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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第3章 三男

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3-5.第三王子が来る

 専門家ってほどは詳しくはないけど、この本を読めば新しい知識は得られるだろう。


 パラパラと本をめくっていると、キアとアンリは感心したような目を向けていた。


「本が読めるってすごいよな。アタシもゾーラから字は教えてもらったけど、まだそれを読むのは無理だった」

「わたしも。なんか書いてること難しすぎて」

「知識層向けの学術書だから、出てくる言葉が難しいんだよね。まずは自分の名前を書けるようにしてから、簡単な言葉を覚えていくんだ」

「ゾーラも同じこと言ってた。自分の名前は書けるようになったわ。あともふもふの名前も!」

「じゃあ今度は、馬とか弓とか、自分に関わりの深い言葉から読み書きを覚えるようにしていこう」

「ええ! ヨナも小さい頃は、そうやって勉強したの?」

「うん。早く読み書きができるようになって、難しい話もわかるようになりたくて。必死に勉強した」

「そうなのね。頑張ったのは、どうして?」

「ヨナ様大変です!」


 会話を中断するように、ドアがバンと開いてティナが駆け込んできた。


「こ、この街に! 第三王子が来ます! テナンドウスです!」

「! テナンドウスが? なんで」

「なんかこう! 調査です!」

「ティナ、落ち着いて。まったく、さっきは格好いいと思ったんだけどね。基本はこれなのよね」


 ゾーラが後から追いかけてきた。落ち着いているし、話はこっちから聞こう。


 僕とシャルロットとの婚約の件は、正式に決めるのは延期。それはいい。問題は、この街で起こった不正に王族が首を突っ込んできたこと。

 たしかに王家直轄領に関わる話だし、クリビース男爵のやったことで王都はダークドラゴンの被害を受けた。だから当事者なのはわかる。


 でも公爵の監督責任を問うために王族が乗り込むのは、出しゃばりすぎだ。公爵領で起こったことは公爵領で解決し報告する。今回の件は公爵家には非はないわけだし。それが自治というもの。


 なのにテナンドウスが来るのは、シャロンの言っていた通り、話を大事にしたいがため。それから王族の力を見せつけて、王子がふたり死んだことは王家の力を揺らがせていないと国民にアピールするためだ。

 なんて空虚なパフォーマンスだろう。


「あの理屈っぽくて頭でっかちなテナンドウスを寄越すのも、わかりやすいな。頭は回るから、公爵の非をなんとか見つけて非難するつもりだ。許せない。殺そう」

「待ってくださいヨナ様! それはいけません。お気持ちはわかりますけど!」

「そうよ。公爵領で王族が死ねば、それこそ公爵の責任になる。それはあなたも望まないでしょう?」

「……」


 その通り。公爵は僕の師匠で恩人。今は世話してもらっている立場にある。迷惑をかけるわけにはいかない。


 それに、テナンドウスは僕を追放したわけでも、殺そうとしたわけでもない。父やグラドウスと同じく、僕を蔑んで見て馬鹿にしてきたのは事実だけど、殺すほどのことをされたわけではない。

 殺したい気持ちは強いけれど。


「だからヨナ様。一旦ここを離れましょう。メザクの街に行けばいいと、シャロン様は言ってました!」


 メザクは、公爵領の第三都市。コリングと同じく沿岸にある港町だけれど、貿易港であるコリングとは違い漁業の拠点としての面が強い。


「そこの宿でしばらく隠れてやり過ごしてほしいとのことです!」

「そっか……うん。わかった。行こう」


 公爵のいるナーズルの街と、事件の起こったコリングの街には兄が立ち入る可能性が高い。だから、第三都市に退避か。

 逃げるみたいで、やっぱり嫌だな。従うのが正しいのは理解しているけれど。


 そういうわけで、翌日には出発した。別れ際、公爵と話す機会があった。


「ヨナ様。あちこち移動させるはめになり、申し訳ございません。視察団が去れば、すぐに使いを出しますので」

「師匠。今回来るテナンドウスですが」

「はい」

「師匠は以前、王になるのはグラドウスよりも彼の方が適していると言っていましたね」

「見たところの適性は、王子の中では最も高かったかと」

「それだけ狡猾な人間ということです。どうかお気をつけて」

「ええ。わかっていますとも」


 適性があると考えているだけで、個人的に敬意を持っているわけではない。だったら大丈夫かな。


 もふもふとアンリが動かす荷馬車に、四人で乗る。

 それから馬車がもうひとつ用意された。こっちは公爵家所有のもので、席に座るのはティナの家族だ。


 途中でコリングの街に寄り、パン屋の開店準備を進めることにした。視察団がコリングの街に来るにも数日の余裕がある。お店を開くにも手間がかかるし、その手伝いをすることにした。


 今回は、カルラみたいな公爵家の監視の人員はつけられなかった。信頼されているということか、それとも婚約が決まったような状況だから、今更逃げたりしないと思われているのか。

 ちなみにカルラは事件の当事者として、視察団と対面することになっている。僕たちの存在は隠してくれるとのことだけれど、さてどうなるかな。



 数日ぶりのコリングの街は、事件があったとは思えないくらいに平穏だった。大通りでは今日も海の向こうからの客人が行き交い、活気に溢れていた。


「お父さんお母さんお祖母ちゃん。あれが海です! 大きいでしょー。ちょっと事件は起きましたけど、何度来てもいい街です。町並みはきれいだし、人通りも多いし」

「お姉ちゃん。最初に来たときは幽霊が怖いから、街に入りたくないって駄々こねてたよね?」

「駄々はこねてません!」

「でも、すごく怖がってた」

「そんな前のことは忘れました!」

「そんなに前のことじゃないよ?」


 違う馬車に乗っているから、声が自然に大きくなって。それで話している内容は馬鹿馬鹿しいものだから、みんな自然と笑顔になっていく。

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王子の殺意が高すぎるw
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