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25. 活動


「僕のこと…ですか?」


コテンと首を横に倒す綾艶リンイェン

やっぱこいつ、政治の世界じゃ格好の餌食になるだけじゃねぇのか?と疑問が湧いてくるが、まあそれは一旦置いておこう。


「ああ、師匠のおかげでお前達の情報の引き継ぎがろくに出来てなくてな。今後の事を記録するにも今までのお前達のことも分かってねぇことには限度があんだろ?」


俺の言葉に綾艶は「なる程。確かに何をするにも情報というものは大切ですよね」と納得している。


「それにしても、僕の何をお話すれば良いのでしょう?」


「あ〜…。あ、お前は絵画が好きなのか?さっきも顔料まみれになってたし。」


聞きたい事をまとめてきた。なんて用意周到なわけもないので、取り敢えず思いついた事を適当に聞いてみると「ハハハ…その節はお見苦しい姿を…。」と頬を赤らめながら話し出す。


「そうですね。絵画…と言うより、芸術全般が好きですかね。絵画は勿論、彫刻、建築、音楽、舞踊とか…ハハ、僕は他の兄弟達のように賞賛されるような趣味も特技もないんです…。」


と、お得意の困り笑いで自分を卑下する綾艶。

人間はすぐ変な事を気にするな。

疲れねぇのか?


「趣味も特技も、もともと誰かに褒められるためのもんじゃねぇだろ。得意なことは人それぞれ違うし、趣味は“自分が自分でいられる場所”みたいなもんだ。誰かと比べること自体間違ってる。」


その言葉に綾艶は泣きそうな顔で「やはり、選定者様は優しくて、素晴らしい考えをお持ちの方ですね。」とむず痒い事を言ってくる。

やめろ気色悪りぃ!


ま、さっきのは師匠の受け売りを少しいじっただけだけど…。


…。


よし、話題変えよ。


「さっき、この部屋は国中の芸術家の技が詰まった部屋だとかなんだとか言ってたが、壁にあるもんとかもお前が趣味で集めたやつか?」


部屋に飾られたものを見ながらそう言えば、綾艶は嬉しそうに微笑む。


「はい。どれも素晴らしい作品でしょう?少しでもたくさんの方に見て欲しくて客間に置いています。」


愛おしそうに作品たちを見つめる綾艶は本当に芸術を愛してるようだ。

ふーん。と思っていると、追加の茶を持って来た霓落ニールオが口を挟んできた。


「綾艶様は慈善活動として、地位も知名度も金も無い芸術家達を支援してるんすよ。この屋敷もこの部屋のもんも全部そいつらの作品です。」


「ほぉ〜、慈善活動ね。いいじゃん。」


そうそう。欲しいのはこういう情報。


「慈善活動だなんて…僕のはそんな素晴らしいものではありませんよ。僕はただ…僕と同じく芸術を愛する者達が地位や立場、資金面で才能を潰され、その才能が世に出る事なく消えてしまうのが悲しくて…だから、自分のためにやっている事なんです。」


結局自分を下げる綾艶に、従者のくせして椅子の背もたれを前にして、グデっと寛いでる霓落ニールオが言う。


「そーだとしても、それで救われてる奴らがいるんだ。

“素晴らしい事”でいいんじゃないっすか?」


「…うん、そういう事にしておく。」


綾艶は霓落の言葉にくすぐったそうに笑い。


「ま、そのおかげで梅香殿うちはお金の余裕が有りませんけどね。別に家事もあんたの世話も嫌いじゃねぇっすけど。」


次に痛いところを突かれショボくれる。


「うっ…。それに関しては霓落ばかりに負担をかけてしまって…。いつもありがとう霓落。」


…。


仲が良さそうで何より。

だが、主人として従者の客前でのダラシのなさは叱った方がいいと思うぞ…。

あと、屋敷に使用人が少ねぇ理由はそういうことか…。


「…有難いことに。こんな僕にも感謝をしてくれる者達はいて。その者達がお礼をしたいと、数年前にこの屋敷を建て替えてくれたんです。」


少しは気持ちが前向きになったのか、そんな事を言う。


「ふーん。ま、気持ちってのは返ってくるもんだかんな。

…?てか、それにしてはお前の支持者が少なくないか?確かに芸術だとかは国に直結する事じゃねぇし“甘ちゃん”だなんだと言われんのは仕方ねぇかもだが…。」


ふと、師匠の説明書に書いてあった、

一般的な周囲からの綾艶の評価が低かった事を思い出した。


「ああ、それは慈善活動を名を出さずにやってるからっすよ。流石にこの屋敷を建てた奴らにはバレましたがね。」


その言葉にハハハと笑うだけの綾艶にため息をつきながら霓落ニールオが続ける。


「芸術家への支援だけじゃねぇ、貧民街や孤児への支援もやってるってのにそれを表に出さないんだから、バカっすよね〜。公表すれば少しは宮廷ここでの暮らしも生きやすくなるでしょうに。」


なる程。理解理解。


それに、霓落の言うことは最もだ。

貧民街や孤児への支援だなんて、点数稼ぎにはもってこいじゃねぇか。

公表すればきっと、こいつへの周りからの態度も考えも随分と変わる。立場だって固まるだろうな。


「支援されてる側はあんたの事を知りたがってる。教えてやればあいつらだって喜ぶっすよ。…俺もそうだったし。」


…俺も、てことはこいつも支援されてた側だったのか。ま、芸術家ではなさそうだし、貧民か孤児だったってところか?


霓落の言葉にクスリと笑って


「良いんだこれで。…そんな事をして兄上達やウェンの邪魔はしたくないからね。」


静かにそう言う綾艶の表情は、とても穏やかなものだった。



【キャラ補足】


綾艶リンイェンは芸術家への支援をしていますが、

本人も“芸術家”です。

特に楽器演奏は天才的で、初めて触れた楽器でも難なく弾きこなします。

彼の奏でる音色には“万物の心を癒す力がある”と言われるほど美しい音色を奏でます。

※ただ、趣味としては絵を描くことが好きです。


・催事では綾艶が演奏を披露する場が設けられることも多いです。 その際は、斐艶フェイイェンが踊り子として舞台に立つこともあります。

 

・斐艶は幼い頃、母の意向で演舞を極めており、

身体能力がチートなため、舞台では圧倒的な存在感を放ちます。


・可憐な綾艶、美しい斐艶。

二人の最高の演奏と演舞が合わされば、

誰もが引き込まれる幻想的な舞台が生まれます。


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