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それぞれの思惑

人物名は出来るだけ変えないように気をつけましたが、違っていても、あ〜・・・間違えたか変えたんだなくらいに流して頂けるとありがたいです。

 中村君に教えられた通りステータスと声に出す。

 言われた通り眼の前にウィンドウが現れ、そこには私の名前や職業、HPにMP等が記されていた。

 「中村君が言うように、私の職業、…聖女ってなってる」

 「PCって所、どうなってる?」

 中村君が食い気味に聞いてきた。

 私はその勢いに驚いて足を一歩後ろへ下げた。

 「…浄化中。ブラックスパイダーの毒浄化中って記されてる!」

 私は事実を受け止めきれずに中村君に向かって大きな声で返事をしてしまった。

 自分で自分の声の大きさに驚き口を両手で塞いだ。

 でも…毒って…?私は毒なんて摂取してない!

 「昨日の晩飯に含まれていたんだと思う。・・・・・そうか、それで日聖だけ別部屋でフルコースか・・・・」

 え?!騙すために豪華にしたってこと?

 「そこまでして私を殺したかったってこと?」

 「・・・・分からない。ゲームの世界ならありえないことだが、この世界にとって聖女とは崇拝するだけの対象ではないということかもしれない」

 それだけ言うと中村君は黙ってしまった。

 何かを考え込むように顎に手を当て、それ以上何も言うつもりが無いように感じたので私はその場を離れた。

 廊下を歩きながら私も考えを巡らせていた。

 聖女とはなんなのか?

 中村君が言っていたようにゲームの世界なら瘴気を浄化したり、祈りを力に変えたりする。

 この世界の聖女がゲームの世界と違うなら、聖女を敵視する者も居ると考えるべきなのだろう。

 「誰が敵で味方なのか見極めろってこと? ただでさえ知らない世界に来て、何も分からないのに・・・・」

 私はそう独り言をつぶやく。

 しかし、嫌でも見極めていかなければ命が危ない。自分の命を守るためには敵は排除するしかないのだ。

 其の為にはまず味方を見つけるしかないのだけど・・・・。

 宛のない結論に私は天を見上げた。そこには冷たさだけが伝わる石の天井があるだけだった。


 私と中村君が考えを巡らせている頃、一緒に召喚されたクラスメートたちは宰相と名乗ったローグラ侯爵と共に奥庭にあるバラ園に集められていた。

 昨夜このローグラ侯爵は義理の息子であるブルンドル辺境伯と全員のステータスの確認を密かに行っていた。そこでテントーレ王国に有益になりそうな面子だけをこのバラ園に集めていた。

 ここに居ないのは珠子と中村、それと岡部と新村の4人だけだった。

 岡部と新村はそれぞれの部屋に残されていた。

 その2人は自分たちが呼ばれていないことを怪しむこともなく、饗されたお菓子を満足そうに頬張るだけだった。

 「皆様にはこれから魔法について学んでいただく機会を作ろうかと考えております。現在元の世界へ戻る術は分かっておりませんが、魔法を使えるようになることで足枷になるような事は無いかと考えております。それよりも個々で魔法を使えるようになれば、より元の世界へ戻れる確率も高まるやもしれないのです。如何でしょうか?」

 ローグラ侯爵の話にみんながそれぞれの顔を見る。元の世界では無かった魔法が使えるようになるとなれば興味を抱かないほうが難しいだろう。しかし、何処まで信じて良いのかは分からない。だから皆答えを渋っていた。

 「あの〜・・・・」

 申し訳なさそうな声で手を上げているのは京極真帆子だった。

 「何でしょうかな?」

 その声にローグラ侯爵は柔らかな声で応える。

 「それは強制でしょうか?」

 「いえいえ、皆様個人の意思で決めて頂いて結構でございます」

 「では、魔法以外の事を知りたいと思ったら教えていただくことは可能なのでしょうか?」

 「ほう・・・。例えばどの様な事をお知りになりたいのでしょう?」

 「この世界の事、この国以外の国のこと、この国のことその他にも色々、戻れるまで生きていかなければ行けないのなら、そのために必要なことは・・・・私は知りたいです」

 京極真帆子の言葉にローグラ侯爵は顎に手を当て、京極を見つめた。

 「なるほど、なるほど。それは当にその通りですな。では、こちらで可能な限り手配をいたしましょう。魔法以外も学びたいことや知りたいことが有れば、おっしゃって頂いて、極力皆様の希望に沿うように致しましょう」

 そう言ってローグラ侯爵はニコリと微笑んだ。

 その言葉と笑みにその場に居た皆が安心したように頷いた。

 自分達の都合のみで異世界召喚などという秩序を乱した者たちだと云うことを忘れて・・・・。












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