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聖邪混濁 〜寒い冬から暑い夏へ〜  作者: anishina
第四章 二人の世界
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見張り台

コンコン、サムイ?いるか?入るぞ?


アツイがドアを開けて入ると、ベットの上で毛布に包まっている塊が見えた。

ベッドの端に座り、サムイがいるだろう塊をさする。


「大丈夫か? コオロギ、そんなに嫌だったか?悪かったな。

あれはこの辺の郷土料理でな。

みんな良く食べるんだ。

栄養価が高いのも本当だぞ。

無理ならお前のには出さないように言うから。

機嫌直して、散歩に行こう。な。」


モゾモゾ、モソリ

「アツイ様のばかあ、おたんこなす。」


「はは、久しぶりに聞いたわ、おたんこなす。

さあ、レイグリットの街に出よう。案内するよ。出ておいで。」


「うん。アツイ様。僕、コオロギ、食べるよ?

今日はちょっと驚いただけだから。

アツイ様と一緒なら、何でも食べれるよ。」


「そうか。ありがとな。

では、お姫様。抱っこいたしましょうか?」


「クスクス、大丈夫。歩いて階段下りるよ。

体力、筋肉つけなきゃね!」


アツイはサムイの頭をぐしゃぐしゃにかき混ぜた。


「えらいぞ、サムイ。それでこそ、俺の伴侶だ。」

チュ、チュ、チュ

顔中にキスをされる。

「やだ、アツイ様。キスなら口にしてー」

ハムハム、あー、ん、、ん、

チュウウ、

お互いが顔に手をおき、口内を貪り唾液を啜る。

舌を絡めて、吸い、噛み、息が出来ない程に口の中を蹂躙する。


「はああ、アツイ様、お散歩行く前に、ぎゅってしてえー。

ああ、幸せ・・・

ねえ、アツイ様も幸せ?」


「ああ、勿論、幸せだ。こうやって何も気にせず触れ合える。」


「ねえ、アツイ様、僕にスキルが無かったら、僕の事知らないままで、

愛してなんてくれなかったよね。

きっとスキルが無い僕は、寂しい人生だったんじゃないかと思うんだ。

複雑な気持ちだけど、スキルが無かったら、そもそも会えて無かった。

だから、僕にこのスキルが有るのはアツイ様の為なんだと思う。

勿論、僕の為でもあるんだけど。スキル、あって良かった。

そう思うよ。」


「ん、そうか。俺はー、そうだな。

有って良かったとは思えないが、サムイに会うために必要だったと言われれば

そうか、そりゃ、仕方ないなって思えるよ。

流石に、人の生き死にに関わるのはもう勘弁して欲しいけどな。

お前が俺といる事で、周りに悪影響が出ないってだけでもありがたい。

もう誰も死なせたくないからな。」


「アツイ様、ほんとにつらい思いをして来たんだね。

僕は、なんて楽な道を歩んできてたんだろう。

申し訳なくなるよ。

これからは、アツイ様の為にいっぱい尽くすから!

もういいって言われても、ずっと引っ付いているからね!

覚悟してね!」


「ああ、俺もお前を離さないよ。」


二人でぎゅーと抱き合う。


「さあ、出掛けよう。」


「うん!」


「ああ、そうだった。お前、まだここのてっぺん見てないだろ。

今じゃ、この城に住んでるみんながスキル遮断の腕輪をしてるから

5階で寝てるけど、それまではこの上の見張り台で寝てたんだ。

見てから街へ行くか。」


「この上にまだ部屋があるの?見たい!

