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vol.79 Dream Jumps、イベント前の公開質問!

「それでは、皆さん!今回の『STARLIGHT SYMPHONY』に向けて、意気込みをお願いします!」


 イベント開催が間近に迫り、Dream Jumpsの事務所には、プロモーションを兼ねたメディア取材のカメラと記者が押し寄せていた。

 キラキラとした照明の下、メンバーたちはプロの笑顔を振りまいている。


 センターに立つのは、太陽のような笑顔がトレードマークのめぐみ。明るい茶色のロングヘアが、彼女の動きに合わせてきらめく。

 記者のストレートな問いかけにも、彼女は動じない。


「今回のイベントでのライバルは?やはりMidnight Verdictさんでしょうか?」


「ライバルというよりは、尊敬する先輩方という気持ちが強いです!Midnight Verdictさんのステージはいつも圧倒されるので、私たちも負けないように、最高のパフォーマンスをお届けしたいです!」


 めぐみの模範解答に、会場が和やかな空気に包まれたのも束の間。一人の記者が、待ってましたとばかりに意地の悪い笑みを浮かべてマイクを向けた。


「めぐみさん、最近はプライベートの方も注目されていますが、そのあたりはいかがでしょうか?」


 その一言で、現場の空気がピリッと張り詰める。先日ゴシップ誌を賑わせた、めぐみの「熱愛疑惑」。もちろん、記者は相手が誰なのかを白状させようと探りを入れているのだ。 ゆずとももが心配そうにめぐみを見つめ、りおは冷ややかな視線で質問した記者を睨みつける。


 一瞬、めぐみの太陽のような笑顔が揺らいだ。だが、それもほんの束の間。彼女はふっと息を吸い込むと、これまで以上にキラキラとしたアイドルスマイルをカメラに向けた。


「ご心配をおかけして、すみません!でも、今の私のプライベートは、すべてこのイベントを成功させるための時間です!毎日このメンバーと一緒にレッスンしたり、笑い合ったりする時間が、私にとって一番大切な宝物なんですよ!」


 隣に立つゆずの肩を抱き寄せ、完璧な回答で質問を打ち返しためぐみ。これには意地悪な記者もぐうの音も出ない。 その見事な切り返しに、別の記者が助け船を出すように話題を変えた。


「なるほど。では、アーティストとして特に意識する方はいらっしゃいますか?」


 めぐみは、その探るような視線にも臆することなく、この流れを待っていたかのように答えた。


「そうですね……やはり、私たちも歌うことがあるユーロビートのジャンルで注目されているSynaptic Driveさんには、注目しています!」


 めぐみがSynaptic Driveの名前を出した瞬間、周りの記者のペンが素早く動き出す。「スキャンダル」から「ライバル」へと、彼らの興味が見事に誘導されたのだ。


「Synaptic Driveですか!彼らについては、どのような印象をお持ちですか?」


 記者の質問に、めぐみは瞳を輝かせた。


「実は先日、ユージさんにお会いする機会があったんですけれど……」


 めぐみがそこまで言うと、メンバーたちが一斉に彼女に注目した。それぞれの表情に「え、いつの間に!?」という驚きが浮かぶ。 めぐみは、そんな視線も気にせず、得意げに続ける。


「ユージさんが、けんたろうさんのことを『原子力発電所みてーな作曲家だ』って言ってたんですよ!」


 めぐみの言葉に、記者たちは一瞬ポカンとし、会場の空気が止まる。一体どういう意味だ、と誰もが困惑する中、最初に反応したのはメンバーたちだった。


【ゆず(小柄でキュートな愛嬌担当)】

 小柄な身体を弾ませるように、ゆずが「わーっ!」と声を上げた。くりっとした大きな瞳をきらめかせ、楽しそうに手を叩く。

「原子力発電所!?めぐみん、すごいパワーワード見つけちゃったね!」

 そう言って客席のカメラに向かって完璧なウィンクを飛ばし、戸惑っていた現場の空気を一気にアイドルのステージへと変えてみせた。


【りお(クールなダンスのエース)】

 すらりとした長身のりおは、腕を組んだまま冷静にめぐみを見ていたが、その口元にはかすかな笑みが浮かんでいた。

「…原子力発電所、ね。常識の枠に収まらないエネルギーを生み出す、っていう意味なら的確な表現かもしれないわ」

 クールな分析の後、「面白いことを言うじゃない」と小さく呟いた。その一瞬見せた柔らかな表情のギャップに、気づいた記者は思わず息を呑む。


【もも(おっとりとした実力派シンガー)】

 ふんわりとしたピンク色のボブヘアが印象的なももは、驚きつつも、おっとりとした微笑みを浮かべていた。

「ふふっ、ユージさんも面白いことをおっしゃいますね。でも、けんたろうさんの作る音楽は、本当にたくさんの人を動かす力がありますから…きっと、そういうことなのでしょうね」

 彼女の優しいフォローは、力強い歌声と同じようにグループを、そして場の空気をしっかりと支えていた。


【あい(最年少だけど、しっかり者)】

 そして、記者たちがまだ「どう記事にすればいいんだ…?」とペンをさまよわせているのを見て、末っ子のような雰囲気のあいが、すっと一歩前に出た。最年少とは思えない落ち着いた声で、はっきりと告げる。

「ユージさんがおっしゃりたかったのは、おそらく『制御しきれないほどの巨大な才能を持ち、一度火がつけば、周囲を巻き込んでとてつもない熱量を生み出す』…そういう比喩としての『原子力発電所』だと思います」

 彼女はそこで一度言葉を切り、記者たちをまっすぐに見つめた。

「私たちDream Jumpsも、Synaptic Driveさんの音楽から、いつもそういう素晴らしいエネルギーをいただいています。だから、今回のイベントでご一緒できるのが本当に楽しみなんです」


 あいの見事な解説と完璧なフォローに、記者たちは「おお…!」と感心の声を漏らし、一斉にペンを走らせ始めた。さっきまでの困惑は消え、会場は好意的な納得と感心の空気に包まれる。


「そうそう!あいちゃんの言う通り!」

 とめぐみは満面の笑みで頷く。

「あいちゃん、かっこいいー!」

 とゆずがその腕に抱きつき、ももとりおも

「さすがね」

 と誇らしげに頷いた。


 キラキラとした照明の下、スキャンダルの追及も、一人の爆弾発言も、すべてを魅力的なチームワークへと昇華させたDream Jumps。

 彼女たちの本当の強さが垣間見えた瞬間だった。

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