サムイ 2歳
まあまあまあまあ
なんて可愛らしいの〜
こんなに愛らしい子供見たことないわ〜
サムイ 2歳
母親の買い物に連れられ外を歩いているとあちらこちらから笑顔を向けられる。
ここは、ヨーク王都の平民達が買い物する商店街だ。
サムイの家は王都の端っこにあり、歩いて10分のところにこの商店街がある。
母親も得意気そうに寄ってきた買い物途中の奥さん方と話をしだす。
そうなのよ〜うちのサムイったらとっても可愛いのよ〜
今朝もパンを手で持って食べてたら落としちゃってねー
「もっちゃいない」って言って拾って食べるのよ〜
可愛過ぎて倒れるかと思ったわ〜
まあああああ
ああー見たかったわ!聞きたかったわ!
一緒に住んでいいかしら!
と、今朝あったどうでもいい事で話に花が咲く。
母親は楽しそうだが、サムイは非常につまらない。
せっかく楽しそうな店が色々みえているのに、母親が動かないからだ。
あちらこちらで声がする。
「よってらっしゃーい」
「美味しいよ〜」
「奥さん今日も綺麗だねー」
サムイには何を言ってるかよくわからないが
賑やかでとっても楽しそう。
母親が手を離した隙に声のする方へトコトコ歩く。
サムイからは何を売ってるのか良く見えない。
声はするけど上過ぎてお日様が眩しくてぼやっとしかわからない。
眼が痛いので下を向く。
すると商品棚から落ちたのか果物が落ちていたのを見つけた。
落ちた衝撃でところどころ黒ずんでいる。
もったいない・・・
サムイはまだ物心もつかない年齢からなぜか食べ物に関して
すぐ勿体無いと思ってしまう。
親から言われたこともないのに。
サムイは落ちていた果物を拾い
食べれないか手で向きを変えて調べる。
大丈夫そう。でも親からもらったわけじゃないので食べていいかわからない。
「こえ、たえていい?」
落ちた果物を小さい両手で高く持ち上げる。
恐らく上の方に持ち主がいるだろうから。
声が小さかったのか返答がない。
もう一度大きな声で
「こえ!たえてい〜い?」
店主が気付いてびっくりした声で
「おおー坊主 なんだ落ちてたのか! そんなもの捨てて新しいのを食べな!
こんなちっちゃい坊主から金なんてとらないからよー」
と新しい果物を差し出された。
そりゃあ綺麗な果物のが良いに決まっている。
だけどサムイは、捨てる ってところに引っかかった。
まだ食べれるのにこれ捨てられるの?
それはー
「もっちゃいないー!!」
ガブっ!
食べた。
近くにいた買い物客は、なんとなく幼児と店主の話を聞いてただけで
「まー食い意地の張った子ねー」
と言ったあと、幼児の顔を見た。
見てしまったとも言えるが、
瞬間、
「まああああ、なんて綺麗な子なのかしらー
まるで天使が舞い降りたようだわー
食べ物を粗末にしたら駄目だとそう言っているのね!
心が洗われるようだわ!!
どう?お姉さんのとこに来ない?」
どこか下心のあるような言い方だが、逃したくない!
そんな気持ちが透けてくる。
買い物客のお姉さんの声でサムイが近くにいないことに気付いた母親が
慌ててサムイのところへやってきて抱っこする
「この子はうちの子です!」
サムイは母親の大きな声で怒られたと思い
「まーま、ごめんちゃい」
と真っ赤になってモジモジしながら謝った。
サムイの母親、近くにいた買い物客、店の店主
サムイを見た人達がみんな悶絶した。
か、か、か、かわいい〜〜




