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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第3章 三男

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3-21.海辺にいたのは

 他にやることもないから、みんな乗り気らしい。


「わかった。行こう」


 宿の料理人に頼めば、昼食用のお弁当としてパンを用意してくれた。本当に準備がいいな。


「わたしが焼いた方が美味しいです」

「それはわかったから」

「高級宿の評判のパンよ?」

「うちのパンも評判です! ヨナ様も、わたしが焼く方がいいって思いますよね!」

「うん。思う思う」


 そう言っておけば満足したらしい。ティナは笑顔になった。


 というわけで、宿から歩いて海の方へ。漁港がある区画を通り越すと、白い砂浜が見えてきた。太陽の光を反射していて、ちょっとまぶしい。

 なるほど綺麗だ。押しては引いていく波の音も心地よい。


 見た所、僕たち以外に人影はない。


「魔物はここに出るんでしょうか」

「出るでしょうね。他の海と同じように。サハギンとか」

「デスピラニアも?」

「出るんじゃない?」

「あ、それ本当にいるんですね。カルラさんの冗談かと思ってました」

「なによそれ。海に出る魔物としては、結構よくあるやつよ」

「そうなんですかー。ここにも出るんですね」

「とはいえ、そう頻繁に出るものじゃないと思うわ。ここは比較的安全な海。夏は海水浴に訪れる人も多いそうよ。ちょっとした観光名所。魔物はあまり出ない」

「海水浴ですか。わたし、やったことないので憧れます」

「余所の土地で見たことあったけれど、良かったわよ。水着でパンツだけ着てる男の子をじっくり見られて」

「なんだか急に、海水浴が不健全なものに思えてきました」

「ゾーラの楽しみ方が悪いだけだろ。アタシも興味あるな。みんな水着を着るんだろ? なんかこう、露出が多い服」

「露出が多いとは限らないわよ。というか、キアの普段の格好も負けてないわよ」

「アタシ普段から水着着てたのか!?」

「そんなわけないでしょ」

「ねえヨナ! わたしの水着、見たい? わたしも着たことないから興味あるの!」

「えっと。どうかな。もし着たら、似合うかもね」

「わたしに惚れちゃう?」

「それはわからないけれど」

「よ、ヨナ様! その時はわたしも! 水着を着させてもらいます!」

「なんでみんな、そんなに必死なの?」

「ティナが水着になっても、そんなにドキドキしないと思うのよね」

「アタシもそう思う」

「むきー! なんですかふたりとも! ちょっと胸が大きいからって! いいですもんねー! ヨナ様だけはわたしの魅力をわかってくれますから!」


 後ろから僕に抱きつくティナ。ちゃんと柔らかいよ。


 馬鹿馬鹿しい会話を切り上げるべく、周りに何か無いかと見回して、本当に何かを見つけてしまった。

 海岸に誰かが倒れている。


「みんな! あれ!」


 さすがに人が倒れているとなれば、全員が顔色を変えて駆け寄った。

 波に流され海岸に打ち上げたらしく、全身がずぶ濡れになっている。


「仰向けにして、気道を確保して息ができるようにして。そして胸のあたりを圧迫して」

「えっと?」

「あたしがやるから」


 倒れている人間をどうすればいいのか、ゾーラはよくわかっているらしい。


 本人が言った通りに体を仰向けにひっくり返せば、彼の顔がよく見えた。


「隊長……?」


 先日、コリングの街で海賊団の一員を引き渡した、治安部隊の隊長だ。それがなんで、違う城塞都市で見つかったのかは不明。

 それは本人から聞き出せばいい。今は意識を失っているようだけど。


「いくわよ!」


 ゾーラが声を上げる。胸の圧迫というのは、それだけ気合いを入れてやらなきゃ出来ないことらしい。事実、ゾーラは全体重をかけて隊長の胸を押して。


「がはっ!?」


 直後、彼は海水を吐き出しながら息を吹き替えした。


「こ、ここは……」

「こんにちは隊長さん。あたしのことがわかる?」

「ああ、学者先生。ということは、コリングに戻れたのか」

「いいえ。ここはメザク。海岸に打ち上げられてたの。ねえ、何があったの? 話せるようなら教えて」

「メザク……ああくそっ。みんな死んでしまった! あいつ! 本当に風を使うなんて!」

「落ち着いて。深呼吸して。お腹すいてるならパンがあるけど、食べる?」


 上半身を起こした隊長の背中を撫でて宥めるゾーラ。


 隊長はすぐに落ち着きを取り戻し、先程あったことを話し始めた。


「捕まった海賊は、あっさりと仲間の居場所を吐いた。それから、街の空き家を倉庫にして奪った金品を保管しているってこともな。商船から略奪した成果を、街に少人数を向かわせて、売り払って金に変えた。売れない物は倉庫に隠していたそうだよ。次の日には、軍の討伐隊が組まれた。俺の部隊も参加させられたんだ」



――――



 ジィネによるひどい演説で、海賊団から脱走者が出た。由々しき自体だ。


 ガルドは、今後は海賊たちの風紀の引き締めを自分に一任するようジィネに強く言い聞かせた。ジィネ自身は今まで通り、海賊行為をする際の指揮と異能による攻撃にだけ専念してほしいと。


 ジィネ自身も、ガルドの言う通りだとわかっていた。荒くれ者の男たちの相手は、男がすべきだ。こちらは上に立つ船長として振る舞えばいいだけ。

 そして今日も、悪しき商人たちを懲らしめに行く。拠点としている小島から船を出して、商船を探しに行く。


 しかし今回は事情が異なった。


「船長、軍の船です!」


 海賊のひとりが震える声で報告した。

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