ガチムチ❤️しらゆきひめ
最終話は白雪姫。
とにかく筋肉を鍛えて、あと筋肉を鍛えよう。
どうぞお楽しみください。
昔々あるところに、白雪姫というとても美しいお姫様がいました。
王様とお妃様に大事に育てられ、幸せいっぱいの白雪姫でしたが、ある日お妃様は病気で亡くなってしまいました。
悲しみにくれる白雪姫。
そしてしばらくして王様は新しいお妃様を迎える事になりました。
しかしそれは魔女だったのです。
魔女は自分の部屋に入って鍵を閉めると、魔法の鏡に向かいます。
「鏡よ鏡。この世で一番美しいのはだぁれ?」
『それは白雪姫でございます』
「くっ! やはり! まぁその前情報があったから、王様に取り入ってここまで来たわけだけど……」
『で、どうするおつもりですか?』
「決まってるじゃない。白雪姫を消すのよ。そうすれば私がナンバーワン!」
その言葉に魔法の鏡は溜息を吐きました。
『全く、自分よりも綺麗な女は皆死ね的な事、よく言えますね。まんま不細工の僻みじゃないですか』
「なっ……! あんた叩き割るわよ!」
『やりたきゃどーぞ。白雪姫を超える美しさを手に入れられるチャンスごと叩き割ってくださいな』
「……何よそれ。詳しく話しなさい!」
魔女は魔法の鏡に詰め寄ります。
『筋肉です』
「は?」
『筋肉を鍛えて磨き上げるのです。そうすれば魔女様の美しさは白雪姫を超えられます』
「……本当に?」
『ハイファンタジーでは太刀打ちできなくても、コメディーで日間一位を取れる事はある、そういう事です』
「ちょっと何言ってるかわからない」
『白雪姫が若さと愛らしさで世界一を取るなら、魔女様は鍛え抜かれた美しさで勝負をする。相手の土俵に乗って負けるなんて、戦略として間違っているんですよ」
「……何だかよくわからないけど、やるだけやってみるわ!」
こうして魔女は身体を鍛え始めました。
するとどうでしょう。
健康的な生活でお肌のツヤは輝くばかりになり、締まった身体にはしなやかさと力強さが満ちました。
みるみる締まっていく身体を魔法の鏡に映すたび、魔女の中に達成感と充実感が積み重なっていきます。
そうして魔女は見事なガチムチな肉体と、内から溢れ出る自信とで素晴らしい魅力を発揮するようになりました。
『おめでとうございます! 魔女様が世界で一番美しいです!』
「……ふっ、それを求めていたはずなのに、今となると何故そんな事にこだわっていたかわからなくなったわ」
『魔女様……』
「最近は白雪姫も私に何かと寄ってきてくれるようになって、今度一緒に筋トレする事にしたのよ」
『それは良かったです!』
「ありがとう……」
こうして魔女は幸せな生活を手に入れました。
その後、白雪姫が筋肉の才能に開花し、あっさり魔女以上のガチムチボディを手に入れて、
「くきー! こうなったらこの糖質たっぷりのりんごを、筋肉に良いと偽ってデザートに混ぜてやるわ!」
『やめましょう魔女様。悲しくなるだけです』
とひと騒動あったりしますが、とりあえず。
がちむちがちむち。
読了ありがとうございます。
最終日と聞くと何か爪痕を残したくなるのが僕の悪い癖……。
意外と笑ってくださる方が多くて嬉しい限りです。
柴野いずみ様、最終日の滑り込み、失礼いたしました!
素晴らしい企画をありがとうございます!




