脱獄と最初の復讐
牢獄の中に響くのは、炎が燃え盛る音と鎖が崩れる音。
セレスティアとルードは地下牢を進み、出口へと向かっていた。
「この牢獄は王城の地下。まっすぐ進めば外へ出られるはずだ。」
ルードが先導する。
彼はかつて聖騎士団の一員として、ここに何度も出入りしていた。
セレスティアは黒いマントを翻し、廊下を歩く。
「邪魔が入るわね。」
遠くから足音が響く。
牢獄の警備兵たちが、異変に気づき駆けつけてくる。
「おい、牢が開いているぞ!」
「誰だ! 侵入者か?!」
彼らはまだ気づいていない。
目の前に立つ黒衣の女が、かつての聖女であることを。
「私のことを覚えているかしら?」
警備兵たちの目が驚愕に見開かれる。
「まさか……処刑されたはずの聖女……!」
「違うわ。」
セレスティアは手を掲げる。
その指先に、黒い魔力が渦巻く。
「私はもう聖女じゃない。悪女として蘇ったの。」
黒い炎が轟音とともに燃え上がり、兵士たちを飲み込む。
「ぐあああああ!!」
悲鳴がこだまする。
彼らの体は一瞬で闇の炎に焼かれ、灰となって崩れ落ちた。
ルードが息を呑む。
「これが……闇の魔術……」
「まだ序の口よ。」
セレスティアは微笑む。
「さあ、王城へ向かいましょう。」
闇の魔術師としての初めての血。
そして、最初の復讐が完遂された。