表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
匠の消防士  作者: oga
百貨店編
12/25

築年数

(どんたけ建物がボロなのか、調べてみっか)


 そう思って、休みの日に何気なく百貨店の設備室に足を運んだ。

対応してくれたのは小太りの作業着を着た男。


「ちょっとお聞きしたいんですが……」


 この建物の年数や、ガス管の老朽化具合、消防設備の不具合箇所など、色々聞き出した。


「この建物も古いですからねぇ…… 設備も全然更新してないですよ」

 

 縦に走るガス管もいたる所錆びだらけで、直すなら壊した方が早い、とのことだ。


「今は近くに別なデパートもあるし、収益が良いとは限らないみたいです。 だから、オーナーが建て直してまでこの百貨店を残そうとするかは、ちょっと分からないですね」


 更に、小声でこんなことも言われた。


「ここの火災報知器や防火戸はまともに作動しないらしいです」


「……それって、法令違反でしょ?」


「そうなんですが、多分、お金かけたくないんですよ」


 オーナーは百貨店を取り潰す気満々だ

しかし、ここに入っているテナントは、個性的な味つけのアイスクリームショップ、メンコやベーゴマなど昔ながらの玩具を取り扱う店など、子供のたまり場でもある。

このビルを味気ないオフィスビルに立て直すのは、そういった場を奪うことにもなる。

そういう現状は設備員も分かっているらしい。


「実際、取り壊す話になって、住人と揉めてますからね。 そこから、話は進んでないらしいです」


「ありがとうございます。 助かりました」


 色々教えてくれた設備員に礼を言うと、俺は6階の焼き鳥屋へと向かった。








「っつーことで、どっから火が出て燃え広がってもおかしくないらしい」


 俺は、レバーと鶏皮を一本ずつ頼んで、運んできたハゲに説明する。


「マジっすか!? 俺はどうすればいいんスか?」


「とにかく、不審者や、最悪火災があったら俺ら3人の誰かがカバーするしかねぇ」


 3人のシフトはうまい具合にバラけており、1週間の中で穴はない。

それだけ告げると、お代を払い、今度は駅前の俺はパチンコ屋へと向かった。

さっき連絡のあった、ある人物に会うために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