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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

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4-24.オーゲル家

 セイホランの顔も、纏う布も、いい感じに鮮やかな色彩で彩られた。あらゆる色が混在するまだら模様。それがこの大きさになれば、迫力がある。

 準備会の人たちが、一度組み立ててみようと言った。当日ちゃんとセイホランの像として動かせるかどうか見るために。


 日も暮れて、市民たちは家々に帰っていく時間帯。神様の像だから、祭りの日以外でおおっぴらに見せるものでもない。祭りのことは市民みんなが知っているから、多少なら見られても受け入れられるだろうけれど。


 というわけで、暗くなってから組み立て作業に入る。


 体のパーツは簡単に結合できる仕組みになっているし、それぞれが軽い。もちろん数人がかりで持ち上げなければいけない程度の重さはあるけど、街の若い衆ならば可能だ。

 脚立を使ったり集会場の屋根に登ったりして、セイホランの体をどんどん高くしていった。


 やがて住宅街の一角に、豊穣の男神が姿を現した。


「すごい……」


 隣のティナが静かに声を上げる。僕もまた、セイホランの迫力に圧倒されていた。


 本当に、三階建ての建物よりも大きい。周りの家々はそれより低いから、高さが強調される。

 木製の顔は既に見慣れているのだけれど、それが高い位置に来ることで新たな迫力がある。夜の闇の中で灯りに照らされた姿は、神々しかった。


「これは、神と崇めたくなりますね」

「うん。このお祭りが大事にされていること、よくわかるよ」


 これが街を練り歩く。壮観だろうなあ。


 準備会の若者たちからも歓声が上がった。お互いに頑張りを讃え合っている。

 リーサとジェゾの距離が、やっぱり近いなあ。お互いに遠慮している雰囲気もありながら、それでも近くにいたいって感じがする。


「愛ね!」

「うわっ!? アンリ急にどうしたのさ」


 いつの間にか近くに来たアンリは、リーサたちに憧れの目を向けていた。


「あのふたり、愛し合っているわね。きっとお祭りで、恋人になるはずよ」

「そうだね。そうだと思うよ」


 キアも同じこと言ってた。


 その後すぐに、セイホラン像はバラバラに戻された。今度その姿を現すのは祭りの日。森にパーツを運んでそこで組み立てるという。その時は僕も、森に入って仮面を被り、眷属となるわけだ。


 準備会の人たちがそれぞれ帰っていく中で、ジェゾもリーサと別れが惜しいみたいな雰囲気で語らいながらも、離れていった。


 そして僕たちはといえば。


「オルソンさんが、皆さんも夕飯を一緒に食べないかと誘ったそうですよ。旅の話を聞きたいと」


 ソノレナに言われて、オーゲル家にお邪魔することになった。もちろんザサール一家も同席する。

 それは嬉しいのだけど。


「旅の話ですって。どうしましょう」

「僕が王族で、家から追放されたことも話すべきかな」

「さすがに駄目でしょ。王都在住の孤児とかにしなさい。冒険者に憧れて旅に出たとか」

「ヨナも孤児なの? ふふっ。わたしと同じね」

「あたしに任せなさい。誤魔化すべき所は誤魔化して、うまく話しておくから」


 やっぱり外からはゾーラがパーティーのリーダーに見える。頭も回るし話すのも得意。ここは任せよう。



 オーゲル家は没落貴族で、家には使用人なんかいない。家のことは家族がやる。当たり前なのかもしれないけれど、王族である僕からすると、姓を持ってる家がこれをするのは新鮮な感じがする。

 王妃オリーゼ・ライディオンが料理をすることなんか、僕は見たことがないぞ。


 というわけで、夕飯はリーサの手作り。ついでに家族も紹介された。


 オルソンの子供は三人。リーサとその姉、そして今は不在の弟だ。


 オルソンの妻でリーサたちの母は、数年前に故人となったらしい。苦労ばかりかけてきたと、オルソンは悲しげに言った。

 弟は今、街の役所で働いているとのこと。貴族の家系を前提とした政治家ではなく、一般から登用された役人、あるいは官僚と呼ばれる立場。

 独身者のための寮暮らしをしているために、この家にはいない。優秀な、自慢の息子らしい。


 そして姉は、名前をナーサと言う。リーサよりも二歳年上。目つきの鋭い女だった。


 あまり、こちらの訪問を歓迎しているようではない。家の二階が家族それぞれの私室になっているらしいけれど、リーナがわざわざそこまで呼びに行ったから渋々降りてきたという雰囲気だ。

 どうやら降りるのを厭う理由もあるらしかった。動きたくないと言うべきか。見れはすぐにわかった。


 彼女は妊婦だった。お腹が膨らんでいて、それを隠すようなゆったりとした服装をしている。

 既婚者なのかな。でも、夫の家にいるわけじゃないのか。


 客人を迎えるために人手が必要だから連れてきた、とかでもなさそうだ。料理を作り配膳する妹を手伝う様子はない。昼間、ザサール商会が初めて家を訪問した時から家にいたな。

 出産が近いと実家に戻って慣れた環境で産むってことは、あるらしい。けど、そうでもない様子で。


「妊娠八ヶ月ってところね。臨月にはまだ早い」


 ゾーラがそっと耳打ちした。彼女も同じ疑問を抱いたらしい。けど、踏み込んで聞くことではない。こちらの興味ばかりが残るだけ。

 ナーサは自分の名前を言って軽くお辞儀をするだけで、それ以上は何も話さなかった。椅子に座る彼女の表情からは、少し不機嫌な様子も見えた。


 客人がこんなにぞろぞろと来ることが、あまり嬉しくないって様子だ。


 家長であるオルソンは、笑みを浮かべて場をとりなし、皆に食事を勧めた。なるほど美味しかった。


 酒も出たから成人組は飲ませてもらっていた。ザサール夫妻も頂いているし、キアやゾーラだけ断るわけにはいかない。

 キアの状態は常に見ておかないとね。

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