けど、アツイ様、ここでも大変だったんだね。」


「んー、部屋じゃないんだが・・・、

それに大変って訳でもないがー。ま、いっか。こっちだ」


見張り台へ続く螺旋階段を上り、てっぺんに着く。

ハンモックが設置されたままだ。


「時々、ここに来て昼寝してるんだ。

ここから眺める景色が好きでな。

夜景もいいぞ。今度、夜に来ような。

って、サムイ?どうしたんだ?」


「えっと、えっと、僕、こんな高い所に来たの初めてで、今分かったんだけど、

手や足が震えて、怖くてそこまで行けないよお。」


「お前、高所恐怖症か。あー、じゃあ5階の景色も怖かったんじゃないのか?」


「あそこは、窓の外にベランダが付いてて、柵もあるから怖く無かったんだ。

ここは、その四角い窓って言っていいのかわかんないけど、

外側に何もないし、一歩間違えば落ちるよね。

せっかく連れて来てくれたのに、足が前に出ないよー。ごめんなさいー。」


「ははは、そんな事で謝るなよ。

前世で俺の知ってる奴も、高所恐怖症でな。

その怖さを何度も聞いて分かってる。気にするな。

あいつと同じなら・・・」


アツイはサムイの所まで来て、抱っこした。


「サムイ、俺の首に手を回せ。足を俺の腰に絡めろ。

あと俺にベッタリくっ付いてろ。これなら怖くないだろ?

心臓を俺の胸に付けときゃ、安心するってあいつが言ってた。

どうだ?これなら外見れるか?」


「え!うん・・・あ、大丈夫みたい。本当だ、安心する。もう震えてないよ。」


「そうか、そりゃ良かった。じゃあ、外を堪能するか。」


アツイは四角い窓へ近付き、サムイが外を見れるように横向きに立つ。


「どうだ。見れたか?凄い景色だろ?こんなの見れるなんて異世界も悪くないよな。」


「うん、うん、素晴らしい景色・・・だけどダメだ。

それよりさっきからアツイ様が言う、あいつが気になって落ち着かない!

誰?前世でこんなにべったりくっ付いてたってことは、親しい人なんでしょ?

奥さん?それとも恋人?

ああーそんなこと聞いてもどうしようもないのに・・・

嫉妬してごめんなさい。」


「あははは、すまん、俺が悪かった。そりゃ気になるわな。

あいつは、俺の男友達だ。

恋人といっていいかもしれんが、そういう呼び方するとあいつ怒るんだよ。

まあ、照れてただけかもしれないが。今となっては・・・な。」


「僕から話を振ったのに、ごめんなさい。

思い出してしまったよね。

その人の事、愛してたんだね。その目を見れば何となくわかるよ。

羨ましいけど、でも今は僕がいるから!

ね!僕がその人の分まで愛するから!

元気出してね?アツイ様。」


サムイは、アツイの顔に自分の顔を近付けて、スリスリする。

サムイは、耳元で小さい声で囁く。

「大好きだよ。アツイ」


「おまえ!・・・いや、まさかな・・・

サムイ、俺も大好きだ。

ああ、そうだ。さっきみたいに、様は不要だな。

言うのが遅れて悪い。

アツイって呼んでいいからな。」


「やったあー。ふふふ、嬉しいよ。

けど、本当に高いねー。

人が豆粒みたいだ。

今日はどこへ連れてってくれるの?

ここから見えるかな。」


「そうだな。この街の住人に挨拶がてら、お前を紹介するよ。

俺と一生を共にするって言っとかないとな。

店が多く集まっている区画があるんだ。そこへ行こう。

ここからだと、ほら、左手のポッカリ空いている広場があるだろう。

あの辺りがその区画だ。

じゃあ、行くか。階段は自分で下りれるか?

怖かったらこのまま下りるが。」


「大丈夫!階段の所で降ろして。このまま下りちゃ転げちゃうよー。」


「俺がそんなヘマをするとでも?

あー、でもお前には足腰、鍛えてもらわんとなあ。

じゃあ、降ろすから、階段は気を付けて下りろよ?」


「もう、過保護だなあ。大丈夫だってば。」


「うん、そうなんだが・・・」


アツイはサムイを階段の所で降ろすと、数段先に階段を下りた。


「俺が先に行く。もし、踏み外しても助けるからな。」

横向きになって手を出す。

サムイはアツイが出した手を握って、階段を下り始めた。


「アツイ、昔なんかあったの?

高所恐怖症の話してからかな?

やたらと気にしてくれるけど。僕、大丈夫だよ?」


「あ、ああ、前世でちょっとな。

お前は気にしなくていい。

さあ、下りるぞ。」


「う、うんー」


アツイ様、何があったんだろう。

気になるけど、聞けない雰囲気になっちゃった。

また、いつかお話してくれるかな。

もっと、信頼関係を結ばないと!

僕!頑張るぞーー!


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