一章3 怪物ウツロ
「そういやお前って具体的に何を仕事にしてんの?」、週刊少年ジャンクを買った帰りに何故か一緒に付いてきたバトに訊いてみた。
『まぁ簡単に言えば、壊れた町の修復や依頼の承り、あとはマスコット的な存在として活躍するぐらいかな』
「前の2つはまだ分かるけど魔法少女ならともかく、スーパーヒーローにマスコットは必要無いだろ」
『いやいや、スーパー戦隊にも犬とか鳥とかドラゴンとかいるじゃん』
「いやそれマスコットじゃなくて司令官だろ」
『気にしない気にしない』
「話変わるけど、今俺って周りの人にどう見えてんの?一人で会話してる危ない奴に見えてる訳無いよな?」
『大丈夫だよ。僕が妨害電波を周りの人の頭に流しているから周りの人にはただ君が歩いている様にしか見えない』
「そうか、良かった」
俺とバトが他愛の無い会話をしながら帰る途中だった。――それは突然やって来た。
ドガアァァァァン!!!
突然響く爆音と共に悲鳴も聞こえてくる。
「おいバト!何だよあの爆音!?」
状況が掴めないが俺は取り敢えずバトに訊く。
『またウツロが出たか…一体この4月で何件目だと思っているんだ?』
「何だよウツロって!?」
『ウツロとは人の心の闇から生まれる怪物のことだよ。そいつらを倒すのがスーパーヒーローの仕事さ』
「そうか、じゃあスーパーヒーローの到着を待たないとな」
『は?何言ってんの?君が変身して戦うんだよ?』
「はぁ?嫌に決まってんじゃん!そもそもお前らのせいで理不尽過ぎる契約を無理矢理結ばされていやいやヒーローやることになったんだぞ!?てか俺みたいなのがヒーローで大丈夫か?」
『勇!後ろ後ろ!』
「ん?うわぁぁぁっ!?」
どうこうしているうちに巨大な食虫植物みたいな怪物が俺の後ろに立っていた。
「仕方ねぇ…おいバト!どうやって変身するんだ!?」
『レッドサンを構えて自分で考えた決めゼリフを叫ぶんだ!』
「よし!やってみる!」
――彼がレッドサンを構えた瞬間、彼の目つきが変わった。
「よし!怪物だろうが何だろうが、この俺がぶっ倒す!覚悟しな!」
『あれ?君ってこんなキャラだったっけ?』
バトは疑問に思った。
「いくぜッ!変身ッ!」
ーその瞬間、勇は赤い光に包まれた。
二重人格発動まで四話もかかってしまいました。長かった…