第十八話 挨拶をかねて最近の不思議体験など ★
この第十八話で、長く続いたこのエッセイもいったん終了にしようと思う。
もし新たな不思議体験をしたり、インパクトのある過去の不思議体験を思い出した場合は、また続きを書きたいんだけど……。
連載中のままにしておくのは怖いから、一旦完結ということで。
私のそばに寄ってきたあちらの世界の住人が「ネタを作ってあげよう!」なんて張り切ったら困るから。
前話まで、覚えてる&話にまとめやすい不思議体験を備忘的に書いてきた。
あまりにも細かい情報はにごしたり、記憶が曖昧な部分は適当に補完したけど、すべてノンフィクションだ。
今思い返しても気のせいとか勘違いとか偶然とか、寝ぼけただけとか……そう思えてしまうものばかりで、
「やっぱり私には霊感的なものはないような……?」
なんて思ってしまうのだけど、これだけ数がそろえば一つくらいは本物がありそうな気もする。
逆に全部本物の可能性もあるんだけど……もしそうなら怖い。
てか、本物かどうかに関わらず、怖いものは怖い!
というわけでさっぱり終わらせてもいいけど、最近起こったばかりでまだ結論が出てない不思議体験がある。
忘れないようにここに書いておこうと思う。
それはパワーストーンの話だ。
私は仕事を始めて少し経った頃からパワーストーンにハマって、いろんなブレスレットを持っている。
パワーストーンは見た目が綺麗だし、一点ものだし、何より色んな効果があるのが魅力的だ。
しかし私には、パワーストーンのパワーはよく分からん。
手で包んで持つと、何か波動を感じるような?
それぞれの石の違いは……うーん。
でもささやかな不思議体験なら三つある。
最後の以外は一応、結論が出てる。
一つ目は数年前のこと。
当時、同じ石のブレスレットを二つ持っていて、気に入ってた方とは逆のブレスレットが、すごいタイミングで紐が切れた。
ある日、スピリチュアルカウンセラー的な人が石を見てくれるっていうから、どっちを持っていくか悩んでいて。
気に入ってるやつでいいと思ったんだけど、実はもう片方の方がお値段的には高かった。
結局、二つとも持って行こうと決め、一度机の上に置いて、そのあとすぐにバッグにしまおうとしたら……もうシリコンゴムの紐が切れてた。
すごいタイミング!
パワーストーンのブレスレットは、紐が切れたら役目を終えた証拠=寿命だって言われている。
この場合は寿命というか……私がもう一つの方を気に入ってたから「私はもう用なしね」的に去っていったのかな?
二つ目は、このエッセイを始めるほんの少し前。
ネットでとあるブレスレットを見つけ、とても好みの見た目だったしそんなに高くないから、買うことにした。
そのお店は初めてだったんだけど、浄化方法にこだわっていて、パワーがありそうな石を扱っていた。
そうしてブレスレットが到着した日。
とりあえず入浴後につけてみた。
その石は癒し効果が高いやつだったから、仕事の疲れから癒されようかなぁ〜って思って。
そしたら……身体がしんどいというか、疲れすぎているのか、もしくは風邪でも引いたのか?
体調が悪くなっちゃって……。
なんだか変な感じがしたから、とりあえずそのブレスレットをつけるのはやめた。
後日、これまたスピリチュアルカウンセラー的な人に相談したところ、どうやらそのブレスレット自体が「石酔いしやすい」んだとか。
石酔いとは、その石のパワーが自分に合わずに体調が悪くなっちゃうやつ。
今までパワーストーンの効果はよく分かっていなかった私だが、まさか悪い方向のパワーだけは分かるとは!
