45.キュイの行方2
切りの良い所で、切りました。
短くて、スミマセン<(_ _)>
「さて―――ミラ」
カルロ国王が突然、ミラに視線を向けた。
曾祖母にも当たる側妃ミュリエルの数奇な人生に聞き入っていた彼女は、唐突に名を呼ばれ固まる。
「は、はい」
「お前の加護が、何処にいるかと言う問いかけに応えよう」
威厳と重みの漂う蒼い瞳が、その背にしている『ミュリエルの木』に向けられた。
「お前の加護は―――先刻から、そこにおる」
「そこ……?」
ミラはその木を、まじまじと眺めた。
が、国王の言う『そこ』が何処に当たるか全く分からない。
試しに視線を上げ、体を傾けて梢の陰になる場所などに視線を這わせてみる。
しかしやはり、キュイはいない。気配も感じない。
ついでに言えば、防護の魔法のためか小鳥の陰さえない。
もしかして……見えないだけ? それとも―――何かの謎かけなの?
ミラは懸命にカルロの意図を汲もうと考えた。
が、いくら考えても何も浮かばないし、キュイは何処にもいない。
「あの……どちらでしょうか? 私には見えないのですが」
おずおず問いかけるミラと、再び視線を合わせたカルロの蒼い瞳がフッと緩められた。まるで悪戯に成功した子供みたいな瞳だと、感じる。
「いるであろう。そこに立っている、イシュタルだ」
「は……?」
ひゅっとミラは、気色ばみそうになる。だがその気配を察したセイラが素早く妹の袖を掴んで制したため、ミラの頭は直ぐに冷えた。
いくらキュイが心配だからと言って、国王に盾突くなって以ての外だ。
しかし少女の苛立ちを見て取ったカルロは、王者の余裕で静かに笑う。
「ふふ……冗談を言っているのではない。お前の加護―――キュイとか言ったな。正確に言えば、『キュイ』は『イシュタル』とイコールではない。それは、イシュタルの『一部』だ」
「え?……い、一部? ええと、一部って……」
理解が追い付かず、ミラは目を白黒させた。
「陛下、私達には陛下のお言葉は難解過ぎます。どういう意味でしょうか?」
セイラがミラの手を励ますように握りながら、ミラの言いたい事を口にしてくれた。
カルロは口元に弧を浮かべたまま、頷く。
「そのままの意味だ。ミュリエルにより我が国にもたらされた最初の加護が、この『イシュタル』なのだ」
そして、カルロは語り始めた。
かつてこの国に嫁いで来た側妃ミュリエルと、その加護の話を―――




