表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

170/185

4-28.あいつが沢山

 滞在中はこの家に泊まっていいとオルソンに言われた。宿代が浮くならいいことだ。ただし、周りよりは立派と言っても、そんなに大きな家ではない。新たな家族となったホイにあてがう部屋はあっても、他に五人も泊める部屋はない。もふもふは、庭に繋ぐことでなんとかなるけれど。


 というわけで、食事をした部屋で机を隅に移動させて、そこで寝ることになった。オルソンたち家の者は、個室のある二階に上がっていった。


「客人の扱いがこれなのねー。まあ仕方ないけれど。宿からここに通うよりは、こっちの方が楽ね」

「宿のベッドは恋しいけどなー」

「でも楽しいじゃない! 街の中だけど野宿してるみたいで!」

「アンリさんは冒険してる雰囲気が好きですものね。キアさんも、森の中よりはこっちの方が快適って思っていますか?」

「ま、森で野宿するよりはマシだよな。なあ、それよりあいつ、どう思う?」

「どいつ?」


 この夕食を食べる間に、変な人とは出会いすぎた。


「誰だと思う?」

「質問に質問で返さないでよ。……ホイのことでしょう?」

「あー。それもあるな」


 不正解だったらしい。


「あいつ、リーサに惚れてるな」

「うん。僕もそう見えた」

「忙しい人ねー」

「前にも言った通り、情緒が幼いのよ。だから優しくされたら、この人は自分が好きなんだと認識してしまう。自他の境界も曖昧なんでしょうね。自分からの好意を相手からの好意に錯覚してしまう」

「面倒だな。ゾーラ、リーサには好きな相手がいるって教えてやれ」

「それはあたしの役目の範囲外。でもまあ、リーサの幸せは願いたいわね。いい子らしいし。あのジェゾって男と付き合うべきよね。彼は実直そうだから」

「おう。祭りの日に告白して付き合っちゃえばいいんだ」

「邪魔は入ると思うけどね。あたしは、キアの言う"あいつ"って、ドラントのことだと思ってたわ」

「あー。確かにそれもいたか」


 ゾーラも不正解だったらしい。


「あいつ絶対、リーサに惚れてるな。結婚するのはは姉のはずなのに、そっちには興味がないときた」

「でも、子供は作ったのよね?」

「おう。ヤッたのは確かだな」

「キアさん。子供もいるんですから、そういうこと言うのはやめてください。教育に悪いです」

「そういう気を遣うほど子供じゃねえだろ。とにかく、あのナーサって奴はドラントと結婚したい。ドラントはナーサに興味はないが、近づくためにヤッた。そういうことだ。家に恩を売って、リーサも貰っちまえって思ってる」

「嫌な感じねー」

「ああ。リーサには、あの男とくっついてほしいな」

「そういうのを祝福する祭りがあるのが、この街だもんね。それで、キアが言ってるどうかと思う奴って誰?」

「ナーサに決まってるだろ」


 先のふたりが違うなら、この人だよね。


「確かに、あの人もどうかと思うけど。でも簡単でしょ? ドラントの立場が目当てで、本人のことは別に好きじゃない。けど、偉くなるために、その。ヤッた」

「ヨナ様!? ほらー! キアさんのせいですよ! ヨナ様が悪い子になったらどうするんですか!?」

「これぐらい知ってて普通だろ十二歳なら! てか、ヨナのことなんだと思ってるんだ。めちゃくちゃ心が綺麗な子供とかじゃないだろ! ずっと!」

「人とか殺すしね」

「それはみんなだけどね」

「だとしても! ヨナ様の未来をわたしは心配しているんです!」

「ティナ。夜だよ。静かに」

「すいません……」

「キアはナーサって人をどう見てる?」

「ヨナと同じだ。あいつはドラントの身分だけが好き。ドラントも、お腹の子供も好きじゃない。アタシはさ、あの夫婦がどうなろうと構わないんだ。けど産まれてくるガキは可哀想だと思う」

「……うん」


 自分が産んだ子供を育てるような女じゃない。リーサは自分の姉をそう評していた。


 本当にそうなんだろう。


 だから子供は、乳母と呼ばれる人の手で育てられる。実の母は城での贅沢な生活を謳歌して、子供など顧みない。

 あの子供は、所詮は嫁入りのための道具に過ぎないのだから。


 ドラントだって、自分の子に熱心に向き合うような人間には見えない。


「僕の父は最低の男。母は病弱で子育ては無理だった。それでも愛情は注いでくれたと思う。……僕はまだ、愛されていたのかもね」


 肉親からの愛が一切無い子供ってどんなものだろうな。

 ああ。ホイはもっと酷い環境で育ったな。あれよりは文明的な育ち方をするだろう。


「不幸よね。で、子供を不幸にするような親が、将来的には街の統治をする。産まれてきた子が男の子なら、もっと未来に親からの愛情を受けてこなかった奴が城主になる。そんな奴がいい支配者になれるかしら?」


 街全体の問題になってしまう。家の将来にようやく希望が持てたオルソンや、人の良さそうなリーサやジェゾの未来に暗い影を落としかねない。

 とはいえ。


「ま、いいんじゃない。恵まれた境遇と言いにくくても、産まれてくる子供は祝福するべきじゃないかしら。それに、あたしたちにとってこの街は通り道。あれこれ心配することじゃないわ」


 ゾーラの言うとおり。僕たちはナーサの子供が産まれる前に街を去る。そこからの未来を目にすることはない。せいぜい、風の便りで聞くだけ。


「そうですね。せめて、産まれる赤ちゃんの人生が幸福であると祈りましょう」


 その言葉にみんな頷いて、それから目を閉じ眠りについた。


 ナーサのお腹の中の赤ちゃん、幸せになればいいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