良い方のパワーも感じたい……。
さて、三つ目。
最後はこのエッセイを始めてからの話。
私は今回もまたネットで、とあるブレスレットを買う事にした。
そのブレスレットには貔貅の形に彫られた石がついていた。
「貔貅って……なに?」
そもそもその読み方も分からなかった。
どうやら中国では有名な瑞獣のことらしい。
別に貔貅が欲しかったわけじゃないけど、そのブレスレットが気に入ったから買う事にした。
「貔貅って瑞獣なのかぁ……あ、麒麟みたいなもんかな?」
そう考えて、ハッと思い出した。
自分が麒麟のパワーストーンも持っていたことを。
それはブレスレットじゃなくて置物みたいなやつで、これもネットで買って自室の机に置いていた。
当時は在宅ワークが多かったけど、去年の第二子出産で、もう一年は机に座っていない。
机の上は上の子が荒らしまくっててグチャグチャ。
でも麒麟はすぐに見つかった。
しかし……ホコリだらけ。
申し訳ないから綺麗に洗って、一階の階段下の小窓に飾る事にした。
それがとある週の金曜で、休み明けの月曜日に異変が起こった。
私は今は基本的に出社していて、夫だけが在宅ワークだ。
その夫から昼間にLINEがきた。
「一階に何かいる」
恐ろしいことを言わないでほしい。
「俺はもうダメかもしれん」
不思議体験なんてほぼない夫が、なんか参ってしまっている。
なんでも二階で仕事をしていると、一階から何かが走ったり、飛び回ったりするような音がするらしい。
我が家のリビングにはチワワがいるけど、誰もいなけりゃ寝てるし、そもそもサイズ的に走り回ってもそんなに音はしない。
隣の家の物音が響いてるんじゃ?
なんてことを言ってなだめる私。
その日、家に帰ったら、あの貔貅がついてるブレスレットが届いていた。
封を開けて愛でて、浄化のために水晶クラスターの上に置いておいた。
家でリラックスする用に買ったから、平日の仕事中はここが定位置だ。
そして翌日。
また仕事中に夫からLINEがきた。
「やっぱり家に何かいる」
二日連続となると、本当に何かがいるのかもしれない……。
具体的にどんな音がするのか、聞いてみた。
「ドン! ガタッ、ドドドド、みたいな」
おお、激しい。
それは……チワワじゃないな……。
動物が走ってるみたいだから、猫とか?
(待てよ……動物?)
それでハッとした。
夫が最初に物音を聞いたのは、貔貅のブレスレットが家に届いた日だった。
ポストインで、昼には届いてた。
(もしかして、貔貅が? え……でも貔貅って、実在の動物じゃないし)
でも他に心当たりが……。
(あっ……そういや麒麟もあったわ!)
麒麟は金曜に一階に持ってきたけど、土日は家族で家にいたから、一階は無人にならなかった。
それで月曜から?
てか、音の感じからすると一匹じゃなくて複数の感じだ。
そうなると、貔貅と麒麟の両方なのか?
音的にじゃれてるっぽい気もするし、二匹が我が家で出会って仲良くなったとか……?
両方とも瑞獣だから悪いもんじゃなさそうだけど、そんな事ってあるのかなぁ。
この音は翌日も続いたらしい。
その日か翌日の夜のこと。
私が鼻歌を歌いながら洗面所で歯を磨いてたら、チワワがリビングからこっちに来ちゃって、洗面所の中をウロウロしている。
(あー、息子がリビングのドアを開けたんだな)
そう思って口をゆすいでから、気づく。
さっきまでいたチワワがいない。
取り残してリビングに戻っちゃったらかわいそうだ。
でも見渡す限りどこにもいない。
リビングに戻ったのかとリビングに続くドアを見たら、ちゃんと閉まっていた。
姿を見てから見失うまでは、たぶん一分経ったかどうか。
息子が来てチワワをリビングに入れて、ドアを閉めた……ってのは無いと思う。
そもそも行きと帰りで息子が来たなら、両方とも私に声をかけないのはおかしい。
それなら見間違いか? と思ってから気がついた。
歯を磨いてて、鏡越しに足下をウロチョロする姿が見えたからチワワだと思ってたけど……なんかいつもより大きかった気がする。
しかもうちのチワワは抜け毛防止のために、今は白い夏服を着ているんだけど、鏡越しに見た姿は薄茶っぽくて服を着ていなかったような……。
うちのチワワも薄い茶色でよく似てはいるんだけど……。
まあこれは私の気のせいかもしれない。
そうでないとしたら……貔貅って薄い茶色なの?
ネットで検索してもよく分からん。
もしくは麒麟が薄茶なのか?
今度、スピリチュアルカウンセラー的な人に会う機会があれば、試しにこの石二つを見てもらおうと思う。
そして何か進展があれば、このエッセイの続きとして書くかも?
