情報
駅前のパチンコ屋に入り、ガチャガチャうるさい店内を見回す。
すると、海○語という台の右から4列目に、見覚えのあるスーツの後ろ姿を見つけた。
「隣、いいですか?」
俺はその男、只野の隣に座ると、何気なく千円札を取り出し、横の機械にそれを入れた。
「どうやって打つんですか、コレ」
「玉をこの溝に入れんだ」
パチンコを打ったことの無い俺は、言われるがまま玉を掴んで溝にそれを流し込む。
手元のレバーを捻りながら、俺は聞いた。
「……で、話ってのは?」
「明日、第一百貨店に消防点検と称して業者がやって来る。 奴らは本局の息のかかった人間で、火災報知器の電源を落としに来る」
只野はそこで一旦話をやめて、タバコを口に含んだ。
(……どういうつもりだ?)
本局の犬だったヤツが、情報をリークしている。
事の経緯はこうだ。
さっき、只野から連絡があり、他人に聞かれたらマズいと、うるさいこのパチンコ屋を待ち合わせ場所に指定してきた。
俺は、只野はクロだと思っていた為、驚いた。
煙を吐くと、再び只野は話し始めた。
「明後日、今度は警備員に扮した男が6階の焼き鳥屋に火を放つ予定だ。 営業終了後の火の不始末、不幸なことに火災感知器は作動しなかったってシナリオさ」
今朝調べた通り、この建物の設備は不具合だらけ。
その筋書きにも違和感は無い。
俺は、疑問に思っていた事を聞いた。
「……何で俺にこの話をしたんですか」
「消防士は完全な縦社会だ。 喫煙室でベラベラ自分らのすることを話しても、下の奴らには何もできねぇとタカを括ってやがる。 それがシャクに触ったんだよ」
只野はタバコの火を灰皿に押しつけた。
「お前なら本局とはもう繋がりはねぇからな」
只野は席から立ち上がると、最後に一言添えた。
「……それとアレだ。 俺は、第一百貨店のナタデココフレーバーのアイスが好きなんだよ。 無くなったら二度と食えなくなっちまう」
「只野さんも思い入れ、あるんですね……」
(マジかよ、あれクソマズいぞ)
それはさておき、只野にも正義感というものが存在していたらしい。




