3-29 絶望4
「『怨嗟』!」
小刀を受け止めたまま、神様は技を放つ。あの至近距離だ。全弾被弾してもおかしくないだろう。
「グオォォォォオォォォォ!!」
「ハッハ! ペシャンコだー! 汚ったねぇ!」
「ニュ、ニュートンさん……。」
ビルの屋上に、五体投地のような姿勢で突っ伏すニュートン。距離を取りながらで正確には分からないが、20個近く被弾したんじゃないか?
「グオォ……! 動……かぬ……!!」
「おーおー、まだまだ元気だねぇ。流石トカゲ。」
「神っ! どうか我等をお見逃し頂けないだろうか!」
神様の服の裾に縋り付き、貧血と呼ばれたスリムが希う。……そんな懇願、通じるわけないだろうに。
「はぁ? おいおい貧血、なに冷めること言ってんの?」
案の定、神様は機嫌を損ねかけている模様だ。宣言もして、諦めろとも言ってたのにこのお願いだ。神様の性格上、いつ消してもおかしくない。
「どうか……どうか……!!」
「伯……爵……殿っ……!」
「……はぁ。ホンット萎えるわぁ〜。」
ヤレヤレ、といった様子で首を振る神様。その様子に、伯爵とやらは願いが叶ったのかと顔を上げる。
ーーグシャァ!!
ーーその願いが。
ーー聞き届けられるはずもなく。
「あーホント無理。そういう、根性無い部分のせいでここに連れてこられたってこと、まだ理解できてなかったの?」
ーーニュートンは、地面の染みに変わった。
「あ……ああァァァァァァ!!!!」
「さっきの狗くんを少しでも見習ったら? 反骨精神? ハングリー精神? が足りないんじゃない君?」
「貴様ぁぁぁぁぁ!! 『血ノ狂暴』ィィ!!!!」
右手から赤黒いナニカを作り出した伯爵。この後の光景は見るまでも無いし、見届けられない。俺は『絶破』を解除し、早々にこの場から立ち去ったからだ。
「あーあ、ホント不完全燃焼。お前らのせいでテンションだだ下がりだよ。」
「クソォオォォ!!!!」
ーーオオサカの夜に響いた慟哭は。
ーー数分もしないうちにかき消えた。
ーー本拠地ーー
(やっと……なんとか辿り着けた……。)
本拠地を目の前にして、先ほどの疲労から倒れそうになる。しかし、油断はしていられない。ここもいつ戦場になってもおかしくないのだ。
「狗くん!」
「わんちゃん……?」
「狗さんっ!」
建物に入ると、ウー以外の仲間が出迎えてくれる。紅狐はまだ麻痺が抜け切らないらしく、壁に凭れ掛かったままだが。
「ただいま……。疲れた……。」
「狗くん、どうしたんだ? そんなに疲れた様子で?」
「いやぁ……。ラスボスと鉢合わせちまってな……。危うく死にかけた……。」
「ラスボスって……! 神様ですよね⁉︎⁉︎ 逃げ切れたんですか⁉︎⁉︎」
「ああ、なんとかね……。わりぃ、あーちゃん。コレ、紅狐に渡してくれ。体がまだ重くて。」
「わんちゃん……ありがと……。」
「……おう。気にすんな。」
ーー狗:HP70/85。
ーー『絶破』ペナルティにより体力減少。
いつもお読みいただきありがとうございます。
神様は公式設定で最強キャラです。戦うことがあったら、まだまだ武器も技も出てくる予定です。
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