この他にも同じ週に、夫が仕事をしてたら目の前でコーヒーカップがガタッて揺れて、中身が少しこぼれたってエピソードがある。
夫の手は触れてなかったらしいんだけど……一体なんなの……。
けれども翌週にはこれらはすべて落ち着いた。
夫も、もう昼に一階からの物音を聞くこともなくなった。
貔貅と麒麟はひと通り遊んで落ち着いたのか?
それともどっかに行っちゃったのか?
もしくは、まったく別の存在の仕業だったのか──。
ちなみに麒麟を置いている小窓には、先客がいる。
それは夫と付き合ってる時に旅行で買ってきた、シヴァ神の像だ。
これが第四話や第十二話で触れていた神様の像。
どこの話にも入らなかったからここに少し書いておく。
「バリ島に旅行に行くなら神様の像を買おう!」
と、心に決めていた私。
でも母により百亭家は、神様の像は家の敷地に入れたらいけないという家訓があったから、会社のデスクに置くことにしてた。(けっこう自由な職場)
しかし色んなお土産屋さんで見るも、なかなか「これだ!」というのが見つからない……。
そして滞在最終日、空港のお土産屋さんでついに見つけたのが、今我が家にいるシヴァ神だ。
空港のお土産屋さんだし、特にスピリチュアルな事はないだろう。
そう思って、インテリア的に会社のデスクに飾っていたんだけど……。
このシヴァ神、ふと気づくと向きがずれる。
私の方を向けて斜めに置いてるのに、なぜか真っ直ぐな方向にズレる。
深く考えると怖いしパソコンの振動のせいにしたんだけど、他にも色々デスクに置いているのに動いたのはシヴァ神だけだった。
私は結婚して母の家訓から解放されたから、今はそのシヴァ神も我が家にいる。
今はもう向きが変わることもないけど……おかしなことがあるとすれば、第十二話で書いた、息子が手を振ってた事くらいかな?
あとは……実は四日前にも、もう一つ不思議体験があったんだけど、このエッセイを始める時の活動報告に書いたものと関連するから、今回も活動報告に書こうと思う。
じゃあもう書き残したことはないかというと……どこのエピソードにも入らなかったのが三つある。
そのうちの一つは長らく不思議体験だとは思ってなかったんだけど、エッセイを書いてて思い出して、ネットで調べても正体が分からなかったやつ。
いつか分かるかもしれないからこれも書いとく。
小学生の時、外で遊んでいると、晴れた日の空に光る糸のようなものが見えた。
キラッキラッと光を反射しながら、斜め上に真っ直ぐ飛んでいく糸だ。
光ってる時しか見えないから、透明なんだと思う。
糸と言ってもいつも真っ直ぐだから、長い針みたいな感じかも?
長さは20〜30センチくらい。
飛んでるのは、だいたい電線くらいの高さだ。
友達に「あれ、なんだろ?」って聞いても、見えないのか気づかないのか、誰も分かってくれなかった。
まあ生き物には見えないし、私としては「きっと蜘蛛の糸だな」って思ってたんだけど……。
蜘蛛の糸って、電線の高さでも見えるもんかね?
しかもけっこうキラキラ光る。
私が見たことのある蜘蛛の糸は、そんなに光を反射しないんだけど……。
大人になってからは、めっきり空を見る機会が減った。
もしかしたら今でも見えるかな?
と思ったけど、最近外出するときはいつも曇ってるか、晴れててもゆっくり空を見れない……。
今度タイミングがあれば探してみようと思う。
あと書けてない残り二つは、母がおじいちゃんから聞いた話だ。
私としては興味深くて不思議な話なんだけど……。
ちょっと内容がデリケートすぎて、書きづらい。
それに関する悩みを抱えてる人は、嫌な思いをするかもしれない……。
その二つとは、自殺についてと、堕胎についてだ。
いつかこのエッセイを再開する時が来て、上手い具合に書けそうなら書こうと思う。
最後にしてだいぶ長くなっちゃった……。
とりあえず、今書けるものは全部書いたから、そろそろ終わりにしよう。
はたして、このエッセイをここまで読んでくださった方はいるんだろうか?
数はかなり少ないと思うけど……。
最後になっちゃったけど、こんなゆる〜い不思議体験を読んでくださり、本当にありがとうございます!
そんな奇特な方は、多少なりともスピリチュアルやホラーなものに興味があるんだと思う。
だからここまで読んでくださった方のもとにも、怖くない程度の不思議体験が訪れることを願って──。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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