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光と闇、決着の刻

 王城の中庭を揺るがす激闘は、さらにその規模を増していた。


 漆黒の炎と黄金の光が交錯し、空を切り裂くように轟音が響く。

 セレスティアとリリアの戦いは、互いの持てる力のすべてをぶつける死闘へと突入していた。


「……やるじゃない、リリア。」


 セレスティアは息を整えながら、ゆっくりと微笑む。


「あなたこそ……ここまでの力を持っているなんて……。」


 リリアもまた肩で息をしながら、瞳を鋭く光らせた。

 

 お互いに致命傷こそ負っていないが、確実に魔力は削り取られている。

 だが、ここで引くわけにはいかない。


「この世界に光をもたらすのは私よ!」


 リリアが叫ぶと同時に、頭上に巨大な魔法陣が展開される。

 

「――《聖絶の裁き》!」


 純白の光が降り注ぎ、王城全体を包み込もうとする。


 その光は、悪しきものすべてを焼き尽くす聖なる審判。


 しかし――


「そんなもの……私には通じないわ!」


 セレスティアは地面に手をつき、漆黒の魔法陣を広げる。


「――《奈落の葬送》!」


 次の瞬間、闇がすべてを覆い尽くした。

 

 それは、あらゆる光を呑み込む冥府の闇。

 

 聖絶の光と奈落の闇がぶつかり合い、凄まじい衝撃波が王城を震わせた。


 衝撃で城壁が崩れ、兵士たちが次々と吹き飛ばされる。


 ルードとガラハドも、その余波に耐えながら激戦を見つめていた。


「……これはもう、人間の戦いではないな。」


 ガラハドが苦々しく呟く。


「いいえ、これはセレスティア様が背負うべき戦いです。」


 ルードは拳を握りしめた。


 光と闇が拮抗し、どちらが優勢とも言えない。


 しかし、セレスティアの表情には確信があった。


「リリア、あなたには決定的に欠けているものがあるわ。」


 リリアの表情が強張る。


「何を言っているの……!」


 セレスティアは静かに微笑み、片手を上げた。


「あなたには“覚悟”がないのよ。」


 次の瞬間、セレスティアの魔力が爆発的に増幅した。

 

 黒炎が彼女の体を包み込み、その姿はまるで闇の女王のようだった。


「あなたはただ“与えられた力”に頼っているに過ぎない。でも、私は違う……私はこの力を“選んだ”のよ!」


「そんな……!」


 リリアの瞳が揺らぐ。


 その一瞬の隙を、セレスティアは見逃さなかった。


「――《奈落の終焉》!」


 無数の漆黒の刃が生まれ、一斉にリリアへと襲いかかる。


「くっ……!」


 リリアは必死に防御の魔法を展開するが、刃はその壁を次々と打ち砕いていく。


「やめ……ろ……!」


 彼女が最後の光を放とうとした瞬間――


 セレスティアの刃が、リリアの胸元に突き刺さった。


「……!」


 血が舞う。


 リリアの身体がぐらりと揺れ、膝をつく。


「なぜ……私が……こんな……。」


 セレスティアは冷たく見下ろしながら、囁いた。


「これが……あなたの罪の報いよ。」


 リリアの瞳から光が消えていく。


 王城に訪れた、静寂。


 戦いは――終わった。


 ルードがそっと近づき、低く囁く。


「……お疲れ様です、セレスティア様。」


 セレスティアはゆっくりと目を閉じた。


「ええ……でも、これで終わりじゃない。」


 王はまだ健在。


 この復讐の終幕は、まだ先にあった。

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