番外編『べリアルという男』
「アラン様は知らなかったのですな。アラン様に力を貸すようにと私に頼んだのはべリアルなんですぞ。」
シュベルツと何気ない話をしていたときに理解できない話を聞いてアランは固まった。
「は?べリアルて俺のこと嫌いじゃなかったっけ?」
「嫌いですよ。」
「わあああああああ!!」
さっきまでいなかった人物がでてきてアランは心臓が飛び出るかと思った。しかし、シュベルツは気づいていたのか、慣れているのか平然としている。 アランは誤魔化すかのように咳払いをしてべリアルに尋ねた。
「嫌いなのに何故俺に手を貸したんだ?」
「…全ては魔王様の為ですよ。でなければ私があなたなどに手を貸すわけがないでしょう。」
「まぁ、そうだろうな。ありがとうな。」
アランはべリアルの嫌味を気にも止めず笑顔で返した。それに対してべリアルは鼻で笑うと立ち去っていった。
「…にしても、べリアルって本当ユエのこと好きなんだな。」
「それはそうだろうな。魔王様がいなければ今のべリアルはないだろうからな。」
「え?」
シュベルツはべリアルの消えた先を見据えながらポツリと言った。アランもその言葉に戸惑いつつべリアルの消えた先を見つめた。
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「魔王様?…寝てらっしゃるのですか。」
べリアルは机に顔をつけて寝てしまっているユエを抱き起こすとベッドへと運ぶ。吸血鬼となっても魔王だったころより身体も小さくてどこか心許ない。
「それでも、あなたが私の魔王様だ。」
『初代魔王と人間との間に産まれた子供』
それがべリアルであった。べリアルは小さいときから並外れた魔力を持っていた。
そのため、人間界からは異端として恐れられ魔界では人間の血を持つ忌み子として扱われた。
幸いにしてべリアルを害する者達へはその並外れた力で抵抗できたが、どこにもべリアルの居場所はなかった。
何もかもを諦めていたときべリアルは魔王に出会った。
仕事に疲れて逃げ出した魔王とたまたま出くわしたのだが、べリアルはこの時『ああ。やっと死ねる。』そう思っていた。
だが、魔王はべリアルを殺さなかった。むしろ、べリアルの力の強さと能力の高さに目をつけ側近にと勧誘してきたのだ。
「人間の血?それがなんだ?お前はお前だろう。私がお前は使えると判断して欲したんだ。お前はどうなんだ?私に遣えるのは嫌なのか?」
なんでもないことのように発せられたセリフはべリアルを満たした。自分でもやっと己という存在を認められた。そして、決めたのだ。何があってもこの方だけについていくと。
「魔王様。私だけのご主人様(ユエ様)。」
愛しさを滲ませた表情でべリアルは寝ているユエの髪の毛にそっと触れた。
私は、あなたの側にいられるだけで幸せなのです。
あなたが幸せであればなおのこと。
なんとか完結させました。最初のコメディ要素がミスディレクションしましたが…なんとか、拙い文章ですが完結できました(泣)
そして、番外編に個人的に好きなべリアルの話を書きたくて捩じ込みました。どうでしょうかね。え?別にいらなかったって?すみませぬ。
そして、毎回のことですが子育ての合間をぬって短時間で書いているので誤字脱字も多くあると思います。余裕があるときに修正したいと思います。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。




