2話 女子の扱い
「アハハ、私があまりに綺麗で誰か分からなかったって」
永井さんは僕の背中をバシバシ叩く。良かった、内面まで清楚になっていたら僕は耐えられなかった。あの後、少し話をしてコラボカフェが行われる喫茶店へと向かっている。
「それに引き換え、僕はこんな格好でごめん」
僕は自分の服装を見る。ジーンズにパーカーという近所に行くような格好だ。いや行く所、コラボカフェだしそんなに気合入れなくて良いかなと。
「全然普通じゃん」
「で、でも永井さんお洒落じゃん。この後、何処か行くの?」
「えっ、コラボカフェだけだよ」
だったら、何でそんなに気合入った格好なんだ。いや、女子はいつもお洒落するもんなのかもしれない。
「ふふ、でも綺麗だなんて嬉しいな〜」
永井さんはニヤニヤしながら僕を見てくる。滅茶苦茶恥ずかしいので止めてください。
「ねえねえ、もう一回言ってよ」
「ご、御勘弁を……」
僕がそう言うと永井さんはルンルンとスキップをしだした。
「ほら、私って背高いからさ。男バスの連中からはゴリラ扱いされるしそんな事言ってくれるの赤城君だけだよ」
確かに永井さんは身長は百七十センチ超えているしバスケ部だからか体格も良い。そして僕は百六十五センチくらいと小さいし、運動をしていないから細いしで並んでて僕がみっともなく感じるくらいだ。
「いや、逆に僕チビだから羨ましいよ」
「え〜、そんな事気にしてるの〜。可愛い奴め〜」
永井さんは僕の頭をゴシゴシと頭を撫でる。ううっ、自分が情けない。それに男バスの人達が永井さんに意地悪をしてしまうのはあれだろう。好きな子につい意地悪しちゃうみたいな感じだろうな。
「よし、気分が良いから今日のカフェ代は私が奢ろうではないか」
「ええっ、そんなの良いよ」
「良いの良いの。それにしても私が綺麗か〜」
そんな会話をしていたらお目当ての喫茶店に着いた。僕達はドアを開ける。
「おかえりなさいませ、御主人様〜」
「え?」
僕は看板を見直す。いや、間違いなく僕達が行こうとしていた喫茶店だ。
「ここ、メイドカフェなのか……」
「へ〜、良いじゃん良いじゃん。可愛いメイドさんに給仕してもらおうよ。うへへ」
永井さんがおっさんみたいな反応してる。僕はハアとため息をつきながらも店内に入る。
店内は普通に落ち着いた雰囲気の喫茶店という感じだ。そして僕達の目当てである【血と鍵】の漫画のコマやポスターなどが壁に貼ってある。どうやら本当に間違えていないようだ。
「それではこちらの席へどうぞ〜」
僕達は窓際の二人席に座る。メニュー表を見るとどうやらチャージ料などは無いようだ。他の料理やドリンクの値段も事前に調べた通りでお小遣いで充分足りそうだ。
「ねえねえ、さっきのメイドさん可愛かったね」
永井さんは女の子のメイド姿を見てテンションが高くなっている。僕はあまりの勢いに圧倒されてしまう。
「あ〜あ、私がああいうの着ても似合わないだろうなあ」
永井さんは店内のメイドさん達を眺めながら呟く。僕は脳内で永井さんのメイド姿を想像する。
『いらっしゃいませ。御主人様♡』
滅茶苦茶ありだな。背が高いから逆にメイド姿が似合ってしごできメイドさんって感じになりそう。
「いや、滅茶苦茶ありだな……」
「あ、赤城君、何言ってるの?」
永井さんは僕の顔を見ながら恥ずかしそうな顔をしている。え、もしかして心の声が漏れていた……。僕は体が急激に冷えるのを感じる。
「ご、ごめん。今の気にしないでください!!」
「ふふ、どうしよっかな〜」
永井さんは良い餌を見つけたとばかりに舌なめずりをする。え、僕もしかして脅されている?
「すみません、あまりお金は……。試しにジャンプしましょうか?」
「いや、私が強請るみたいじゃん」
永井さんは何故か笑っている。怒っている訳ではないみたいで助かった。
「ねえ、赤城君って何か女の子の扱い慣れてない?彼女いるの?」
僕はメニュー表を取ろうとした瞬間にそんな事言われたので、慌ててメニュー表を落としそうになる。
「何言ってるの?彼女なんていた事……ないし……」
「へ〜、そうなんだ」
え、付き合った事無いとかダサいとか思われてないよな。まだ高二だしこれからだし!!
「な、永井さんこそモテモテでしょ」
「え、さっき言ったじゃん。私ゴリラ扱いされるしモテないよ」
そうなのか、こんな美人なのに。あれか高値の花すぎて近付けないみたいな感じだろうか。
「まあ、すぐステキな彼氏できるよ。永井さんこんなに綺麗なんだし」
「そ、そういう所が扱い慣れてるって言ってんの!!」
何故か褒めているのに怒られてしまった。おかしな事言ってないよね?
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