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第2話 志村けんはキリストである

 偉大なるコメディアンである志村けんさんが新型コロナ肺炎に感染して、お亡くなりになりました。『8時だョ!全員集合』の時代から、多くのコントを楽しませていただいた者として、深い悲しみを感じます。謹んでご冥福をお祈りいたします。


 さて、その志村けん(以下、敬称略)の死が日本全国に与えた衝撃というのは非常に大きかったと思います。それまで、新型コロナ肺炎について、何となく他人事だと思っていた人々にも、身近な脅威として再認識するきっかけになったのではないかと思います。


 確かに、今までも新型コロナ肺炎で亡くなった方々は大勢いらっしゃいました。しかし「知らない他人の死」と「知ってる有名人の死」では、人々に与える影響の差が段違いに大きいのではないでしょうか。


 無名の他人の死は、多くの人間にとっては、所詮は「他人事」でしかないんです。しかし、親や兄妹が死んだとなると、一気に身近な問題になります。


 それと同じで「TVで見て、何となく親近感を抱いている好感度の高い芸能人」が新型コロナ肺炎で死んだ、というのは「擬似的な」身近な問題として感じられるのではないでしょうか。


 実際、アラフィフの私は「カラスなぜ鳴くの」「ヒゲダンス」などで幼少時から志村けんのギャグには慣れ親しんで「志村~、後ろ~!」もリアルタイムで経験してきました。


 その一方で、今年十歳になる私の娘は『志村どうぶつ園』の優しい園長さんとして知っているほか、八歳の弟とのジャンケンのときに「最初はグー、またまたグー、いかりや長介頭はグー!」とか言いながらジャンケンしています。それを最初に聞いたとき、思わず「何でそれ知ってるんだ!?」と思わず叫んでしまいましたよ。何しろ、子供たちが生まれたのは、いかりや長介氏の没後五年以上たってからなんですから。


 そして、志村けん追悼番組のコントを見て、五歳の娘まで大爆笑しているんです。本当に「世代を超えて愛された」希有のコメディアンなんだということを実感しました。それだけ、多くの人々に影響を与える力があるのだと思います。


 小池百合子都知事が志村けんへの追悼コメントで「コロナウイルスの危険性について、しっかりメッセージを皆さんに届けてくださったという、最後の功績も大変大きいものがあると思っています」と述べて批判を受けていますが、言い方はともかくとして、こうした効果は確かにあるのではないでしょうか。


 また、志村けんの罹病について公式には「感染源不明」ですが、根強く「夜の酒場で感染したんじゃないか」という推測は、Web上で語られています。また、志村けんが亡くなったあとで、政府などが歓楽街での飲食の自粛を要請したことは、この推測を裏打ちしています。


 今まで「だいじょうぶだぁ」と遊び歩き、飲み歩いていた人々に、身をもって「だいじょうぶじゃない」ことを示した志村けん。それは、イエス・キリストが十字架上で刑死して信仰の「象徴」となったように、新型コロナ肺炎との戦いの中での「象徴」となるように私には思えてならないのです。


 もっとも、私が「志村けんはキリストである」と言ったら、あのお方はこのギャグを返してくれるんじゃないかなと思ったりもするんですよね。


「あんだって? とんでもねぇ、あたしゃ神様だよ」

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