Case15.ライバルは友ではない。
昔の某有名漫画ではライバルと書いて友ってルビ振ってたんだっけ?そんな高尚な考えを持ったようじゃこの世界では成り上がれないんだよ!
一応SNSでの話とかで聞いたこの店‘お命頂戴します。’に来てみた。
「「いらっしゃいませー」」
すっごい、イケメンだな。俺は面は割れてないけど、なにぶん体形が……。競泳選手なので目立つ体型なんだよな。一応顔もバレないようにしてるけど、この店だと不要みたいだな。全女子の視線が店員にいっている。
俺を見る視線は……なんだ?奥のカウンター席から視線を感じる。
キ・「悟クン!悟クン!さっき入ってきた彼!いい体してるわよねぇ♡」
悟・「キャサリン、俺は男に興味ないからわからんけど、確かにごつい体だとは思う」
キ・「ああん、ここにジョナサンがいたら熱く語り合うのに!」
悟・「丈一郎なら、補習らしいですよ。まともに授業受けろっていうのに男ばっかり追いかけてるから……」
尊・「いらっしゃいませ。お客様。ご注文はお決まりですか?」
「カフェラテを一つ。ラテアートはドロップで」
尊・「かしこまりました。少々お待ちください」
尊と悟は客が彼一人になるように接客をし、彼が一人になったところでcloseと表示した。
尊・「大変お待たせしました。ご用件は?」
「俺が誰だかわかんないの?マジ?俺って顔は売れてないんだな。顔を売ってるわけじゃないし。えーと俺は…
キ・「船出選手よ!超有名じゃない!競泳選手よ!実際に美ボディに会えるなんてカンゲキだワ~♪」
「彼女?彼?」
尊・「その辺は深く考えないように……。えーと競泳選手がうちに何の用?」
「今度の競技会で俺が優勝するように、俺のライバルに細工をしてほしい」
尊・「まぁ、それはいいが。スポーツマン精神とはかけ離れているな、子供の夢ぶち壊し」
「イマドキそんなことを言っていたら、スポーツ選手として生きていけねーんだよ。如何にしてライバル選手に勝つか」
尊・「努力だろ?」
「違うな。周りを不調にするんだよ。自分だけを有利にする。ときには審判を買収する」
悟・「うわー、汚い!」
「そう、汚い世界なんだよ」
尊・「で、ターゲットは?」
「次の競技会に参加するヤツみんな。絶妙に俺が優勝するように見せかけてくれ」
尊悟・「「……」」
うちの家業も汚いけど、それを上回る汚さを俺は見た!テレビで見るような美しいスポーツマンシップにのっとったような世界はもうないのかなぁ?船出選手とは大会での結果を約束し、結果の後再びここに来てもらうことにした。
瀬・「では坊ちゃん」
尊・「坊ちゃんはやめて」
瀬・「ご主人、細工の方はこの瀬蓮におまかせください」
尊・「ああ、頼りにしてる。キャサリンには船出選手とその周りの関係を調べて欲しい」
キ・「任せて!競泳選手達の筋肉!キャー!どうしよう♡」
尊悟・(どうするんだろう?)
そして競技会翌日
船出選手は優勝した。当然だろう。俺らがサポートしたのだから。
満面の笑顔で‘お命頂戴致します’に来た。
「いやあ、君達に頼んで大正解!俺の名声もうなぎ登り!」
尊・「それはよかった。ところで、競技会にはずっとあなたと競泳を続けてきた友人がいたようですね。切磋琢磨してきた関係の方ですか?」
「へっ、そんなのはマスコミが美しく書いているだけだよ。本当はお互いに「あいつさえいなければ」と思う仲だよっ」
船出は言い捨てた。
キ・「そんなことないわよぉ。彼の方は本当に船出選手の事を親友としてたみたいよ。お酒に酔った状態の彼から聞き出したんだから!サラシが苦しかったわぁ!」
キャサリンのサラシの事は聞いていない……。
尊・「だそうだ」
「だとしても、俺の方はそうは思ってなかったな。あいつの片思いだよ」
キ・「悲しい片思いねぇ。トキメキとかドキドキとかないんだもの」
尊・「ところで、ここのルールはわかってるよなぁ?喫茶店の名前、‘お命頂戴致します’だし」
「なんだよ?俺が大会で優勝して終わりじゃねーのか?」
尊・「うーん、俺達は慈善家でもなんでもないんですよね。情報収集のためにも力を注ぎました。競技会ではあなた以外の選手が不利になるように動きました。これらの対価を頂きます」
「なんだよ?金を取るのか?聞いてねーぞ?」
尊・「あなたの人生をいただきます」
「はぁ?ますます聞いてねー。俺はこれから世界に羽ばたく有力選手として動いていくんだよ!」
瀬・「私達の力もなしに?実力で手にしたわけではない力で?」
尊・「もう決めてます。あなたの両足アキレス腱を切断致します。即繋ぐ手術を行います。その上で努力をし、自分の力でなんとか競泳選手として生きるもよし、普通に生活するもよし、自暴自棄になるもよし、お好きなように過ごしてください」
流石に船出選手は逃げようとした。
瀬・「年を取って衰えたとはいえ、この瀬蓮から逃げられませんよ?」
瀬蓮は船出選手を拘束した。
尊・「手術を執刀するのは、俺ら3兄弟の長男。ネットだとレアキャラ(笑)とか言われてる」
聡・「初めまして。あなたの手術を担当します。安心してください。これでも医学部首席で卒業していますし、正式に医師免許も持っています。ついでに麻酔もできます。あなたは気がつけばすべてが終わっています」
「「「では、“お命頂戴致します。”」」」
尊・「あいつは反省するだろうか?」
悟・「半々かなぁ?ナルシストな傾向?が感じられたから自分大好き系?」
キ・「あら、悟クン、聡クンの助手しなくていいの?」
悟・「うわっ、やべー。聡兄に怒られる!」
悟は猛スピードで手術室に行った。
~その後の依頼人
まさか両足のアキレス腱切断と縫合をされると思わなかった。普通に生活できるようになるまでは‘お命頂戴致します。’の瀬蓮って執事(?)のオッサンが派遣してくれた看護師?介護福祉士?が俺の世話をしてくれた。アフターフォローがバッチリだなぁ。
俺の情報からだろうか?オッサンが派遣してくれた看護師?介護福祉士?あー、どうでもいいが、俺の世話をしてくれる人の中に俺のドストライクで俺の好みの女がいる。競泳の汚れた世界に身を置いていたことも彼女は知っている。
だからこそ、だからこそだ!きちんと復活して彼女にこの気持ちを伝えたい!競泳の世界に復活するのはもう無理だろう。リハビリしても、一度両足のアキレス腱を切ったんじゃあなぁ。もちろん努力はする。俺に何が出来るだろうか?トレーナー?指導者?どっちも資格が必要っぽいなぁ。どうせろくに動けないんだから、勉強しよう!
俺は一念発起し、指導者の資格を取り、努力した。一般人くらいには水泳できると思う。この状態で彼女に想いを伝えよう。
こうして船出選手は自身を看護してくれた彼女と結婚することとなった。のちには、数々の名アスリートを育てる指導者として成功した。




