がした。
「クカ……クカカカカカっ!!」
カタカタと音を立てながら、ソレは現れた。巨大な骸骨。それ以外の例えようがない。人型をしていながら、大きさが普通ではない。3階建ての建物をゆうに超えている。
「……にゃ⁉︎⁉︎」
「なんだっ⁉︎」
突然の闖入者にヴィナスも私も呆気に取られる。巨大な骸骨はこちらを見てカタカタと顎を揺らしながら、腕を振り上げる。
「カカカッ!」
ーーその腕はまるで。
ーー羽虫を潰すが如く地面に叩きつけられた。
……私は腕を掠めた程度で、なんとか直撃は避けられたが、私の目の前にいたヴィナスは回避も間に合わず、コンクリートの地面に埋め込まれる形で押し潰されてしまった。ピクリとも動く気配もない。……恐らく間もなく消滅するだろう。
「貴様……何者だ!!」
「カカカッ! ゴミ! ツブス!」
……コイツも会話にならない類の妖怪か。と思った途端にもう1人、人型の毛むくじゃらの男が現れる。
「おい、“伽藍“。勝手に暴れんじゃねぇよ。弱ったやつを締め上げて情報集めんだろ?」
「“キバ“……ゴメン……。」
「……しゃあねぇ、残ったやつだけでも締め上げんぞ。」
“キバ“と呼ばれた毛むくじゃらの男はこちらに向き直り、言葉を続ける。
「おい、美男。今ので分かっただろ? コイツはヤベェぜ? 死にたくなきゃテメェらの正体を教えな。答えなきゃ殺す。」
「……。」
「あん? 答える気はさらさらねぇってか? ……なら後ろのガキ共から殺っちまうか。」
“キバ“が手を挙げると、それに合わせて“伽藍“が右腕を大きく横に動かす。このまま正面へと振るうつもりなのだろう。これはマズい。後ろにいるあーちゃんと紅狐さんも巻き込まれてしまう。なんとか時間を稼がないと……!
「ま、待ってくれ!」
「ダメだね。さっさと答えなかったテメェがわりぃ。早く死にやがれ。」
私の考えを看破していたのか、キバは間髪入れずに答える。そして……。
ーーキバが挙げた手を降ろす。
ーーそれに合わせて伽藍が腕を横に振るう。
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